表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/112

尋常じゃない戦い

「――で、どうするつもりですか?」


 壊滅させた砦跡地に、ドラゴンが着地する。俺は負傷したベスを背負いながら、ため息をつきながら問いかけるシロと目を合わせている。


『決まっている。キャストラインに追い打ちをかけ、この戦争中に完全に叩き潰す』

「ですが現実問題としてベスさんが負傷している今、進軍は踏みとどまらざるを得ません」

『だったら一人で潰してくる。それならいいだろう?』


 邪魔立てするなら味方ですら斬るつもりで、俺は腰元の刃をちらつかせつつシロに向かってそう言った。

 シロはそんな俺の気概を感じ取ったのか、ため息をついて改めて作戦を練り直すことにした。


『ベスは本国に帰す。俺はここに残って、キャストラインを完膚なきまでに潰す』

「編成はどうしましょうか。流石にベスさんが負傷した今、本国に戻そうとしたところで護衛を付けなければなりませんから」

『ここから先は進軍戦だ。キリエはベスと共に帰還しろ』

「……分かったわ」


 キリエは心配そうに俺を見ているが、俺は別に大丈夫だ。


『……というか、俺とシロさん以外は全員帰還しろ』

「えぇっ!?」

「そ、それがしたちもであるか!?」

『ああ。何か問題でも?』


 俺に異を唱えたのはグスタフだった。


「流石のジョージ殿とシロ殿でも、相手はキャストライン、七つの大罪セブンス・シンがつくとはいえたった二人で一筋縄でいく相手では――」

『黙れ』


 俺は抜刀した刀の切っ先をグスタフに向け、威圧と共に言葉を浴びせる。


『……ここから先の戦いは、殲滅し引き裂く剱ブレード・オブ・アニヒレーションでもベヨシュタットでもない、個人の戦いだ』


 俺の言葉の裏に隠された意図を察したのか、グスタフはそれ以上は何も言わずにいた。


「…………」

「っ、ジョージさん!」


 俺が刀を収めたところで、今度はイスカが話しかける。


「一つだけ、約束してください」

『……何をだ』

「勝っても負けても関係ないです、絶対に帰って来て下さい」

『……その約束は少し無理がある』

「どうしてです!?」


 シロは既に支度を開始しており、俺はラストに刀を預けながらこういった。


『……俺とシロさんに、敗北は無いからだ』



     ◆ ◆ ◆



 四人が撤退するのを見送り終えたところで、俺とシロは改めて向き合って話始める。


「……あの人たちを帰すということは、ここから先は普通の戦いではなくなると?」

『……そうなるな』


 どんな手を使ってでも叩きのめす。それすなわち常人から見れば残虐だ、卑怯だと呼ばれるような戦い方をすることになる。


「仕方ありません、ボクもあの武器を呼び出しますか」


 シロはそう言って魔法陣が刻まれた手袋をはめ、武器の召喚に取り掛かる。


「――【呼出コール召喚武器ウェポンサモン】」


 シロが呼び出したのは、柄の両端に刃が付いた両刃剣。

 ――《緋蒼剣ひそうけん》と呼ばれるレアリティレベル120のその武器は、一方はあかく輝き、一方はあおく輝いている。


「ここから先は《殲滅し引き裂く剱ブレード・オブ・アニヒレーション》としてではなく、《無礼奴ブレイド》として戦う事になる――でよろしいですか?」

『……懐かしい名だ』

「名目上はベスさんの敵討ちということで……ああ、つらつらと言い訳ばかり考えるのは面倒です。早く潰しましょうか」

『ああ』


 シロはそう言ってラースの背中へと飛び乗り、俺とラストもそれに続いてラースに騎乗し、敵の首都であるドラムマグルナへと向かう事に。


「まさか国を落とすタイムアタックをすることになるとは、面白くなってきました」

『……ラスト、籠釣瓶カゴツルベの召喚をしておけ』

「っ! で、ですが主様――」

『封印とかしている場合じゃなくなったんだよ。たった今な……』



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ