日記
誕生日パーティーも終わり、お客さまも帰って行った。私は自室に戻り、メノに髪を洗ってもらいながら、アロに関しての事を話した。
うっかり忘れていたが、殿下に貰った花束を部屋に置いていたままであることを思い出す。しかし、メノが花瓶に移してくれていたようで、私の部屋に飾ってあった。この時間までそのまま放置していたら、花が萎れてただろう。メノちゃんに感謝だ。
私は寝る前に、今日から起きた出来事を日記に書くことにした。乙女ゲームについて覚えていること、今は殿下だけだけどゲームに出てくる主要人物との会話などは後に役立つと思うしね。
分厚い何も書かれていない日記帳を取り出す。鍵も付いているので、誰かに見られることも……多分無い筈。
まずは、私の頭の中のありったけの乙女ゲームに関する記憶を日記帳に書き出していく。
◇◇◇
ゲーム名は星屑国の救済者。
平民でありながらも魔力を持っていることが発覚した主人公。彼女が王立の魔法学園に編入することで物語は始まる。
攻略対象者は全部で五人。王太子、公爵子息、魔術師団長の息子、騎士団長の息子、宰相の息子。
学園は3学年あり、主人公は二年生。編入したてで分からないことが多い主人公を学園に馴れるまで色々教えてあげるのがステア。平民と言う身分から、彼女がステアと仲良くしていることをよく思わない人は多く、ステアの婚約者であるルファリエラ・フルールにいじめられることとなる。そんな中、相談にのってくれるのが公爵子息。
ルファリエラが主人公をいじめる原因は他にもある。彼女は女子生徒の中で最も魔力量が多く、二つの属性がつかえた。しかし、主人公の方が圧倒的に魔力量は多く、大変珍しい光属性の魔法がつかえ、かつて聖女と呼ばれた女性と、能力と容姿が似ていることから聖女と呼ばれ始めた。
──かつて聖女と呼ばれた女性は聖なる力を持ってして国を救い、王族と結婚している。勿論、王族の方には元々婚約者がいたが、聖女を害そうとしたとして国外追放となったそうだ。
ルファリエラは、聖女と呼ばれる主人公にステア殿下の婚約者の座を奪われると思い必死になって、いじめに走ってしまった。
◇◇◇
全て思い出したと思っていたが、そうでもなかったみたいで、ステア殿下以外の名前が思い出せない。それに主人公は名前を自由に決められるので分からない。
ゲームの方は諦めて、今日あった出来事の方を書き上げると、ふと思う。
そう言えば、ステア殿下はここが乙女ゲームの世界であると知っているのかな。前世も男の人のようだから、知っている可能性の方が低いだろうけど。それに、知っていたら悪役令嬢に前世の記憶の話なんてしないだろうし。
私はぱたんと日記を閉じて、鍵を掛ける。それを机にしまい更に鍵を掛けた。




