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アセビ  作者: 須磨
1/1

何度目かの初恋をささげた君は

少し年の差のある、愛ではない何かによって繋がる二人を書きたくてはじめました

恋愛要素も地味にあるので、楽しんでください

渋谷のど真ん中

ここはスクランブル交差点

目の前の通り過ぎた男子高校生5人

顔は悪くない

一番後ろでずっとスマホ見てるやつ

会話に全く参加していない

かわいそうに

私ならちゃんと目を見て話し聞いて上げるのに



いびきがうるさい。

障子1枚でお父さんのいびきを攻略できるわけないだろ。

夜明けの淡い光で目が覚める―なんて風情のある平和な朝は私にはやってこない。

自室に唯一ついている南側の大きな窓を開ける。鉄筋コンクリートで反射した人工的な明るさだけが部屋を照らす。

眼前に広がる景色はもちろん鉄筋コンクリートで塗りたくられたマンションが3棟。東京の郊外の住宅街で生まれ育った身としてはただの日常で特に文句はない。

ただ、現代の女子高生ってもっと輝かしい一日を過ごしているんじゃないのか、と女子高生になっても何も変わらない日々を思って考えてしまう。

朝は彼氏が家の前まで向かいに来てくれて、教室に入ると友達数人がおっはーと声をかけてくれる。帰りは部活のある彼氏を、友達とだべりながら待つ。彼氏はめんごーとなんの悪気も見せず汗が光る顔で手を振ってくれる。帰り道はスタバとかによって今のトレンドに乗る。

私の朝はお父さんを起こすことから始まる。だいたいパジャマからお腹を出し、大きい腹の上で両手を組んでいておっさん特有の加齢臭がぷんぷんする。べたべたした汗に危うく触りたくないので、起こすときはお父さんが大っ嫌いといっていたボカロの曲を大音量で流す。

どんだけきらいなんだよってレベルにかけた瞬間飛び起きるが、そこから15分くらいはすっと機嫌が悪い。ボカロの悪口をさんざん言った挙句、まあボカロは悪くないか、と自分から始めた議論を一周して戻ってくる。ほんとにめんどくさい。

その15分くらいで日替わりで具の変わるオムレツと野菜炒め、そして生野菜を手早く作ってしまう。無職の父親がかろうじて妻に愛され、娘にも出て行けと言われない理由がここにある。

しかも味は三ツ星シェフ公認だと自負していた。勿論ただの自信過剰が行き過ぎただけだろうが、母はよく懐かしいわーと父と微笑みあっている。

他の友達にはそんなのありえないらしく、朝から夫婦げんかで止めんのめんどくさいというような話を聞くたびにうちの親ってやっぱおかしいんだと納得する。

今日もお父さんがフライパンを器用に使って、二人分のさらにきれいに並べている。

私も顔を洗いリュックに宿題や筆記用具を突っ込みある程度準備が終わったところで、障子1枚でつながったリビングから声が聞こえたのでダイニングテーブルの長椅子にゆったりと腰掛けた。

お父さんが引き締まりのない腹を抱えて何度もキッチンとリビングを行き来してるのを横目に、テレビをつけた。

年齢に似つかわしくなく親がインターネット派で、私しかめったにテレビを見ることはないのでテレビのチャンネルはほぼ自由だ。

入力番号を変え、先週撮った金曜ロードショーをつけた。

古めのジブリで、豚と飛行機を作る夢を追う自立した女の子との不思議な話だ。

広告をTSUTAYAで見たことがあって、気になっていたのでちょうどよかった。

近くの都立高校に通っているので家を出るのは遅めだが、さすがに2時間物を見終わるわけはなく、展開が見えてきたところで一時停止をして家を出た。

父は今日も、朝早く出た母の会社に手作り弁当を運ぶらしい。

母の会社の人に父の溺愛が変にみられるんじゃないかと毎度毎度冷や汗もんだが、最近は今更だとあきらめている。

初回はとても平和ですが、ここからの展開を見てもらいたいです。

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