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6話―― 固有スキル至上主義


「こんなスキルでこれからどう生きてけって言うんだよこんちくしょう」


 ダンジョンに潜るのも無理。商業経験は未経験の俺に再就職の道のりは険しかった。


 トボトボとゾンビィのように街道のど真ん中を歩いていけば、何事かと驚いた表情が我関せずと通り過ぎていく一般市民。


 このまま衛兵隊を呼ばれかねない雰囲気だが、俺の中に漂う悲壮感がそれを許さなかった。

 というか――


「ちくしょー、俺のいったい何がダメだって言うんだよー。マジで全滅とか、ありえねぇだろー」


 これでも切羽詰まった状況なのだ。

 憧れだけで飯が食えないのは10年間、身に染みて理解しているので

 とりあえず日銭だけでもと、職種を選ばずできることをアピールして突撃してみたのだがまさか全部門前払いされるとは思いもしなかった。


 よしんば商業ギルドでもう一度下働きをするというのもアリかな? と思って比較的、就職のしやすい経理課を訪ねてみたのだが、

 そもそも下働きとして働くのにも固有スキルの開示が必要なので雇ってはもらえないとか不幸すぎるだろう!!


 というかめげずに1日10件くらい雇ってもらえないかと尋ねてみたが、なしのつぶてで相手にされないって何かしらの陰謀を感じるのは俺だけだろうか!?


「これでも一応、大手ギルドの雑用係として人知れず活躍してきたのだけどなー、やっぱり才能が全てって奴かー」


 ほんと、10年前と比べて世知辛い世の中になったものだ。

 昔なら俺くらいの使いどころのわからない『固有スキル持ち』なんていくらでもいたのに

 今ではダンジョン攻略には『固有スキル』が必須、なんてありもしないデマが出回ってるくらいだ。


 おそらくあのクソ野郎(ラルグ)もそのデマに振り回された一人なのだろうが――


「それもこれも勇者のダンジョン攻略が固有スキル至上主義に拍車をかけたんだろうな」


 天まで届きかねないほど天上に規律する巨大な建築物。ダンジョン『バベル』


 5年前。この攻略不可能とされていた第10層が開放されたことで世間の潮目は変わってしまった。


 50年間、誰も攻略したことのないダンジョン階層を解放し、新たな未知の階層を開拓したのだ。

 しかもそれを攻略したのが当時、十五歳の勇者一行だというのだからニュースにもなるだろう。


 勇者の活躍は瞬く間に世界に広がり、そして彼の持つ固有スキル『英雄踏破』が開示されたことにより世界の常識は一変された。

 結果『固有スキル』=『その人間の才能』の図式が生まれ、今日の固有スキル至上主義繋が誕生したのである。

 そしてそれが受け入れられるのは思いのほか早かった。なにせ――


「『固有スキル至上主義』の存在が、皮肉にもダンジョンに『選ばれし者』であることを証明しちまったんだからなー」


 ダンジョンが神聖視されている以上。特別な生まれの王様や貴族なんかはさぞいい思いだったことだろう。

 俺みたいな貧民街の生まれとは違って、さぞレア度の高いスキルに恵まれているはずだ。


 結局は『固有スキル』の才能うんぬんが人生の全てを決めてしまう世の中。

 どれだけ足掻いたところで『持っている』者にはかなわない。


「技術だけ持っても、結局才能にはかなわないってか」


 でも、俺はそうは思えない。

 手にした技術(スキル)こそ、最も尊ばれるべきものだと今でも信じている。

 

(まぁそれも時代の流れに乗れない旧世代の負けおしみに聞こえるから言えないけど……それでも負けたくねぇよな)


 ふとアイテムポーチに視線を落として、深くため息をつく。

 十年間培った技術と知識。

 俺に残されたプライドはもはやこれだけだ。


 これまで否定されてしまったら、俺はもう生きている価値がなくなってしまう。

 

 となると前職の経験を生かして、なおかつ活躍できる場所など限られてくるわけで――


「結局、ここしかないんだろうなぁ」


ここまで読んでくださってありがとうございます。


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『酔いどれ令嬢の婚約破棄。』

満足保障の異世界ラブコメ。

『合コン会場で酔いに酔っぱらった令嬢の恋の物語』となります

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