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魔王

「バカ言ってんじゃ無いわよっ!」


その瞬間私は妹の頭を叩き、まるでスイカを叩いたかの様な小気味良い音が響き渡る。


しかしそこは腐っても私の妹。


「ねぇっ!ねぇねぇっ!年中ジャージの干物女のお姉ちゃんなんか辞めて私に乗り換えませんかっ!こう見えて私尽くすタイプなんですよっ!!」


私に殴られた事など意に返さず高城へアプローチをかけていくでは無いか。


「あぁあああもうイイからっ!恥ずかしいから止めなさいよっ!」

「お姉ちゃんにはもったい無いでしょうっ!どう考えてもお姉ちゃんの彼氏とかイケメンの無駄使いだから私が代わりに貰ってあげてしっかりと使って上げようってだけでしょうがっ!」

「はぁあああああああああっ!?私だって本気を出せば男から引く手数多の超絶美人なんですけどっ!むしろ高城くんの方が見劣りするかもねぇっ!」


そして私と妹は高城君がいる事も忘れてあーだこーだと言い争うのであった。







恥ずかしい。


その言葉を今、私は心から噛み締めている。


そう、穴があったら入りたいという気分でもある。


しかし、もし穴が今あれば高城を穴にぶち込み埋めるまである。


そうすれば万事解決みんなハッピー。


そうだ。そうしよう。


「そんな怖い顔をしてもいいのか?ミナさん」

「ふぇ?な、何の事かしらっ!?」

「ふーん、まぁ良いだろう」


私達二人は今、私の部屋でテーブルを挟んで座っていた。


「な、何よ………?」

「いや、何も。ただ────

『ねぇっ!ねぇねぇっ!年中ジャージの干物女のお姉ちゃんなんか辞めて私に乗り換えませんかっ!こう見えて私尽くす対応何ですよっ!!』

『あぁあああもうイイからっ!』

『お姉ちゃんにはもったい無いでしょうっ!どう考えてもお姉ちゃんの彼氏とかイケメンの無駄使いだから私が代わりに貰ってあげてしっかりと使って上げようってだけでしょうがっ!』

『はぁあああああああああっ!?私だって本気を出せば男から引く手数多の超絶美人なんですけどっ!むしろ高城くんの方が見劣りするかもねぇっ!』

───さっきの妹とのやり取り、実はスマホで撮ってたんだよね。歯向かう相手は選んだ方が良いと俺は思うけどな」

「私は高城様の犬でございますっ!」

「分かればよろしい」

「ははぁー」


ぐぬぬぬぬぬぬっ!今に見ておれこの魔王め。


本能寺でそのスマホ事焼き払ってくれるわっ!


「じゃ、主従関係をはっきりさせた所で早速やろうか?」

「やろうって何をよ?ゲームするにしてもヘッドギアは一つしかないわよ?」

「何をって、コレ」


そして高城は持ってきた鞄から書類の束をテーブルの上にどさりと置いた。


「俺こう見えて生徒会の書記でね、書類仕事が多いんだよ。勿論手伝ってくれるよね?」


そう言う彼の顔は、シチュエーションが違えば間違えて惚れてしまいそうになる程の満面な笑顔であった。


誤字脱字報告ありがとうございますっ!

ブックマークありがとうございますっ!

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