"赫疾駆天舞冷奴"
空亡を構築する十の廃滅因子。
かつて魔王と称された古城ろっくから分かたれたこれらの”悪”の因子は、”小説家になろう”というサイト内で自我を持ち、暗黒領域という世界を統べる十の領域支配者という存在を生み出していた。
数多の世界を併合し、文明を滅ぼす力を持った暗黒領域。
誰も敵う者がいないとされる廃滅属性に満ちたこれらの世界だったが、最早それが絶対のモノではない事を既にここまで戦ってきた者ならば誰しもが知っている。
――全てを覆い尽くすが如き悪意を打ち破れるのは、どれだけ転倒しようとも立ち上がり自身の力で未来を切り開いていく”BE-POP”な意思の力。
それを証明するかのように、赤城てんぷの内部に残っている”山賊”としての力と、スマホを通じて流れ込んできた”なろうユーザー”の力が強く結びついていく――!!
異変は早速、赤城てんぷの身体の中で起きていた。
赤城てんぷの身体を貫いていた”禍津咎槍”が、突如として砕け散っていったのだ。
燃やされたわけでもなければ、圧倒的な外部の力で破壊されたわけでもない。
まさに、内部から自壊していったとしか言いようがない事象であった。
――僅かな苛立ちと共に、空亡が驚愕の声を上げる。
『貴様ッ!?この期に及んで、一体何をした!?』
それに対して赤城てんぷは、額から脂汗を流しながら不敵な笑みとともに答える。
「何、大した事はないさ。……ただ単に、僕は”山賊小説家”だから、転倒世界のみんなが十大暗黒領域を攻略したように、”BE-POP”な意思の力であの槍を構築している”悪意”とやらを粉砕してやっただけの事さ……!!」
『”BE-POP”とやらで、”悪意”を粉砕、だと……?何を言っている、貴様ッ!?』
空亡が糾弾の声を上げるが、赤城てんぷはそれに答えることなく敵を静かに見据えるのみであった。
”山賊小説”。
それこそが、赤城てんぷのなろうユーザーとして覚醒めた力であった。
それらは赤城てんぷの体内において、それぞれの廃滅属性を宿した”禍津咎槍”に対して、有効な性質に変化しながら果敢に挑んでいく。
”淫蕩”が吹き飛ぶほどの傍若無人な怒りや、”追跡”してきた者に対する因果応報の裁き、”復讐”の意思が揺らぐほどの開放的で多彩な文化……。
さながらそれは、暗黒領域での死闘の数々を再現するかのようであり、”降誕の焔”でも燃やす事が出来なかった”禍津咎槍”が、次々と打ち砕かれる結果となっていた。
世界中から集まった人々の力をもとに、自身の肉体に空けられた傷を治癒し、体内に残った瘴気を浄化しながら、赤城てんぷが呟く。
「とは言っても、”炎上”の廃滅属性は結構強引に力押しする事になったけどな。……と、こうやって話している間に、何とか完成出来たみたいだ……!!」
そう言うや否や、赤城てんぷの全身が輝き始めたかと思うと、そこから、いくつもの光の粒子が浮かび上がっていた。
それらの粒子はそれぞれに集まっていくと、十の煌きを放つ武器へと変容を遂げていた。
赤城てんぷの背後で威容を放ちながら、宙に並び立つ武器の数々。
それらを背にしながら、赤城てんぷが堂々とした表情で空亡に向き合う。
「僕の体内に残った槍の残骸をもとに作り上げた、悪意を打ち破るほどの”BE-POP”な意思の具現。……それが、この”十種神宝”だ――!!」
そんな彼の声に呼応するように、”十種神宝”と名付けられた武具の数々がより一層の煌きを放ち始める――!!
――不埒な存在による”淫蕩”から、女性の身を護るためのアイテム目白押しな一品:『ハナバツ系女子の欲張りセット♡』。
――”格差”を吹き飛ばすほどの活力に満ちた集合写真:『政子先生と俺達の"ZIG=ZAG"旅行!』。
――"追跡"する者達に裁きを降すための力を呼び起こす『妖怪王の車輪型時計』。
――”悲哀”を鎮めるほどの誠実さが込められたライトノベル作品:『元・国会議員の儂が過激なライトノベルに出演しているヒロイン達の人生を丸ごと救い上げることになった件について』。
――"虚栄"を剥がす真実への招待状:『つくるとたもつのキャピ♡キャピクーポン券♪』。
――余人には"網羅"しきれない感情が込められたファン唾涎のお宝:『会場限定:”エスカ☆麗奴”メンバー直筆サイン入りオリジナルTシャツセット』。
――独裁者にも"隠蔽"することの出来ない、民衆のために立ち上がった者達の姿が刻まれた御旗:『HEAPSの誓い』。
――"耽溺"に耽る者達の心を癒すランタン:『夢幻甕星』。
――"炎上"行為に走る者を、更なる暴虐で蹂躙する『緋座鞍式:改造バイク』。
――"復讐"に生きてきたこれまでの過去に別離を告げる『お別れビデオレター』。
”なろうユーザー”としての力で打ち砕かれた槍の残骸を、世界中の人々から集めた意思の力を最大限に使い尽くした”降誕の焔”で溶かし、打ち上げ、遂に完成させる事が出来た十に連なる概念兵器。
これらはまさに赤城てんぷという山賊が誇る、この世界最高の至宝と言っても過言ではなかった。
最高峰の輝きに満ちた”十種神宝”を前に、空亡が再び『神滅機構:禍津咎槍』を自身の球体から生じさせていく――。
『ふん、何とか一命を取り留めたようだが、我には見えているぞ。……それらの武器を作る過程で、貴様が世界中から集めた”BE-POP”とやらをほとんど使い果した事がな……!!』
空亡の指摘通りであった。
残骸とはいえ、炎に対して圧倒的な耐性を誇る空亡から生じた存在である以上、それらを自身の”降誕の焔”で溶かし、”十種神宝”に作り直すには莫大な火力が必要だった。
ゆえに赤城てんぷは、”十種神宝”の生成や肉体の治癒:浄化のために、自身に集まってきた全ての”BE-POP”な力を使い果たす事になっていたのだ。
今も世界中から意思の力が集まってはいるが、自身が展開していた”降誕の焔”が鎮火したことにより空亡の”闇”の領域が再び広がり始め、彼らの力は赤城てんぷに届くことなく今度は代わりに空亡の領域支配が広がらないように抑止する役割を担うことになっていた。
そのため、これまでのような強靭な生命力や戦闘力は見込めず、次に致命傷を受ければ確実に死に至る。
それでも、赤城てんぷは前を見据えながら、不敵な笑みとともに『緋座鞍式:改造バイク』にまたがる。
「僕が何を執筆してきた作家だと思ってるんだ?――今さら誰かから保険をもらう事を当てにするようだったら、”山賊小説"なんて初めから書けるわけないだろッ!!」
――それは、どこまでも自身の力で新しき道を切り開く事を選んだ、赤城てんぷを象徴する言葉だった。
自身の意思を実現するかのように、バイクのギアを上げた赤城てんぷが颯爽と空亡のもとへと向かっていく――!!
『おのれ……見苦しいぞ、薄汚い塵芥風情がッ!!』
空亡のもとから、”淫蕩”の属性に満ちた”禍津咎槍”が赤城てんぷに向かって放たれる。
対する赤城てんぷはバイクを運転しながら、『ハナバツ系女子の欲張り☆セット』から取り出したレイピアやBL雑誌、ドスコイ系昆布ビキニアーマーなどを器用に使いこなして、”淫蕩”の槍を粉砕していく――!!
「――しゃあッ!!」
『……ッ!!猪口才な!』
立て続けに、”禍津咎槍”が次々と赤城てんぷへと迫る――!!
だが、それらすらも赤城てんぷは『緋座鞍式:改造バイク』に乗りながら、他の神宝を使いこなして見事に打ち破っていく――。
『お別れビデオレター』を見せつけられた”復讐”の槍が、かつての戻らぬ日々に想いを馳せるような儚い瘴気を放ちながら雲散霧消する。
”追跡”の力によって、気づかれぬうちに赤城てんぷを害そうとすれば、『妖怪王の車輪型時計』による"因果応報"の理を叩きつけられて砕け散る。
”格差”の機能によって、行く手を阻害しようとも、それすら赤城てんぷが持つ『政子先生と俺達の"ZIG=ZAG"旅行!』から迸る活力によって、易々と崩される結果となった。
気づけば、赤城てんぷは”十種神宝”を用いて、全ての”禍津咎槍”を打ち破ることに成功していた。
大元の空亡が存在する以上、またすぐに再生されるが、それでも確かに活路が切り開かれていく――。
「――よし、このままなら行け、る……!?」
そう言いながら、空亡の方を見ていた赤城てんぷが驚愕に目を見開く。
空亡の球体からは十本ではなく、左右真横から極大の二本、上部から質量ではなく純度を研ぎ澄ましたかの如き二本、――計四本のこれまでより一際大きな”禍津咎槍”が生えていた。
『”悲哀”、”網羅”、”耽溺”――束ねて、”魂を奈落に堕とす者”。
”格差”、”虚栄”、”隠蔽”――束ねて、”真実を阻害する思惑”。
”淫蕩”、”炎上”――束ねて、”安寧をかき乱す饗宴”。
”追跡”、”復讐”――束ねて、”この世は総じて地獄なり”。
――複数の廃滅属性を束ねたこれら四種の”禍津咎槍”、とくとその身に受けるがいいッ!!』
空亡がそう言うのと同時に、四本の複合性”禍津咎槍”が赤城てんぷのもとに向かって放たれる――!!
これまでの十の単独属性の槍による攻撃に比べれば、明らかに手数は減っていたが、それらと違い複数の属性を編み込まれたこの複合魔槍は、一つの神宝だけでは打ち砕く事が出来ない。
あえて複合魔槍がどの属性によって構成されているのかを空亡が述べたのは、そんな慎重になるべきところで赤城てんぷ”が禍津咎槍”を撃破出来るかもしれない可能性を示唆することによって、彼が現在唯一空亡に立ち向かうための切り札である”十種神宝”を使用させ、消耗させる狙いがあるに違いなかった。
先程までから一転、険しい表情を浮かべながらバイクを走らせこちらに向かってくる赤城てんぷに向けて、空亡が嘲笑するように言葉を投げかける。
『どうした?先ほどと同じように器用にその神宝とやらを駆使して、我が槍を砕いてみせろ!……ニ属性だけで構成された””安寧をかき乱す饗宴””や””この世は総じて地獄なり"ならば、運が良ければ簡単に崩せるかもしれんぞ?』
無論、こんな命のかかった場面でそんな運任せなどに頼れるわけがない。
案の定、感想欄にて炎上騒ぎを引き起こすが如き紅蓮の業火と、外部の匿名掲示板を彷彿とさせるほどの漆黒の闇を纏いし二本の魔槍が同時に迫るが、それをすんでのところで躱す赤城てんぷ。
だが、安堵したのも束の間、今度は”魂を奈落に堕とす者”の穂先が眼前に迫ろうとしていた――!!
「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!」
疾走する赤城てんぷが、アカウントを凍結させるほどの絶対零度の冷気を帯びた豪槍に向けて、咄嗟に一つの神宝を取り出す――!!
それは、”虚栄”を剥がすための武器である『つくるとたもつのキャピ♡キャピクーポン券♪』であった。
空亡の述べた事が真実とは限らないとはいえ、”魂を奈落に堕とす者”という魔槍を構成する要素にはどこにも”虚栄”は含まれていないため、対応に失敗した赤城てんぷはこの神宝ごとその身を再度貫かれて終わる……はずだった。
にも関わらず、『つくるとたもつのキャピ♡キャピクーポン券♪』は三大属性が束ねられた”魂を奈落に堕とす者”を弾き飛ばし、あろうことか損傷を負わせることに成功していた。
神宝として定められた役割・効能を超えた力――それはさしずめ、この神宝のもととなった”つくる”と”たもつ”という二人の青年を象徴するかの如き”BE-POP”な意思を感じさせるモノであった。
『つくるとたもつのキャピ♡キャピクーポン券♪』に続くように、他の神宝たる武器も対応する廃滅属性や自身の効能限界を超えて、迫りくる複合魔槍を撃退していく。
「ッ!?」
複合性の四大魔槍が、ほぼ同時に赤城てんぷへと急襲する――!!
「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!」
それらの攻撃を、掲げられた『HEAPSの誓い』の旗が引き裂かれながらも全て受けきり、強大な悪意が赤城てんぷに迫るのを防いでいた。
――戦況を冷静に分析していられないほどの乱戦であり、赤城てんぷはなりふり構わず”十種神宝”を振るうしかなかった。
そんな使い手に応えるように、”十種神宝”は打ち破る事が出来ずとも、強大な力を誇る”禍津咎槍”から赤城てんぷの身を護り抜いていた。
それぞれの神宝がボロボロになり、ひび割れ、破損していく。
それでも、奮戦の果てに赤城てんぷは空亡のもとへと間近に到達していた。
四大”禍津咎槍”による猛攻によって、既に『緋座鞍式:改造バイク』もところどころ破損し、限界を迎えようとしていた。
それでも、最後に赤城てんぷの道を切り拓くために、盛大に爆走していく――!!
「――まったく、検非違使が乗りそうな仕様のクセに、僕みたいな”山賊”のためにここまで張り切ってくれるとは……お人好しというかなんというか」
神宝としての力を燃焼させ、赤城てんぷを乗せた『緋座鞍式:改造バイク』が、空亡に向かって飛翔する――!!
そんな宙に浮かんだ赤城てんぷに向かって、ミュート機能のように存在を隠蔽していた”真実を阻害する思惑”が死角から出現し、盛大にバイクごと赤城てんぷを薙ぎ払う――!!
宙に生身で放り出された赤城てんぷ。
貫かれはしなかったようだが、もう『緋座鞍式:改造バイク』には騎乗する事は出来ないだろう。
なによりこのまま行けば、赤城てんぷは数秒後に”禍津咎槍”のどれかに貫かれるか、地面に落ちて絶命するかのどちらかだろう。
――それでもなお、赤城てんぷは余裕の笑みを崩さない。
「まったく、お前は最高の相棒だったよ――!!」
そうバイクに言いながら、天高く舞い上げられた赤城てんぷは、眼下に見える空亡に向かって盛大に飛び込んでいく――。
空亡がこちらに冷酷な視線を向けるが、それにも動じることなく赤城てんぷは堂掌を平げながら堂々と右腕を掲げていた。
「――我がもとに集え、”十種神宝”ッ!!」
赤城てんぷがそう叫ぶや否や、同じく宙に巻き上げられた『緋座鞍式:改造バイク』を始めとする十の神宝が、光の粒子となって彼の掌へと集っていく。
光の粒子がゆっくりと束ねられていき……それらはやがて、一つの大剣へと変じていた。
地上で生きる多くの”なろうユーザー”の希望――。
”転倒世界”の者達の意思の力――。
廃滅神:”空亡”から生じた魔槍の残骸――。
それぞれに異なる三つの世界を象徴する『三種の神器』とでもいうべきこれらの存在を掛け合わせて作り出された至宝:”十種神宝”。
それらを真に一つに纏め上げて完成したのが、この世界における最強の概念兵器:『赫疾駆天舞冷奴』であった。
自身に向かって斬りかかってくる赤城てんぷに気づき、複合性の四大”禍津咎槍”で瞬時に応戦する空亡。
だが、それら全てに対応できる十の属性を束ねた『赫疾駆天舞冷奴』は四本の魔槍を盛大に薙ぎ払っていく――。
『おのれッ……こんなところで、終わってたまるモノかッ!!』
全ての禍津咎槍が砕かれ無防備になった空亡が、諦めきれないと言わんばかりに自身の中の廃滅因子や暗黒瘴気を収束させていく――!!
『永劫螺旋術式:”チャリンコマンズ・アビスブリゲイド”――発動!!』
『ベリアライズ』において、”三大概念術式”と称される強大な術式の一つ”チャリンコマンズ・アビスブリゲイド”が作動する。
対象を未来永劫時空の狭間に幽閉すると言われる通り、巨大な車輪が空中に出現したかと思うと、凄まじい回転で赤城てんぷを吹き飛ばし、同時に出現した次元の狭間へと彼を幽閉していく――!!
赤城てんぷの姿が見えなくなったのと同時に亀裂が塞がり、巨大な車輪も術式の完遂を告げるように瞬時に姿を消失した。
『これで、ようやく全てを廃滅する事が出来る……』
だが、そこまで呟いてから空亡は違和感を覚える。
刹那、そんな疑念を裏付けるかのように、”チャリンコマンズ・アビスブリゲイド”とは異なる亀裂が生じ始め、盛大に空間が砕け散っていく。
中から勢いよく『赫疾駆天舞冷奴』を手にした赤城てんぷが飛び出し、空亡へと叫んでいた。
「僕は自身の意思で新時代を切り開く”山賊”なんだぜ!……今さら次元の狭間とやらに閉じ込められたくらいで、大人しく従うわけがないだろッ!!」
そんな赤城てんぷを凝視しながら、空亡が忌々し気に呟く。
『――貴様だけが邪魔だ。貴様さえいなければ……!!この宇宙に不要なのは貴様なのだと!何故、分かろうとしないッ……!!』
極大の殺意と共に、灼熱を帯びた概念術式が空亡の瞳から放たれる――!!
『全てを焼き尽くせ!!――殺戮焼却術式:”ラスト・イングウェイ”ッ!!』
触れた者一切を再生・防御も許さずに瞬時に燃やし尽くす極大の熱線が、赤城てんぷへと迫る。
そんな迫りくる”ラスト・イングウェイ”の脅威に対して、赤城てんぷが静かに『赫疾駆天舞冷奴』を構える。
「言っただろう、廃滅神。この世界には、お前でも焼き尽くせないモノがあるんだって事を……!!」
この胸を満たす想いが本物ならば、例え常人並の力になってしまったとしても自分の中に灯る輝きがあるはず――。
そんな赤城てんぷの想いに応えるかのように、『赫疾駆天舞冷奴』の刀身に”降誕の焔”が宿っていた。
「ウオォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!」
極大の殺意の熱線たる”ラスト・イングウェイ”を切り裂きながら、赤城てんぷが空亡のもとへと飛翔していく――!!
『――ッ!? 疑似・亜空障壁:”阿頼耶識録”、発動ッ!!!!』
臓腑から絞り出すような叫びとともに、赤城てんぷと空亡の間を遮るように概念障壁が姿を現す。
これこそが、意思ある者が真理に到達するのを防ぐための九つの概念障壁を模した結界術式:”阿頼耶識録”。
だが、それすらも上等だと言わんばかりに、赤城てんぷは笑みを浮かべながら大剣を振りかぶる。
「こんなモノじゃ僕を止める事なんて出来やしないぜ!――なんてったって僕は、”世界の根幹に到達する者”なんだからなッ!!」
”阿頼耶識録”の概念障壁が、赫疾駆天舞冷奴による一撃で豪快に砕け散っていく。
驚愕の色を浮かべながら、こちらを凝視する空亡に向けて、赤城てんぷが勢いよく一刀を振り下ろす――!!
「――"皆で紡ぎし新世界の物語"ッ!!」
泣きたくなるほどの”絆”の力が込められた一閃が、赫奕たる輝きと共に空亡を切り裂いていく――!!
「これが俺の……いや、"俺達"の力だッ!!!!」
『ッ!? グオォォォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!』
空亡の断末魔の叫びが、この廃滅の宇宙に響き渡る――!!
空亡による"世界廃滅"という長い夜の終わりを象徴するかのように、赤城てんぷによる黄金の煌めきが、闇を切り裂いていく――。
人々は空を見上げその光景を眺めながら、希望に満ち溢れた歓声を上げていた。
『本作は「すげどう杯企画」参加作品です。
企画の概要については下記URLをご覧ください。
(https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1299352/blogkey/2255003/(あっちいけ活動報告))』
※本作の執筆にあたって、『古城ろっく』さんの名義を使用させて頂く許可を、古城ろっくさん本人から頂きました。
慎んで、深く御礼申し上げます。
※"赫疾駆天舞冷奴"という名前の案をオムライスオオモリさんから頂きました。
作者すら思いつかなかったそのアイディアに感謝すると同時に、深く感服致します。




