仲間である
中央学校ではいつものように朝を迎えた。
音楽室では、レアリーがいつものように歌を歌う。歌声は響きわたり、普段と同じように朝を迎えていた。
しかしレアリーの目は、時計を見つめる。時計は普段と変わらず「カチカチ」と時を刻む。
この時計少し遅れてる。レアリーはそう思い時計に近いた。
「時計になにかあるの?」そう少しとがったような口調で女性に話しかけられた。
レアリーがあわてて扉の方を向くと、ティカとナナギがこちらを見ていた。
そして、普通に声掛けたのにその驚きかたは、何かあると2人に思わせた。
ティカとナナギは賢く感も鋭い。
ティカは話し始めた。
いつも一緒だった幼なじみは残念だったねと。それと、彼には空白の二日間がある、そしてその後彼は不思議な力を使い始めた。
もちろん彼だけじゃない。彼と親しいレアリーとライルも。
彼の空白の二日間になる前、確かこの音楽室で魔力を感じた。それが最後だったよね。
そうティカはレアリーを覗き込むように話す。
レアリーは話しが合っていた為、言葉を失い、話そうとするが言葉が出ない。
ティカはにっこり笑い。いろいろ話しを聞きたいなぁ〜と意地悪そうにレアリーに言った。
「三人で何かお話しですか? 」その声はゾイルだ。
ティカは不意の声にも動じず。素早くレディトークですと答えた。
ナナギもレアリーに教室に行こうと声をかける。
レアリーはこの時、この対応の良さに、2人は音楽室にアンティの秘密があり、調べに来たんだと気付く。
もちろん、自分とライルが何か知っていると判断して。
しかし、講義が始まりレアリーは、ここにいるほとんどが、音楽室にアンティの秘密があるかもと疑い、調べようとしてるのではと考えた。
今時計に疑いを持っているのは、ティカとナナギ。きっと2人も秘密の部屋を見つけるはず。何か考えはないか?
困った顔をしてライルの方に視線を送る
しかし席の並び順が悪かった。レアリーとライルより後ろに席にあったティカはレアリーの仕草をを見逃さない。
ティカはレアリーに消しゴムのかすを投げて、ヒットさせた。
レアリーは振り返る。そうするとティカは、今度丸めた紙を投げてきた。
「落ち着きなさい!? 」そう書かれていた。
ティカは既に音楽室に行く計画を立てていた。それにレアリー達と一緒に解決したいと望んでいる。
そしてティカは、突然立ち上がり
「先生! 今物音がしました」
と言いそれは、またアンティじゃないかと言った。
ゾイルは気のせいでしょうと言うが、ティカはわざとちらちら気にする素振りを見る。
ゾイルは先生としての立場上仕方無く見回りに行って来ますと言うが、ナナギが自分はそんな音聞こえてないと言い、気のせいに付き合う必要は無いと思う。
そして気になるなら、自分で見て来てくださいとティカに向かって言った。
もともと強気なティカだけにわかりましたと、強い口調で言い教室を勝手に出て行く。
ライルが立ち上がり
「親友が戻って来たか?」と言い教室を出て行く。
レアリーもライルを追うように無言で飛び出した。
ゾイルが後を追って行こうとしたら、ナナギは「先生、あの人達寂しいんですよ」
と言い、少し時間をあげてください。その言葉に他の生徒達も暗い顔をした。
ナナギは、そう言うことで他の者まで足止めをした。
ティカが音楽室に入ると同時にライルとレアリーも音楽室に入る。
ティカはゆっくり一人で探すつもりが、2人もついてきたと笑う。
そして2人にあまり時間は無い。
だから詳しい話しは後にしてやりたいことやりなさいと言った。
レアリーはライルの方を見るが、ライルの行動は速い。
すぐさま時計に怪しい所は無いか。時計の裏に何か無いかを探すが、見つけられない。
その姿を見たレアリーは、ティカに黙っていたことを話す。
レアリーは、話が終わると時計をとり、この遅れた時間が怪しい、時計の針を止めたり、進めたりした。
しかしティカは、苦笑いして、それで見つかるなら、電池の状態で秘密の入り口は出現していると言い。
目撃例が無いから、絶対違う。
レアリーは恥ずかしそうに他を探す。
ライルは、きっとあいつも同じことしたよとレアリーに言ったが、慰めにはなってなさそうだ。
ティカは時計を眺める。そして疑問を片付けて行く。まずはこの時計が入り口だとする。
どうやって時計より大きな人が中に入るのか?
レアリーはアンティが体を小さくしていたことを話す。
しかしティカは小さくする魔法は、以前より知られていなかったことから、書斎で知った魔法。ドランを隠す為だろうと考えた。
だが入るとき、ドランはアンティがテレポートしてきたと言う。
ティカは机の上に立ちレアリーを眺めはじめた。
そして入り口はかなり小さいと思うと言いだした。
相手に気づかれず常時見ることが出来るくらい小さな穴だと。時計を手に取り穴を探した6、8、9、0に穴がをあると言い覗きこむと、6の向こうに書斎が見えた。
小さくならないと行けないねとレアリーが言うと、ティカは本当に優等生かと呆れた。小さくなっても、このプラスチックの表面を透き通れるのか?
しかし三人共テレポートは使えない。
一旦教室に戻ろうとティカは提案した。ナナギがテレポートを使えるからだ。
しかしあきらめのきかないレアリーが、短くマイクになった精霊の杖で「コンコン」と叩くと、時計の表面が歪んだ気がした。
もう一度叩くと確かに反応する。
ティカが特殊な装備は何らかの反応するのかもしれないと言う。
ライルが正義の大剣を近づけた。
時計の表面は歪みを更に増す。
ライルはひょっとしたら向こうで手に入れた装備をつければ通れるのかもと言い、剣の先を時計の表面に当てた時だった。
「痛ーい」
三人は一瞬びっくりするが、ティカがライルにもう一度と言う。
ライルが剣を近づけると、時計の両脇から手が出て、剣を受け止めた。
「痛いって言ってるじゃろ」
時計は手だけではなく下から両足まで出てきた。
「まったく人間は〜」と言い時計が立ち上がった。
そして自分を機械族。機械だって痛いんじゃと言う。
三人が時計に驚き見つめていると。時計の表面から、目と口が映し出された。
「ずいぶんな起こし方してくれたのう人間」
少々機嫌の悪そうな時計はこちらを向いて話しかける。部屋に行きたいのか?
しかし部屋は人間から護るように勇者達に言われていると言い、行かせる訳にはいかないと言う。
ティカはライルの剣を指差した。
時計は剣を見て動こうとしない。機械族の弱点である計算中の待ち時間だ。必死に状況を把握しようとしている。
時計と言う役割を全うするあまり自分の存在を忘れていたようだ。そう時計は話す。
レアリーは、あまり時間がないことから、時計に今までのことを簡単に話。だから、中で封印について調べたいと言う。
しかし時計はあわてて、音楽室の所定の位置に戻った。
その数秒後にゾイルが音楽室に現れた。「そろそろ教室に戻ってくれませんか? 」
三人は、はいと答えここは教室に戻ることにした。