サンフィル公爵家の図書館 上
この前のお茶会から一週間。デイジーさんに図書館に来ないかと誘われた為、またサンフィル公爵家へと向かっている。今回はアロも一緒だ。
到着すると、デイジーさんが出迎えてくれた。
「ルファリエラさん、お待ちしておりましたわ!」
「今日は宜しくお願いします。こっちは精霊のアロです」
私の後ろからアロがひょこっとあらわれる。
「アロです。よろしくね」
「二人ともよろしくね。ここで立ち話もあれだから早速図書館に行きましょうか。少し離れたところにあるから」
本邸とは別に図書館はあるようで、どんな所なのか期待が高まる。
「アロさんをこの前見たときは精霊だと思わなかったから、喋っていることに違和感を感じるわ」
確かに、最初見たときは驚いた。慣れると、そう言うもんだって片付けられるけど。
「あのときはそもそも喋れなくなってたから。」
「喋れなくなってたのならば、その前は喋れていたのですか?」
「そうだよ。精霊界からこっちの世界に来たときに、上手く力のコントロールが出来なくなっちゃって。木の上に落ちたのもそのせいなんだ。今は安定してきて徐々に戻りつつあるからまた喋れるようになったんだ」
木の上に落ちたのってそう言う理由だったのね。
「では、実体も元々は消せたと言うことですね」
「そうだね、今のところは5分だけ出来るようになったよ」
いつの間に!私は知らなかった。
「そうですか。あ、着きましたわ。ここが私の家の図書館です」
デイジーさんが扉を開けると、沢山の本棚が見え、本特有の香りがひろがった。部屋の中に入ると、二階まであるようで螺旋階段が奥の方に見える。
「凄い多い、想像以上です。」
「八万冊はあると思うわ。この家は読書家が昔から多かったみたいだから。因みに私も本が好きよ」
「八万冊……。そんなにあるんですね」
「私が生まれた頃にはそれぐらいあったみたいだけど、父が買い足しているから更に多いと思うわ」
「あと、精霊についての本はあの右から三つの棚全部だから、読みたい本を手分けして探さないと日が暮れてしまうわね。ルファリエラさんはどんなことを調べるのかしら?」
「精霊についての基本的なことと、契約に関することを調べたいです。あと、アロの属性が分からないので、それも調べられたらと思ってます」
「分かったわ。では早速探しましょうか」
私達は本棚へ向かい、本を探し始めた。