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画面に表示されたのであった

「ど、どうして?」

「はぁぁぁぁぁぁぁああああああああ…………っ」


ちょっと意味が分からないので妹へ聞き返すと、まるで『そんな事も分からないからお姉ちゃんは今までモテてこなかったのよ』という様な表情で深い、深海の様に深く冷たいため息を長ーく一つ吐くではないか。


今なら一発程度ならば妹を力いっぱい全力で殴っても私は許されると思う。


これはれっきとした正当防衛であり暴力ではない。


精神的な暴力を肉体的な暴力で対応するだけなのだ。


「お姉ちゃんは乙女心という大事な物を成長過程でどこぞのドブに落として来たという事が分かったわ。そりゃモテないし干物女にもなりますわな」


おっと、十発だったかもしれない。


「好きな人の写メだから欲しいに決まってるじゃんっ!!しかも自撮りだよ?まるで『私の為だけに撮ってくれたんだ』という愛を感じるよねっ!!愛を。あ、勿論眼中にない男性の自撮りなんかただ気持ち悪いだけの自意識過剰のナルシストが撮った汚物だと思っているから自撮り全てが良い訳じゃないからね」


そして妹は「それじゃよろしくねー。明後日までに高城王子様の自撮り写真を私の端末に送らなかったらお父上にガチでチクるからそのつもりで」と言うとバタンと扉を閉めて私の部屋から退出していく。


そして部屋に一人残された私。


静まり返った室内に時計の音だけがやたら大きく響く。


まぁ私の部屋だから妹が無断で入って来ていること自体家族会議物だと思うのだけれども、いざ一人にされると例の事件の後に自撮りを要求するという高難易度クエストのプレッシャーで押しつぶされそうになる。


それでもタイムリミットがある為やらなければならないとスマホを取り出すと、とりあえずメールを製作する事にする。


『高城──』


初手高城は何故か恥ずかしすぎてキツすぎるっ!!言いなれたグランに変更っ!!


そして私の指は消去ボタンを連打する。


『グラン、いきなりだけど自撮り頂戴』


………これじゃグランのキャラクターのスクショが来る可能性も無きにしもあらずね。


消去消去っと。


そしてあーでもないこーでもないと試行錯誤の末やっとの事で文章を作り後は送信ボタンを押すだけ────という状況で早くも小一時間が経った。


私の人差し指は未だに送信と表示された画面の上をゆらゆらと上下に揺れている。


「あ、そうそうお姉ちゃん。言い忘れたんだけど────」

「ぎゃぁぁあああああああっ!!!!!」


そして私は、そんな不安定な精神状態の時に勢いよく開けられた扉の音に思わず驚いてしまい、その反動で送信ボタンをタッチ、気付いた時には送信完了の文字が画面に表示される。

誤字脱字報告ありがとうございますっ!

ブックマークありがとうございますっ!

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