暗黙のルール
「ミナと言います。今日は皆さん、一日宜しくお願いしますね?」
「そして私がミナの友達で同僚のマリコですっ!!よろしくーっ!!」
そして私は高城の紹介に続くように自己紹介をすると、それに続けとばかりに眞子が自己紹介をする。
しかし眞子よ、恐らくリア充グループに合わせてその無駄にテンションの高いお姉さんキャラクターにしたのであろうが、それを演じ切れるだけの体力があるのか甚だ々疑問である。
むしろ昼を迎える前に死にかけたウシガエルの如くぐでってしまい、この無駄にテンションの高いキャラクター設定を悔いる未来しか見えないのだが、本当に大丈夫なのだろうか?
(ちょっと眞子っ!!そのキャラクター設定で最後まで待つのっ!?)
(私を誰だと思っているのよ?ファッションモデルである姉を持つ眞子様よっ!!私と同じDNAから生み出されたお姉ちゃんに出来て妹の私に出来ない訳が無いわっ!!)
(それは普段眞子のお姉ちゃんがそういうお仕事をしているから暑さや寒さに耐性や、一日乗り切れるだけの体力が付いているだけで、いきなりやれと言われてもできるものでもないでしょうっ!?)
そして私は眞子とやいのやいのと小声で言い合いをしている間、後から遅れてやって来た男性陣が皆惚けてしまっている事に気付けずにいたのであった。
◆
「しかしミナさんとマリコさんはお綺麗ですねっ!!」
「あ、それ私も思ったっ!!肌も綺麗だし、まさに将来成りたい大人な女性って感じですねっ!!」
「そ、そうかな?ありがとうございます。でもあなた達の方が私なんかよりも元は良いんだから将来は私なんかよりももっと美人で綺麗な大人な女性になれるはずですよ」
「ミナさんに言われるとそんな気がして来ましたっ!!ありがとうございますっ!!頑張りますっ!!」
「ありがとうございますっ!!」
「ぷぷぷぷぷぷぷぷっぷすーぷすーっぷすすすすーっ」
そして今私たちは電車に揺られながら目的地である海へと向かっていた。
それは良いのだが、リア充グループの女子という生き物は語尾に『!!』を付けなければ喋ってはいけない等という暗黙のルールとかあるのだろうか?
とりあえずキンキンと脳内に響く甲高い、若さ特有の声に頭がぐわんぐわんと悲鳴を上げながらも何とか年上の出来る女性像を演じ、その光景を見て必死に笑うのを我慢している眞子を見る事により冷静さを取り戻すと共に眞子には後できっちりと私を陰で笑い飛ばしている事の落とし前は付けさせて頂くと心に誓う。
「あ、あのっ!!」
そんな時、今まで沈黙していた石田小百合が意を決したような表情で私に話しかけて来る。
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