超強力怪力娘
昨日は更新ができずに申し訳ありませんでした。
『一体何が何だか……』
俺は今ひとまず城を出て、考え事をしながら門前まで歩いている。
とりあえず俺の許嫁である闘王とやらは俺の家に向かっているようだが、まったくどうしたものか。国家間のことだから適当にあしらう事も出来ないだろうし……そもそも剣王もどういう風の吹き回しだ? なぜ俺が結婚しなければならない?
……あっ。
『今俺の家にはラストがいるはずだよな……』
…………。
『まずいッ!』
絶対に争う。ってか下手したらベヨシュタット終了のお知らせの可能性すら出てくるのだが!?
『急がねば!』
縮地も使って最高速で家の方へと向かう。更にワノクニで学んだ屋上を伝うパルクールで更に速度を上げて家の方へと向かう。
『頼むから早まった真似だけは――って無理か!』
◆◆◆
「……誰だ貴様は?」
「あ、えーっと、ここが刀王さんの家で間違いないですよ、ね?」
「だとして、貴様は何の用で此処に来た?」
「それはですねー、スズハが刀王さんと――」
『そこから先は俺に話しをさせてもらおうか!!』
ギリギリセーフ!!
俺がギリギリで割り込んだのは、玄関前でボスモード全開にて殺気立つラストと、見た目からして闘王とは思えないほどにゆるい雰囲気を出す少女の間だった。
「主様? 一体どういう事ですか?」
「あっ、あなたが刀王?」
『そうだ。あんたが用があるのは俺だろ? とにかくこいつには話さなくてもいい』
「なっ!? 主様!? それはどういう事ですか!?」
言ったら絶対にこの辺が血の池に沈むから言わない。口が裂けても、キーボードのボタンがハマっても言わない。
『……とにかく、場所を変えよう。ラストは家で待っていてくれ』
「一体どういう事ですか主様! まさか、私を捨てようと――」
『そうじゃない。これは他の国との重要な話というだけだ』
「まあ、重要じゃないと言えば嘘になりますねー」
だからどうしてこいつはナチュラルに煽っているんだよ!?
「ぐ、ぐぐ……」
「では、失礼しまーす」
そういって少女は俺を連れてラストに背を向けようとした。だがラストにとっては堪忍袋の限界だったようで、後ろから思いっきり後頭部を潰そうと毒の付いた爪で掴みかかろうと飛び掛かった。
『ラスト!』
「流石に我慢の限界です!」
俺としても不意打ちのため割って入るには少々難しかった。
しかし――
「おっとっと」
「なっ――」
少女は後ろを振り向くことなく、ラストの手首を掴んでその攻撃を制する。
「い、痛いっ!」
「あ、どうもごめんなさーい。スズって力加減できないんでー」
少女はラストの手首を話し、軽い気持ちで謝った。しかしそんな事よりも、俺の目にはとんでもないものが映っていた。
あのラストの手首には、握られた跡がくっきりと残っていたからだ。
「一応闘王やっているんで、力加減できないのは御愛嬌ってことで」
少女はいたずらっぽく笑っているが、俺とラストにとっては笑えないできごとであった。




