1話ー如月陸哉の日常
小説の投稿は初めてなので温かい目で見てくれるとありがたいです。
目の前からは光が迫っている。この光は今戦っている機械兵士が放った、いわゆるレーザービームというやつだ。
本来であればこのレーザーは光速とまでは行かなくとも、音速以上の速度で迫ってくるので簡単には躱すことは出来ない
しかし僕は違う。
「よっと」
正面から迫り来るレーザーを僕は身体を傾けるだけという最低限の動作で躱す。
機械兵士と言っても高性能AIが搭載されている。故に機械兵士は僕がレーザーを躱した事に驚きの表情を見せた。
その隙を逃すほど僕は甘くない。
「はぁっっ!」
僕は一気に相手の懐に潜り込み、装備してある刀を抜き、機械兵士を一撃で胴体から真っ二つに斬る。
「まず一体!」
そう。まず一体なのだ。まだ一体しか倒していない。
現在僕の目の前にいる機械兵士は三十体。さらに空には八体いる。
普通の人が見たら思うだろう。
多勢に無勢、八方塞がり、四面楚歌と。
だが僕にとってはこの程度は日常茶飯事だ。動揺する様な事ではない。このレベルの機械兵士は僕にとっては何体いようと関係ないのだ。
機械兵士はたった今一体が倒された事で学習したのか、次は地上の三十体の内十体が僕の周りを取り囲んだ。
そして一糸乱れぬ動きで右手を僕に向ける。
これは先程の機械兵士も放ったレーザーが四方八方から飛んでくるという事にほかならなかった。
機械兵士達の顔は自分達の勝利を確信している顔だった。
正直に言うとこれを躱すのはできないこともない。だがここは躱すよりももっと確実な方法で実力の差を見せつけてあげよう。
レーザーは僕の全身に直撃した。
機械兵士達の顔には笑みが浮かぶ。
しかし一瞬の後に機械兵士達の顔が驚きに染まる。
それもそうだろう。
機械兵士達には自分達が放ち、そして標的に命中したはずのレーザーが迫っていたのだ。
気づいた時にはもう遅くレーザーは十体の機械兵士を貫いた。
「絶対反射」
僕は小さく呟いた。
残った二十八体は明らかな動揺を見せた。
そして理解しただろう。勝ち目など微塵も無いことに。
しかし機械兵士は止まらない。いや止まれない。
なぜならここにいるレベルが低い機械兵士達は、命令通りに行動するだけのロボットだからだ。
だから機械兵士達は僕に向かって特攻を掛ける。
まずは空の八体が一気にではなく、ばらばらに時間差をつけて僕を手に持ったサーベルで斬りつける。
八体全ての攻撃は僕に直撃したが、僕に傷をつける事は一切無い。
次に地上の二十体が各々僕に攻撃を仕掛ける。
レーザーを放つ者、サーベルで斬りつける者、拳を叩きつけてくる者、僕はそれらすべてをまったく回避行動を取らずに全て受ける。
それらの攻撃もまた、僕を傷つける事は出来ない。
この事実を見て機械兵士達は威力が低くて攻撃が効いていないと判断したのか、一箇所に集まって一斉に右手を僕に向けた。
「おっ!これはラッキーだな。
手間が省けたよ」
このレベルの機械戦士は言葉を理解出来ない。だから誰に言うというわけでもなく、僕は言った。
機械兵士は揃ってレーザーを僕に向けて放った。
目の前に迫る二十八体分のレーザー。
このレーザーは二十八体の機械兵士のエネルギーが込められている。
もしこのレーザーを躱したり、はじき返したりしても街に被害が出る事は確実に無い。だが僕は敢えてこれを真っ向から打ち破ることにした。
「絶対反射、放出!!」
僕は叫び、迫ってくるレーザーに向けて両手からエネルギー弾を放出する。
僕の能力の絶対反射には全ての攻撃をはね返す、という力がある。
さらにはね返すのは攻撃を受けてすぐということも出来るが、受けた攻撃をエネルギーとして貯めておくことが出来る。
今僕が放ったエネルギー弾は真っ直ぐにレーザーと衝突した。
エネルギー同士が押し合うが明らかに僕のエネルギー弾が押し返している。
僕が放ったエネルギー弾は機械兵士二十八体の攻撃のエネルギーを利用したものだ。しかし僕のエネルギー弾は機械兵士のレーザーより威力が高い。
この理由は絶対反射の力だ。
絶対反射は受けた攻撃だけでなく、全ての力を反射出来る。
これがどういうことかというと、僕は体にぶつかる風や太陽の光などですらエネルギーとして利用出来るのだ。
つまり僕はその場に居るだけでもどんどんエネルギーを得ることが出来る。
故に風や太陽の光のエネルギーまで利用した僕のエネルギー弾が機械兵士のレーザーに負けるはずが無い。
僕のエネルギー弾は残っていた二十八体の機械兵士を全員撃ち抜いた。
討伐完了。
「よーし。終わったぁー!」
余裕とはいえやはり疲れるものは疲れるのだ。
今はまだ機械兵士が街に現れるのは三日に一回程度だし、僕以外にも討伐者と呼ばれる人はそこそこいるので今のところは問題ない。
しかしこれ以上機械兵士の襲撃が増えればかなり大変になる。
、とまあそんな事を今考えても仕方ないのでさっさと家に帰るとしよう。
これが僕、如月陸哉の日常。
ランク六の討伐者の僕は今日の任務を終え、帰路についた。
最後まで見ていただきありがとうございました。
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