時計
わしの名はロック。
時計型の機械じゃ。見た目は安そうな壁掛け丸時計じゃが、これでも機械族時間担当の長をしとったわい。
皆に正確な時間を知らせるのが役目じゃ。
機械族は製造されるとき、一枚のチップが埋め込まれる。
マスターコピーチップと呼ばれ、一番最初に意志を得た機械に付いていたチップのコピーだ。
自分で考え、成長する為のプログラムが書かれていると言う。
成長の仕方は環境に寄ってかわる。
いろいろなことを必要とすれば成長も速いが、必要なことが無ければ成長しない。
行動はまず過去のデータと照らし合わせて行動するが、過去に無いことが起きると、次の動きを計算から予測して動き始める。
経験が少ないほど、次の行動パターンの選択肢が増えてしまい、行動に時間が掛かる。
ロックは時計の針を見て
ひどいことするもんじゃ。
わしが正確な時間を教えようとしてるのにだれかが勝手な時間に合わせよった。
「よいさ!? 」
掛け声とともに勝手に時間が動き始め正確な時間で止まった
しかもこんな安い電池を付けよって、動く為のエネルギーが不足して仕方ない。
確かまだ起きていた時は、わしのオリジナル電池がついていたはずじゃが仕方ない。退屈に負けて居眠りしてたばつじゃな。
そう言うとロックは壁から離れ隣りの小部屋に移った。
何か使えそうな物はないかのぅ。
全く人間と言う生き物は、もっとつかそうな機械を作れんもんかのぅ。
ぶつぶつ言いながら、昔ながらのメトロノームを見つける。リズムが合っているかを調べる物だ。
この反復運動なら、多少のエネルギーが得られそうじゃ。とりあえず一時的な代用じゃな。
そう言うとロックの両手はドライバーになりメトロノームを分解、改造し自分に取り付けた。
取り付けた後、電池はもういらんと言いほん投げる。
ロックが動くと背中の棒は反復運動を始め、エネルギーを作り出す。
試しとばかりに動きを激しくすると背中の棒は反復運動をさらに速めた。
「わしって天才!? 」
嬉しそうに笑顔になりロックはそう言った。
さてと、さっきのおなごの話しじゃと、ここは危険じゃな。とりあえず建物から離れるとしよう。
そして自分の体を触りながらロックは、勇者達を見守り、知識と歴史の部屋を守るのが仕事だった。
しかし、勇者達が装備を残し、あの部屋にいないと言うことは、学者ディノに見つかり何かされてしまったはずじゃ。
すまない勇者達。後はわしがディノを倒す。そう言い残した。
「さっきのデータ照合がディノで無く勇者達だったらのぅ......」
ロックがさっきあわてて時計の位置に戻ったのは、一定範囲に特定の対象が入るとわかる能力がある。ゾイルが近づいたからだ。
ゾイルの名はディノ・ゾイル。
ディノとは校長の家系である。ディノ家のデータが入っていることになる。
ロックは学校を出る。そして敷地内に姿を消した。
しかし敷地内は
「なんじゃと!? 」
いきなりモンスターと遭遇してしまう。
ロックより明らかに大きく、顔は猪で、鎧を着た二足歩行のモンスター。
機械族がもっとも苦手とする獣人族だ。
獣人族の行動は、考えるより先に体が動く、ほぼ不規則と言って良い。
機械は不規則な動きをされるのが、苦手だ。
あの目は呪われた目じゃ。見つかれば攻撃される。
しかし、焦り、考えれば考えるほど背中に付けた、棒は速く反復運動を始める。それだけエネルギーを必要とした。
そしてその音は十分モンスターにも聞こえた。
そこからはロックとモンスターの追いかけっこの隠れん坊だ。
戦うことより、逃げて、隠れるを選択した。
そして大きな壁にぶち当たる。
学校の外壁だ。しかしロックには
「うぉー まさに人生の壁じゃ!? 」
泣きながら壁をばんばん叩くが壁はびくともしない。
ロックは誰かが来る気配を感じた。
「はいっ ここに火を灯して魔法使い組は終了です」
ナナギがあらわれ壁に火を灯した。
「……」一瞬ロックの動きが止まる
「うぉー まさに女神じゃ! 」
ロックは最後の頑張りとばかりに、がむしゃらに、ナナギの方に声をあげ走った。
「こっちじゃ! 」
ナナギはそれに気づいたが
「弱そうですが、手は抜きません! 」
ナナギは杖でロックをはたいた。
壁にロックの跡がついたかのように、貼り付き、ずり落ちる。
「娘よ、知っているか、呪われし魔物は話すことが出来ないことを…… 」
そう言い残し時計の表面に×点がでて動かなくなった。
ナナギはそんな話し聞かず、獣人のモンスターに、魔法攻撃をしかける。ナナギの魔力を感じ、他の魔法使い達が集まってきた。
そうなると、獣人モンスターは一方的に倒された。
「みんなありがとうございます」
ナナギは他の魔法使いに礼を言い、その後は皆に、各グループのスケットをしましょうと言い、その場を去った。
それから数分後だった。
放送で、レアリー、ティカ、ライルが校舎前に来るように連絡があった。
そこにナナギも現れた。
どうしたかの声にゾイルは、時計とメトロノームが見当たらないと。
しかしレアリー達は、自分達が音楽室から出る時は、時計はあったと言う。
ナナギは時計のモンスターを今日倒しましたと言うが、ゾイルは聞く耳を持たない。
この時レアリーとティカ、ライルはまさかと心で思った。
ゾイルは他の生徒のいたずらかと思い、他をあたる。
レアリーはナナギにどんな時計のモンスターかと聞くと、その時計たぶん機械系と言い。
倒した場所に行くと多少姿は変わっていたが、音楽室の時計だ。
壊れてしまったかと焦るが、しばらく様子をみると、時計は機能を回復し始めた。
「ここはどこじゃ」とロックは問い掛けた。
レアリーは学校の敷地内と答え、大丈夫かと返す。
ロックはしばらくすれば全開すると答え、この場を速く去りたいとも言う。
しかしレアリーが問題発生して、音楽室に時計が無いことをゾイル先生が知り、探している。
ロックは戻らないと、この壁は開かずいつかは見つかると考えた。
ロックは近くにスクラップは無いかと質問してきた。
ナナギはテレポートを使い幾つかの壊れた機械を持ってきた。
こんなのでいいかと聞くとロックは、上出来じゃと答え、分解、加工、組立をし、音楽室の時計とメトロノームを作った。
レアリー達はこれを代わりに持って行けばなんとかなる。
ナナギはでも、どうして持ち出したか聞かれたらどうしますと聞くが。
ティカが解決してくれた、ティカはナナギの杖を取り、せっかく造った2つを杖で叩いて壊す。
そしてナナギに、倒したモンスターは、時計とメトロノームだと。
ナナギは理解し、テレポートでゾイルに届け、目の前に現れたときは、確かモンスターだったと言いこの件は解決。
そして、全に火が灯り、外壁が消え、ロックは学校内を出ることに成功した。