5話ー陸哉の自信
「……り、リクぅぅ」
誰よりも頼りになる人が来てくれたことで緊張の糸が切れて、目から涙が次から次へと溢れてくる。
へたりこんだ体勢のままリクを見上げているとリクが私に笑顔を向けた。
そして私の頭に手を置き優しく撫でて、言った。
「間に合って良かった。ゆず、お疲れ様。よく頑張ったね」
「……ありがとリク。助けてくれるって信じてた」
「うん。助けてって言うまで一人で戦うって約束だったもんね。……だからここで選手交代だよ」
「でも……一人で勝てるの?」
「……正直に言うと大尉三体も同時に相手にするのは初めてだから少し厳しいかもしれない」
それはリクの敗北宣言だった。
私はリクより強い人を他に一人しか知らない。
そんなリクでも大尉三体を倒す事は出来ないという。
「そんな……じゃあやっぱり私も!」
リク一人で勝てないのなら私も一緒に戦おう。
たとえそれで負けたとしてもリクと一緒ならそれはそれで本望だ。
しかしリクは反論して来た。
「いや、ここは僕が一人で戦う。怪我をしているゆずに……未来のパートナーにこれ以上戦わせるわけには行かない」
「でもっ!一人じゃ……リク、死んじゃうよ」
リクが未来のパートナーと言ってくれたことに少しだけドキッとしたが、ここで死んでしまったら元も子も無い。
「僕は死なないよ」
「ぇ?」
「勝つのが厳しいとは言ったけど負ける気は毛頭ないよ。僕は必ず勝つよ」
リクはきっぱりと言い放った。
必ず勝つ。
リクが必ずと言ったならきっと勝てるのだろう。
リクは必ずと言う言葉を軽々しく使わない。
だからこそこの言葉を言ったなら信頼出来る。
「わかった……勝ってきてね!」
「もちろん! 見ててね。ゆずには初めて見せる僕の本気を!」
本気?
どういう意味だろうか?
まあ今考えても仕方が無い。
今は言われた通りリクの戦いを目に焼き付けよう。
そしてリクは機械兵士の元に向かって行った。
その時機械兵士に向かっていくリクの背中には凄まじい怒気が見えたような気がした。
頼もしくも思ったが少しだけリクが怖く見えた。
最後まで読んで頂いてありがとうございました。短くてすいません! 明日からは更新出来ないかもしれませんが感想などはいつでもお待ちしております!