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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ダークムーン2・・夜のとばり・・

作者: のの

搭の近くで…夜の(とばり)に紛れ

兄の為に祈りの言葉を紡ぐ…

ため息1つ…


先日…近隣の国の姫が

服従の証に…この国に連れて来られて

妃の一人になって…王と床を共にして…


あの日がいつもの僕の当番の日…


可哀想な姫様の悲鳴と泣き声を聞いた日…


あの姫様も誰か好きな人がいたのだろうか…


そして今日は僕が悲鳴と鳴き声をあげる番…


それはつい先ほどの事だけど…

つかの間の時間を許されて…ここにきた…

滅ぼされる事を免れた敗者


征服者が そうして敗者を抱き…

敗者は征服者の中に取り込まれ…


残酷な世の倣い  世の常


その前には 地方の貴族の娘

故郷を離れた見知らぬ異国や遠い地で 姫達には残酷な…

                              


僕の場合は…

僕は反乱者の身内で 王様の奴隷


この身体で…王にお仕えしている…奴隷の夜伽相手


そして…

そんな僕の愛した人は…


実の兄


…いつものように…これから

またベットで王の相手を務める…

…今日は…王様に殺された兄の命日だというのに…


奴隷の身の上ならば…

許可がなければ神殿に祈りを捧げに行くのも難しい…


ましてや…兄は反逆の罪で殺されたのだ…


祈りを捧げる許しなどは…降りるはずもなく…


だから…あの搭のすぐ近くに…誰かに気がつかれないように…兄が好きだった花を捧げ

ろうそくを手向け彼がよく口ずさんだ


歌を歌いながら…演奏した…それから祈りの言葉を紡ぐ…


涙が頬に流れ落ち…


僕は…ただ必死に嗚咽をこらえる…

ガサリと草を踏む音に 僕はハッとする


銀色の髪の男 親衛隊長


それは愛する兄への手向けか…今日は命日だったな…親衛隊長


そうして…彼は思いもかけぬ言葉を口にした


お前の兄は…情人だったのだろう?

                               

2年前に最初に 楽士として 城に来た…

それは建前上

実際には王様の夜伽の相手として選ばれた…


普通なら…まっ白な無垢な状態で王に差し出されるが…


相手があの王様だ…


暴れたりして気に入らぬ場合は…

相手を殴り殺した事が何度もある…


暴れたり、体を固くしすぎぬように…

それからは…選ばれた子は仕方なく…恋人や身近な者に相手をさせて少々…房事を覚えさせてから

床に侍らせる…


本当の最初の相手が お前の兄か…


他の子も…そうだが 面会の度に情事を重ねる…


あの乱暴な王様相手では確かに気晴らしも必要だな…


以前の話だがナジュサアナ


お前が兄と何度も…中庭で唇を重ねているのも…


手を握って…二人で自室に入っていくのも見た


何の話ですか? 僕はわからない…


それに片親違いですが兄です


禁忌…か


だが…意味があるか?


異性間なら妊娠の可能性があるがな…

誰にも言わない…  と親衛隊長


僕は重い口を開いた

                 

信じていいんですね…

そうですね…誰かが困るわけでもないか…


そうですよ…  兄は最初の人

最初に無理に僕を抱いた人


しばらくは許せなくて 兄を憎みました…


でも…王は乱暴で残酷で…

気がついたら…兄の優しさにすがっていました…


彼との過ごした時間が救い


僕は 深いため息をつく


まだ…王様は…僕を抱きたりないようで…


一時間だけ…用事を済ませに来たのです…

今日の夜の時間は王様と過ごします


僕は心の中で呟く


少し前にも…汚されて これからすぐにまた…

あの王の…


僕は…兄の願い通り 逆らわずに…生き延びます

では…失礼します


あ…足がもたれた…


親衛隊長は さっと 身体を支えると

顔を見つめて…呟く

青い顔だな…


平気です…いつもの事ですから

重い足取りで…王の寝所と向かう



向かう夜道で ふっ…と                

ナジュ…と声を聞いた気がした


そうして 夜の風に紛れて

愛しい・・兄さんが僕を呼ぶ声がした気がする


僕はカゴの中のカナリア でも…約束通り

生き延びてみせるよ


帯をとき…半裸のまま…ベットの天幕の薄い絹の下で

王に愛撫され…鳴き声を上げる…


王の唇が首すじに 胸元を這う…


ナジュ…


そういえば…今日は半年前の反乱があった日…

はい…王様

ただ…黙って王を見つめる


この日に抱かれるのは…嫌か…


私は王様のものです

いつでも…王様の思い通りに…


王様

兄の話をしても…許して下さいますか…


構わぬ…


兄は僕を小鳥だと言ってました


ただ生き延びよとだけ…


僕はカゴの中の小鳥のようなもの…


強い風には抗えません

勇猛な王様に 僕が何か出来ましょうか…


王様のものです…

どうぞ…お好きにされてください


                            

ナジュは心の中で呟く

もし…占いが 予言が本当なら


僕は王と共に滅ぶ運命

王を道づれにする?


可愛い大事な僕らの妹…


君は砂漠の鷹


もし本当なら

僕はこの王と一緒に滅ぶから…


君にこの王国をあげよう…



ナジュは王に抱かれ…

あえぎ声を漏らし… 愛する人以外が 

その身体に触れて・・思うさま 揺らされながら


そうして…ただ…涙をこぼす




                          FIN





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