妃教育
婚約披露パーティーで妃教育があることを思い出したものの、特に対策を取ることもせずに第一回妃教育の日を迎えてしまった。
妃教育を受けに王城へ向かうが、正直言って行きたくない。
◇◇◇
王城へ行くと王妃様の自室へ通された。部屋は広く、全体的に水色で統一され、家具の所々に金が使われている。
部屋の主はソファから立ち上がり、こちらに微笑みかけた。
「ご機嫌よう。ルファリエラさん」
微笑んでるのに全く目が笑っていない。顔からは何を考えているのか分からないから怖い。
「ご機嫌よう王妃様。本日はよろしくお願いいたします」
カーテシーをするが、緊張からぎこちなくなってしまった。
「……マナーなど一通りのことは家庭教師に教えてもらっていると思うけど、一から教えますね」
さっきのが駄目だったからですか!?
「はい」
◇◇◇
一時間後。
今まで私は何をやって来たのかと思う程、基本的なことを教えてもらった。出来ているつもりだっただけであることを知らされた。もっと真面目にやっていればよかった。
それに一時間しか経ってないけど、凄く長く感じた。
「もう疲れたと思うから、お茶にしましょうか。ルファリエラさんはケーキお好きよね」
……ケーキ。ここ一ヶ月ケーキ食べ過ぎているなぁ。最近ウエストが若干膨らんだ気がするのですが、気のせいですよね。
「はい……好きです」
ソファに王妃様と向かい合って座り、お茶とケーキが運ばれてくる。
紅茶とパーティーでも見たスフレチーズケーキ。
「このケーキ、最近町で人気のお店が考えたそうなの。流行っているみたいだから食べたのだけど、すっかり気に入ったからこの前のパーティーでも出してたのよ」
町で流行ってる?ステア殿下が前世の知識を生かした訳ではなかったのか。
「お店の名前は何と言うのでしょうか?」
「確か、フジヤだったかしら」
店名……とても怪しい。偶々レシピ開発されたのでは無く、前世の知識を使ってとかの可能性が高い。もしかしたらステア殿下が探しているといっていたのは私ではなくその店の人かもしれない。今度、調べに行ってみよう。