表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/35

魔王:古城ろっく

 現在、赤城(あかぎ)てんぷは”魔王軍”を自称する古城ろっくの取り巻きユーザー達に取り囲まれていた。


 彼らは赤城てんぷを人気のない深夜の港倉庫に拉致すると、彼に対して凄惨なリンチを行い始める――!!


「ろっくさんの名前を貶めるような真似をしてんじゃねーぞ、コノヤロー!!」


「ついでに、世界を平和に導くような小説の執筆も辞めやがれッ!!」


「ピラフの中に生レーズン入れるぞ、コラァッ!!」


「ここは海に面した港街だから、山賊である君の戦力はまさに半減!……でも、命は半分だけじゃなくて、全部置いていってね♡」


 各々好き勝手な事を言いながら、四方八方から赤城てんぷを苛烈に”制裁”していく魔王軍の面々。


 無抵抗のまま殴られていく赤城てんぷ。


 度重なる暴力の前に、赤城てんぷの意識が朦朧とし始める――。


「クッ……最早、これまでか……!!」


 赤城てんぷが諦めともいえる言葉を呟いた――そのときである!!





「な、なんじゃこりゃあッ!?」





 そのような叫びを上げたのは、リンチに参加せずに自身のなろうのマイページを確認していた魔王軍の一人だった。


 何事かと振り向いた仲間達の目の前で、彼の身体がスマホの画面から漏れ出た黒い靄のようなモノに呑み込まれていく――!!


「ウ、ウワァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!!」


 断末魔が倉庫内に鳴り響く。


 ……だが、それも一瞬のことであり、彼の姿があっという間に消失したかと思うと、カランと音を立ててスマホだけが地面へと落下していく。


 何が起こったのか分からずに呆然とする魔王軍の面々。


 だが、瞬時に恐慌状態に陥ったかと思うと、彼らは悲鳴を上げながら瀕死の赤城てんぷを置いてそのまま走り去っていく――!!


「に、逃げろォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!」





「……」


 後には、息も絶え絶えの赤城てんぷと持ち主を失ったスマホ。


 そして、静寂のみがこの場に残されていた――。









「い、一体全体何が起きてんだよ、こりゃ……!?」


 メンバーの一人が運転するハイエースに乗って、街中に戻ってきた魔王軍の面々。


 だが、彼らが目にしたのは直前の港倉庫で見たのと同じ……いや、それ以上に凄惨な光景であった。


「何で!?わ、私は、お気に入りさんの新着活動報告を読もうとしていただけなのに!?」


「い、嫌だ~~~ッ!!俺は、初めて赤い文字で『レビューが書かれました!』って表記されてたんだ!本当に嬉しかったんだ!……だ、だから!こんなところで死にたくない~~~ッ!!」


 何と、街中の至るところでなろうユーザーらしき者達が、老若男女問わずスマホから生じた瘴気に呑み込まれていたのだ――!!


 そして、彼ら彼女らの存在を取り込みながら、瘴気が巨大な影を形作っていく……。





 ――それらは全て、この世のモノとは思えない威容を誇っていた。


 ――それらは全て、この世の何もかもが許せないと言わんばかりの敵意を放っていた。


 だが、そんな恐るべき光景を前にしながらも、魔王軍の者達の胸中には不思議な懐かしさとでもいうべき感情が広がっていた。


 そしてそれらを見たメンバーの内の誰からともなく、ごく自然に思った言葉を口にする。





「まさか……これもすべて、ろっくさんの仕業なのか?」





「――ッ!?」


 その言葉を聞いて、瞬時に魔王軍の者達全てが現在起きているこの大異変の全容を理解する――!!


 ”古城ろっく”。


 かつて全てを焼き尽くすかの如き炎上芸によってなろう界を激震させ、敵味方を問わずなろうユーザー達から”魔王”と呼ばれた存在。


 彼は、運営神群による裁きの警告を三度その身に受け、なろう界から影も形もなく消滅した――はずであった。


「……だが、あの・・ろっくさんがむざむざ無抵抗でやられるワケがなかったんだ。彼は、自身がBANされたときの事も想定して、なろうにある布石を残していたに違いない……!!」


 裁きの警告を二度受けた古城ろっくは、自身がそれほど長くは持たない事を悟っていた。


 そこで彼は、自身の中にある”悪”の因子を十に分断し、それらを”なろう”のサイト内に埋め込むことによって、自身の魔王としての力をこの地に復活させるための布石としていたのだ。


 驚愕の事実を前にして、メンバーの一人が唇をワナワナと震わせながら、恐る恐る尋ねる。


「じゃ、じゃあ……あれだけ『俺には”覚悟”がある!』と豪語していながら、延命措置のためとか言って自作品を削除や非公開にしたり、後半の”すげどう”が明らかトーンダウンした上に、『今度からは他の人達に優しくしようかな?』とか腑抜けた事を言い出したのも、すべて……!?」


 そんな問いかけにコクン、と頷きが返される。


 それを見て彼は驚愕を浮かべる。


 だが、そんなのは少し考えればすぐに分かるはずの事であった。





 ――彼は残り少ない残機を警戒して日和ったり、丸くなったりしていたわけではない。


 彼はただ、自身を魔王たらしめる”悪”と呼べる要素を全て、"小説家になろう"内に転移していただけだったのだ……!!






 ――そして、そんな彼らの推論を裏付けるかのように、事態は彼らの眼前で急速に動き始める……!!

『本作は「すげどう杯企画」参加作品です。

企画の概要については下記URLをご覧ください。

(https://mypage.syosetu.com/mypageblog/view/userid/1299352/blogkey/2255003/(あっちいけ活動報告))』


※本作の執筆にあたって、『古城ろっく』さんの名義を使用させて頂く許可を、古城ろっくさん本人から頂きました。


慎んで、深く御礼申し上げます。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ