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この世で一番恐ろしいのは母親である

そしてグラン改め高城は「じゃ、そういう事で」と軽い感じで一言言った後理科準備室から退室していくのであった。





「早かったじゃない。もうやる事は終わったの?」

「ええ、終わったわ。色々とね」


まるで死刑宣告をされた罪人の様な気分で教室に戻ると眞子がいつもと変わらぬ雰囲気で話しかけて来る。


あぁ、私の日常はここにあったのだ。


決して高城とかいう腹黒王子の事などではない。


アイツは人の弱みにつけ込み慌てる様を眺めて嘲笑う悪魔の申し子なのだ。


「眞子ぉーっ!私にはもう貴女しかいないのっ!!」

「わわっ!?いきなり抱きついてどうした?愛の告白ならばお断りするぜっ!」

「そんなもん私だってお断りよぉーっ!」


そして私は真子に抱きつきその豊満な胸に頬をぐりぐりと押し付ける。


「あぁ、もうっ。何があったのか分からないけど頑張ったね。よしよし」

「もっと撫でよ」

「うぜーっ」

「ねぇ眞子、ウザいついでに聞いてくれる?」

「何よもう。良いわよ言いなさいよ」

「グランが高城だった」

「は?」

「だからね、グランが高城だった」

「……………………殴って良い?」

「何でよっ!?」

「私達とは済む世界が違うと思い込み自己暗示かけて何とか考えない様にして来た私の純情を返せっ!!利子つけて返せっ!」


この時私は「そっか………やっぱり」と寂しげに呟く眞子の声に気付けなかった。





今日程疲れた日はあっただろうか?


何をするにも、何の授業だろうと私の頭の中は明日の事でいっぱいである。


あーでも無いこーでも無いと考えるだけでも想像以上に疲れるというものだ。


「ただいま………」

「あら、どうしたのミナ。元気だけが取り柄の貴女が、珍しい。普段からそれくらい大人しくなって貰いたいわね」

「大きなお世話よ。それでお母さん、明日友達が来るから」

「あら、いつもの眞子ちゃん?」

「違う人」

「ふーん。ま、了解よ」


おいマイマザーっ!娘のピンチなんだから察して『明日は用事があるから友達は連れて来るな』と言えないのかっ!?全く使えないババアだっ!


「ねぇミナちゃん?」

「何?お母さん」

「ババアって誰の事かしら?」

「ひえっ!?」


そして私はこの世で一番恐ろしいのは母親であると再確認するのであった。





「お母さんから聞いたけど今日お姉ちゃんの友達来んの?」

「来るよ。それが?」

「何時から来るの?」

「十三時」

「眞子ちゃん?」

「別の人」


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