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「な、何だ?」
リアルは、突如として視界を奪われたことに焦りを感じていた。リアルの嫌な予感は的中し、すぐに手には衝撃が走った。春一に銃を蹴り上げられたのだ。
リアルは視界を奪っているものを手でどけた。それは、カラフルな色をした何十本もの細いテープだった。
「没収~」
春一が銃を手で弄びながら、リアルを見て笑っている。リアルには百本を超えるであろうテープが絡まっていた。
「パーティーってのはさ、こんな無骨なもので始めちゃいけないだろ。パーティーと言えば、やっぱクラッカーとダチがいなきゃな」
リアルが振り返ると、そこには丈と琉妃香、そして夏輝がそれぞれクラッカーを持って立っていた。丈と琉妃香などは片手に四本ものクラッカーを持っている。辺りに煙と火薬の臭いが充満するほどの量だ。
「俺にGPSと盗聴器をつけて、百円ショップでクラッカーを買ってくるだけでパーティーの用意は整うんだよ。後は、俺の最高の仲間達がいりゃあな」
「くっ…」
リアルが辺りを見回す。しかし、彼を助ける者は誰一人として出てこない。
「あなたの仲間は全員私の紐で縛り上げましたよ。そろそろ枢要院が到着する頃ですから、全員連れて行かれるでしょうね。勿論、あなたも」
行く手も、戻る道すら塞がれたリアルには、もう何もできない。
春一は歯を噛みしめながら自分を睨むリアルを見て、銃を弄ぶのをやめた。そして真面目な顔つきで、リアルに対する。
「観念しろ。一人じゃ、何もできねぇんだよ」
拳を戦慄かせるリアルだったが、不意にその力を緩めると、全てが終わったことを悟り、肩から荷が下りたような表情をして春一を見た。
「僕の、負けだよ」
ただ一言、彼はそう言った。
「ああ、そうだな」
そして春一も、そう言った。




