エピローグ
エピローグ
リアルは再び逮捕された。今回の彼はずっと黙秘を続けているという。何に対しても何もしゃべらず、よってコバルトの捜査には何の進展もないというのが現状だ。
「ハル、大学に遅れますよ」
何も変わらぬ四季家では、今日も寝坊をした春一を夏輝が起こすといういつもの光景が見られた。
「今日は二限からだよ…」
春一は布団にくるまりながら、目を開けようともせず寝ぼけた声で言った。
「予定が変更になって一限からになったと昨日言ってたじゃないですか」
「!!」
半分眠っている脳を働かせて記憶を手繰り寄せると、確かに夏輝の言うとおりだった。今日だけ予定が変わったのだ。
「ヤッベ!」
春一はバネのように跳び起きた。そのはずみで夏輝の頭に自分の頭が衝突する。
「いっ…!」
「あ、ワリ」
春一の石頭に激突された夏輝は、ふらふらとした足取りで春一を睨みながら部屋を出て行った。
「よう、ジョー」
「おおーハル。琉妃香がもうすぐ来るゼ」
「ハル、ジョー!」
大学のカフェの入り口で、琉妃香が手を振る。二人は琉妃香の席を空けて、彼女が来るのを待った。
「お、そのラスクうまそう。ひとつもーらいっ」
「馬鹿ハル!返せあたしのラスク!」
「じゃあ俺も一個もーらイ」
「ジョー!」
琉妃香は二人の頭を叩いて、春一と丈のプレートからフライドポテトをつまんだ。
「お前らさー午後講義入ってんの?」
「ねーけど」
「俺モ」
「じゃあツーリング行こうよ!」
「賛成!」
「サンセー!」
三人は手早く昼食を取ると、そのまま駐輪場に駆け出した。
TRUMPⅤこれにて完結です。
ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございました。




