客人は告げる
「非望客人? ですか?」
なにそれ?知らないし、初めて聞いた。どういう意味の言葉だろう。……望まれぬ客人とか?
「知らないか。それならいいんだ」
そう言われると気になる。
「あの、気になるので教えて頂けませんか。何故私に聞いたのか、ひぼうきゃくじんとは何なのか等を」
彼はおもむろに話始めた。
「探しているんだ。僕と同じ人を。いづれ話すことにはなるだろうから先に話そう。僕は前世の記憶を持っている。非忘却とは忘れられていないこと。非忘却人とは前世の記憶を持っている人のことをいう。文献も少しだがあることから、他にも何人かいた形跡はある。君に聞いたのは、偶々だ。普段寝込むことのない令嬢が4日も熱で休んでいたと聞くと、なんとなく、記憶を思い出した人だと思ってしまったんだ。前世の記憶が膨大だと、その分理解が追い付かずに倒れてしまったりする可能性があるから」
当たってます。私です……多分。
「何のためにお探しになられているのですか?」
目的も知らずに名乗る馬鹿ではないから聞いておく。
「ある人に、その人を連れ戻してほしいと言われたんだ。間違えてこの世界に来てしまったようだから、元の世界に戻すと。……良ければ協力してくれないか?」
えっと、どこに連れ戻されるのかな?
……メノと離れたくないなぁ。
と言うかどうしよう。これ疑問符がついてても強制よね?
取り敢えずばれないように頑張りますか。
「私で良ければ協力致します。是非、殿下の前世について教えて頂けませんか?」
なんか、相手の素性は知りたい。ただの攻略対象者じゃない。というか、心は同じ日本人の可能性もある。
「そうだな、前世では僕は日本という国で会社員と言う名の社畜だった。残業は当たり前で、日に日に疲労が溜まっていき、いつの間にか倒れて死んでいた。そうしていると、神のような存在が現れ、『間違って娘子を異世界に落としてしまった。彼女には少し難しい世界に入れてしまった。お主、助けてやれんかの?』そういって、僕を転生させ、彼女を日本人として生まれ変わらせる為に探している」
あぁ、日本か。知ってるよその国。私と同郷……。