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転生奴隷少女は逆ハー勇者様をお守りします!

作者: Ash
掲載日:2015/10/05

「私は根岸 萌。よろしくね」


ご主人様から紹介されたあたしにそう言って優しく微笑んだ黒髪黒眼の異国の顔立ちをしたお姉さんに、あたしの心臓は大きく跳ねる。




ドクリ




彼女を守らないと。


異世界に勇者召喚されてしまった彼女を守れるのは同じ記憶を持つ自分だけだと、あたしは流れ込んできた記憶に押し流されそうな意識で決意した。




□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□




あたしの前世の名前は東川(ひがしかわ) 神奈(かんな)。

今のあたしに名前はない。

アレとか、小さいのとか、赤毛のチビと呼ばれていた。

あたしは奴隷として生まれ、奴隷として生きてきたから。


あたしの容姿が可愛いのか綺麗なのかよくわからないけど、旦那様(ご主人様の父親)と一の若様(旦那様の長男)に厭らしい目つきで見られ、「いくつになった?」と尋ねられ、「あと少しか」と気味の悪い独り言を呟かれることは時々ある。

勇者様との出会いで前世の記憶を取り戻したあたしはこう叫びたい。


死ね! ロリコン!


ご主人様は異世界から召喚された勇者様と旅に出ることになったからと、勇者様の雑用をさせるためにあたしを連れて行くことにした。

ロリコンどももまだ待つ気だったせいか、あたしは勇者様のお世話をする雑用係として同行を許された。

ご主人様、様々である。

感謝してもしきれない。


ご主人様が危惧した通り、勇者様の一行に勇者様の身の回りの世話ができる侍女は同行者にいなかった。

料理ができる人物もいなかったので、少しばかり料理のできるあたしがその担当になった。

料理人の手伝いをさせられていた苦労も実ったと思うと感慨深い。

このフライパンはそんなあたしにご主人様が買い与えて下さったものだ。


が、そのご主人様でも勇者様の貞操は奪わせられない。

他の勇者様の一行(逆ハーメンバー)同様、旦那様たちのような厭らしい目つきで勇者様を見ている分には許そう。

だが、そこまでだ。

実際に手を出そうとしたら、この相棒となったフライパンが黙っちゃいない。


と言うのも、あたしが勇者様と引き合わされる前に勇者様の逆ハーメンバーたちの内緒話を聞いてしまったからだ。

異世界から召喚された勇者というのは強大な魔力の持ち主ばかりで、王侯貴族は勇者とその血縁との婚姻で魔力が低下しないようにしているらしい。

つまり、魔物退治をする勇者様の逆ハーメンバーとは毛並みは良いが勇者様の貞操を虎視眈々と狙っているケダモノなのだ。


まさか仕事道具として買い与えたフライパンで攻撃されるとはご主人様も予想だにしていなかっただろう。


前世のことを思い出してしまっただけに、出身が前世の自分と同郷の勇者様を放っておけない。


あたしの中で勇者様の貞操はご主人様の恩よりも上なのだ。


高校生がいきなり異世界に飛ばされて、自分を狙っている男どもと魔物退治の旅をさせられているんだよ?

誰かが味方になってやらないと駄目じゃない。



それに勇者様はあたしに名前がないと知ると、”ナナ”と名付けてくれた。


・・・。

ネーミングセンスがないのはわかった。

旅の同行者である逆ハーメンバー6人に続く7人目だから”ナナ”。

逆ハーメンバーの従者たちもいるがそれは8人目以降と勇者様はカウントしているらしい。

逆ハーメンバーそれぞれにニックネームを付けて呼んでいるけど、実は彼らの名前を憶えきれないということは女の子だけの秘密だ。

ちなみにご主人様は逆ハーメンバー2号ということで”ニンジン”と呼ばれている。



今日もあたしは料理を作るのと勇者様の貞操を守るべく逆ハーメンバーをフライパンで殴り続けるのに忙しい。

祟一(ゴボウ)じゃないから、甘い恋人とは縁のない萌ちゃん。

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