再会と対面
エタったって?
逆に聞こう、いつからエタったと錯覚していた?
嘘です、遅くなってすいませんm(_ _)m
あの子を初めて見た時の感想は?
とても眩しく、太陽のような存在だった。
今でも鮮明に覚えている。
肩まで伸ばした黒髪に、暖かい灯火の様な笑顔。
俺にとって、彼女とは生きる道標のようなもの。……だった。
◇◇◇
使用人寮と比べて、女子寮というものは超高級ホテル並の豪華さが醸し出されていた。
これ程のホテルには、射撃スポットがなかった時に大金を叩いて一泊したホテルと大差ない。
つまり何が言いたいかというと。
「寮の域超えてんだろ」
「それは否定出来ないのです」
独り言にフィリップスは苦笑しながら答えてくれた。
「でも当たり前といえば当たり前なのです!」
ミラノが少しだけ声のトーンをあげる。
「ここの生徒の中には大金を寄付している家もあるのです。国からの支給が2割程度で、あとは」
「あー、何となく分かったからいいよ」
話を途中で切り、会話を尖らせた。
何よりそんなグレーな話を十歳にさせるのは忍びない。
「それじゃあ入るのです」
赤いカーペットの引いた廊下を歩き、木造のドアの前に二人は立ち止まる。
ここにあの…
──コンコン
「美幸お嬢様、新しい専属執事をつれて来たのです」
「──どうぞ」
その声は、少し昔とは変わっていたが本質は変わらない。
暖かく、そして安心感のある、俺を包む抱擁のにも似た音。
ここまでやっときたのだという満足感。
フィリップスがドアを開ける。
瞬間、時間の流れが遅くなるような感覚が走った。
それはまるで走馬灯のような景色。
だが、その永遠にも近い時の流れもいつかわ終わる。
彼女の姿が見えた。
何故かは分からないが、こちらに背を向けている。
「お久し振りですね。二宮さん」
頭を鈍器で殴られたような感覚に襲われた。
そうだ、俺は何を勘違いしていたんだろう。
俺が変わったように、彼女も変わっている。
肩まであった髪の毛は、今では腰まで伸びており。化粧はしていないが、昔とは違い可愛いというよりも美しくなった。
ただ「二宮さん」と呼ばれたことだけに、俺はショックを隠せなかった。
当たり前と言われればそれまで。でも、どこかで期待していたのかもしれない。
「お久し振りです、美幸お嬢様」
ただ、俺は彼女という存在に俺を変わることなく受け止めて貰いたかったのだ。
それは酷く傲慢で、気持ち悪いくらいの執着だ。
今と昔、変わるなんてことは当たり前だ。
それでも、俺は変わらないものがあるとばかり理想を押し付けていた。
心が高揚し、深く沈む。
頭でわかっていても、気持ちが追いつかない。
俺は四つ葉のクローバーのネックレスを服越しに触る。
希望があった。
誠実があった。
愛情があった。
幸運があった。
「美幸様、何でこっちを見ないのですか?」
この沈黙を破ったのは、ミラノだった。
彼女と俺が話してから、数十秒何も話さなくなった空間に、匙を投げたのだ。
その匙は波紋を呼び、彼女を動かせた。
彼女が振り返る。
長い髪の毛がふわりと舞う。
後ろ姿と長い髪の毛ということもあって、彼女の線が見えていなかったので、その事に少し歓喜する。
日本人特有の黒髪黒目、そして父方の外国の血が混じり、日本では希に類を見ない体型となっていた。
疚しい気持ちで思ったわけじゃない。
ただ、昔と照らし合わせて思っただけだ。
「綺麗になった」
「え、」
凄く小さな声、彼女には間違いなく届かなかった声をミラノは聞き逃すことなく耳に入れた。
だが、そんなことはどうでもよかった。
彼女の顔を見た時に、俺はまたしてここが踊った。
ただ振り返るだけ。それ以外には何もしなかった。一言も、ただの一言も話すことはなかった。
だけれども、それでいい。
彼女がまだアレを持っていたことが、俺はたまらなく嬉しかった。
「……」
堪えなければ泣いてしまいそうな。
そんな気持ちだった。
もう捨ててるかもしれない。そんなありえないと分かっていても不安になる自分がいた。
そして、それは彼女に否定される。
彼女についてある桔梗の髪飾りを見て、
俺は不覚にも見惚れてしまった。
学校の勉強が難しいのと、バイトとかで毎日投稿は難しくなったので更新は遅くなると思います。
感想、高評価お願いします(`_´)ゞ