第八話「ござられば 甘く見すぎで ござりーにょ」
仲良くお喋りをして聞きだした情報は、
やはりヤンキーちゃんが脱退する際に、儀式と称したリンチ行うようだ。
グループの副リーダー。通称「ネック」と呼ばれるやつが言い出したらしい。
ボクはこれを、止めようと思う。
でも、グループの脱退は続行させたままにしたい。
なので、ネックってやつを突き止めて直談判しにいこうと思った。
我ながら無茶をしているが、なぜかやめようとは思わなかった。
恐らくヤンキーちゃんに言うと、「バカかあんた!!」で終わってしまうので、
なんだかんだ情報をもっている太田氏にネックについて電話で聞いてみることにした。
『……はい。太田でござる』
「よっ!西戸崎だけど!元気?」
『元気でござるよ……』
「あのさ、聞きたいことがあってs」
『すまぬ!!すまぬ……。メガネ氏も砂尾氏も悪くないのに、
避けるようなことをしてしまっている…。すまぬ…』
太田氏はいきなり謝罪し始めた。
そして、ぐすぐすと泣いていた。
申し訳ないが、声はいつもの2.25倍くらいきもかった。
太田氏が落ち着いた頃合を見計らって、ボクは現状を伝えた。
ヤンキーちゃんの生傷が絶えないこと。
グループ員から絡まれていること。
明後日リンチにあってしまうこと。
…ネックの情報が欲しいこと。
『どうもりのネックさんでござるか。知っているでござるよ』
「教えちくり~」
『知ってどうするつもりでござるか』
「直談判しにいく」
そういうと太田氏は「死ぬ気でござるか!」とか、
「甘く見すぎでござる!」とか、
ゴザリーニョ!ござられば!!とか言い出したので、
まじめトーンで話した。
「ボクさ、砂尾さんに告白されてさ」
『え゛っ』
「最初はウソかと思ったんだけど、どうやら本当っぽくてね」
『……』
「多分ボクの為に、グループを抜けようとしてるんだよ」
『左様か』
「太田氏。ボクも少しは格好つけたい」
太田氏はそのまま、電話を切ってしまった。
この野郎!!醤油瓶!!と思っていたらラインがきた。
そこには3年4組 首代 ケンゴと書いてあった。
さんきゅー 太田氏。
ボク、明日逝って来るわ。