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殺し屋な執事とヤンデレなお嬢様  作者: 竹ノ利
殺し屋始めました編
5/15

お嬢さまの誕生日(1)

 





 更に三ヶ月がたった。

 今年ももうすぐに終わる。


 当初の目的通り、美幸お嬢さまの噂は殆ど出回っておらず俺と美幸お嬢さまが一緒に居られる時間はあと僅かとなっていた。






「目標は前方1300、マンションの27階にいる赤いバスローブを着た男」


 俺の横にはマティアスがいる。双眼鏡を持って指示を出す。当たりは暗く、時計は12時を回っている。


「──確認した」

「あとはお前のタイミングで撃」


 ──バン!


 て、と言い終わる前に発砲した。

 そんなことだろうと思ったよ、と言いながらマティアスはこちらを振り返る。


「目標は?」

「今頃頭からでた噴水と持ってたワインが混ざってていい酒になってるよ」


 生意気な、と漏らすマティアス。



 あれから三ヶ月たった。歩法から格闘術、ナイフ捌きに礼儀作法、社交ダンスに罠の設置etc。数え切れないほどの量の訓練をこなしてきた。


 そして訓練を受けてから命を奪うのは6回目になる。


「可愛くねぇ奴だな、初の殺しなんざお前の歳ならガクブルになるのが定番なんだがな」

「生憎殺しの童貞は随分と前に捨てたからな」


「にしてもよ、ノータイムはねぇだろ」

「知るか、早く帰りてぇんだよ」


 なんかあったか?と言いながら少し考えるポーズをとるマティアス。四秒ほど経つと意図を察したのかニヤニヤし始めた。


「そうか、そういや美幸お嬢様の誕生日は明日だったな。プレゼントは買ったのか?」

「ああ、給料なんて使い道ないからな。ケチらずに使ったよ」

「何だ?それなら今から飯でも食いに行くか?銀の奢りで」

「遠慮しとく」


 そんな言い合いをしながら、狙撃に使った道具をキャリーバッグに詰める。

 そして先程使われたであろう薬莢を拾い上げ回収する。


「んじゃ銀は帰っとけ、後始末は俺がやっとく」

「分かった」


 ゴロゴロとキャリーバッグを引き摺りながら屋上から退散する。自分の体と同等以上のキャリーバッグを持った少年は如何にも不審で人目を集めていた。

 更にいえば深夜のこと時間帯、異質な雰囲気を醸し出していたのは言うまでもないだろう。


 殺し屋として本格的な活動を始めたこの一ヶ月、うちのマフィア【《ヌーボラ》ファミリー】に凄腕の殺し屋が誕生したと噂になっていたらしい。


 ついた異名が【黒霧ブラックフォッグ】なんでも正体のつかめないということと、深夜に活動するという事で付いたらしい。

 確かに美幸お嬢さまと日中はいるから夜しか出てこられないけどさ。


 ともあれ俺は明日が美幸お嬢さまと遊ぶことが出来る最後だということもあり、かなり名残惜しい気持ちになっていた。


「はぁ、憂鬱だ」


 冷えた街中でキャリーバッグを引く燕服の執事。あまりにも異端だ。






 ◇◇◇





 部屋の外が妙に騒がしい。朝のメイドや執事が廊下を歩く音ではなく、ドタドタと元気に走り回るような。



「銀く〜ん!!おきて!!!」


 帰ってきた時間が遅かったからか、美幸お嬢さまよりも遅く起きてしまった。普段ならありえないのだが、最後なのに締まらないと苦笑せざる負えない。


「少しだけ待ってくださいね」


 近くにあった時計を見ると、短い針は5の数字の場所に指されていた。


(今日はいつもより早いな)


 自分の誕生日、ということもあるのだろう。俺はよくわからないが、誕生日というものは特別らしく子供にとってはとても嬉しい日らしい。


 朝早く目が覚めてしまうのは仕方の無いことらしい。




 ベットから下りると、部屋着から燕服へ瞬時に着替え美幸お嬢さまが待っている向こうへドアを開ける。


「お待たせしました、美幸お嬢さま」

「うん!おはよう銀くん!」

「はい、おはようございます」


「じゃあ今日はね〜。おままごとしよっか!!」

「はい、それでは中庭へ行きましょう」


 丁度三ヶ月前くらいから、追いかけっこではなく主な遊びはおままごとへと変わった。

 理由は分からないが、多分追いかけっこで俺が自重せずに勝ちまくったことが原因だろう。


「それじゃあ、美幸はおかあさんやくで、銀くんはおとうさんやく。チャッピーはこどもやくね」


「分かりました」

『ワン!』


 チャッピーとはこの屋敷のペットでゴールデンレトリバーだ。普通に俺や美幸お嬢さまより体が大きいが、どうやら子供の美幸お嬢さまと俺にはすごく懐いているようで、追いかけっこには参加出来なかったが、おままごとでは一緒に遊んでいる。


 中庭にレジャーシートをひき、その上に美幸お嬢さまとチャッピーが座る。


「それじゃあ銀くんは、おしごとからかえってきたおとうさんね!じゃあスタート」


「ガチャ」


 もちろんドアなんてないので、口で音を出す。帰ってきてドアを開けた音だ。


「あなたおかえり!ごはんにする?おふろにする?」

「それでは、ご飯をいただきましょう」

「うん!わかった!」


 それから美幸お嬢さまは何かを切るような真似をして、おままごと用のお皿をこっちに差し出す。

 余談だが、美幸お嬢さまはお稽古で料理も嗜んでいるので作れないわけじゃない。



 おままごと用のスプーンでパクパクと食べる振りをする俺、そして横で本物の餌を食べているチャッピー。

 あれ?なんか不公平じゃね?


(本物食べて見たかったな」

「え?」


 しまった。思っていただけと思っていたが、普通に声に出てしまっていた。

 どうにも仕事モードじゃないと、気が引き締まらない。


「それじゃあ……たべてみ…る?」


(マジですか?)



 それから美幸お嬢さまはちょっと行ってくる。と言いながら、俺とチャッピーを残して厨房へと駆け足で移動した。


(なんか朝一から悪いことしたな…)


 最後だから少しだけ甘えてもいいか、と結論付けこれについて考えるのは辞めた。


 レジャーシートを折りたたみ、おままごとの道具を片付ける。

 それから少しだけチャッピーと戯れて、気の木陰に腰を下ろした。





まさか2位になっているとは……ハッキリ言って予想してませんでした。ありがとうございます。


当面の目標は……1位?ですかね(笑)


感想ドシドシお願いします。






スナイパーの指示の仕方なんて分からないんで、知ってる人どんなセリフを言うのか教えて欲しいです。m(_ _)m

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