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ペットの散歩とも言う

「全く、あの後そのまま眞子の席でお昼を食べるつもりだったから手にお弁当を持ってて良かったわ」


そして私達は今現在体育館の北側、側面で二人並んで座っていた。


北側は高校の敷地内の端に面しており校内からは基本的に死角となっている。


「あー、そこまでは気付かなかったわ。すまん」

「バカじゃ無いのかしら?高城君は………」


しかし、こうしてお弁当一式持って来れたのだから良しとしよう。


だがこの状況は良しとしないので悪しからず。


むしろ変わって欲しいという方がいれば直様変わって欲しいくらいである。


「そうだな、一回でも良いからテストの点で俺に勝ってから言って欲しいぞ」

「て、テストの点と地頭の良さは違うわっ!」

「でた、点数で負けてる奴のよく聞く言い訳」

「でたっ!テストの点数でしか勝てない人のよく聞くやつっ!」


そして、まるでグランと話すかの様に緊張する事も無くお互いに会話が弾んで行く。


グランの中身が高城なのだから当たり前なのだが。


こういう風な打てば響くやり取りが心地よくてグランとは夫婦として何年間もの間付き合って来た事を改めて思い出す。


そんなグランの事が、私は好きだったのだ。


「急に黙ってどうしたんだよ?」

「へ?あ、ごめんっ!ちょっと考え事してたっ!何の話してたっけっ!?」

「何の話って、全く聞いてねぇじゃねぇかよ。次のデート場所どこにするかって話だろ」

「そ、そうねっ!次のデート場所ねっ!…………で、デート…………?き、聞き間違いかしら?」


デートという言葉を聞き一気に顔が赤くなって行くのが分かる。


ダメだ、今私は高城君の顔を見れない。


「ペットの散歩とも言う」

「ですよねっ!そうだろうと思ったわっ!私の純情を弄びやがってっ!」

「で、それは置いといて次の休みの日何処行く?」

「私の純情、少しばかり軽すぎやしませんかねっ!?そんなもん一人でどっか行きなさいよっ!」

「あー、なんか今スマホで一斉送信したい気分かも」

「真剣に考えさせて頂きます」

「苦しゅうない。よきにはからえ」

「ははー」


絶対、いつか見返してやる。


絶対にだっ!


「じゃぁ、時間ももったいねぇからお弁当食べながら考えるとするか、っておっ!青椒肉絲が入ってるじゃねぇかっ!!」


そして高城君は私が渡したハンカチで包んでいる弁当を手にしてハンカチを解くと弁当箱の蓋を開ける。


その瞬間の感じたことのない緊張感と、喜んでくれた事により私の中で嬉しさが込み上げてくる。


「た、食べたいって言ってたから………」

「うんうん、主人思いなペットがいて俺は嬉しいよ」

「ちょっ!?やめっ!頭を撫でるなっ!!」

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