手におえないとき
「大変です!? 」
そんな声が教室に響いた。
どうやら街に二匹のドラゴンが現れたと言う。凶暴で街を破壊していると。
そして画面に映像が映し出されると、今まで実習では見たこ無い大きさで、トラックに羽根が付いたかと思える大きさだ。
それと、恐ろしく残酷なドラゴンだ。
ゾイルが今こそ成果を見せる時だ、誰か戦いに行く者はと生徒に問いかける。
しかし生徒は恐怖感じ誰一人として行こうとしない。
「彼に行かせましょう」
校長がシュミレーション室に居る俺を指名した。
不思議な魔法を使い戦う俺にたくした。
しかしゾイルは、俺が披露会の対戦で精神力を疲労してまともには戦えないと校長に言う。
それでも校長は動けるならと言って引かない。やもえずゾイルは俺に話をする。
俺としても頭がぼーっとしているし、魔力が回復していない。無理だと思うが行くしか無かった。
しかし隣では「無理です! 」きっぱり断るレアリーが居た。
現状で動けるのはレアリーと俺だけ。
ライルは召還魔法の爆発のダメージでしばらくは、目覚めない。ティカもまだ目覚めない。ナナギと修羅も同じだ。
ドラゴンは魔法攻撃に強く、魔法をメインに戦う俺達で行っても無理に近い。
せめてライルがいればなんとかなりそうだが。
しかし俺とレアリーは、無理矢理校長の魔法によって戦場に飛ばされてしまった。
戦場では有り難いことにペドロがドラゴンと戦っていた。
手に取る武器は槍。一見無茶に見えたが、槍から出る不思議な光はドラゴンのブレス攻撃をすべて受け止める。
受け止めたと同時に闘気を纏い、去り行くドラゴンめがけて放つ。かわされはするが、当たればかなりのダメージだ。
闘気はライルと違い、闘気量を上手くコントロールしている。
ペドロは、俺たちに気づくが、戦えない状態だと判断し、隠れていろと叫んできた。
しかしドラゴンは俺たちを見つけターゲットを変える。
俺もレアリーもドラゴンに攻撃を仕掛けるが、威力が無いことにドラゴンが気づくと、ドラゴンは避けることもしない。
転がり回り隠れる所を探しては攻撃される。
ペドロは2匹のドラゴンは火龍種だから水か氷で対抗しろと教えてくれた。
俺は逃げ込んだ先が水だったことから、手を入れ水のドラゴン「リヴァイアサン」を召還した。
しかし水の量が足りないのと、魔力が不足していたので全くダメージを与えられない。
これを見たペドロは、俺の所に寄り見つけてくれたんだなと、一言。
俺は何のことか考えたが、ペドロに「はい!」と応えた。
ペドロは俺と背中合わせになり、街の老人に変装し俺に秘密の部屋見つけさせたと話した。
そしてあの学校はおかしいと
ペドロに秘密の部屋の存在をなぜ知っているのかと聞くと、何かのうめき声がどこからか聞こえてきて、探していたと言う。
学校内をくまなく探していたら、中央学校のどこかに、すべてを知ることの出来る部屋が隠されている。と記載された本を見た言う。
本を持ち出し研究しようとしたが、校長に見つかり、気に入られず学校を追い出されたようだ。
そしてペドロは、俺が見たことの無い召還魔法を発動したことで、秘密の部屋の存在は確かだったと確信した。
校長はそれを知っていて隠している。それか部屋を探している。そう思わないかと俺に問いかけてきた。
ドラゴンの攻撃がレアリーをとらえた!
レアリーは悲鳴とともに倒れ込んだ。そんなのお構いなしにドラゴンはもう一度レアリーを攻撃しようとする。
「ドッ ドッーン」
その音と同時に空を飛び回り、レアリーに突進してきたドラゴンが爆発に包まれた。
ドラゴンは地面に落ちたがすぐに浮上しレアリーを睨めつける。
そこにはレアリーしか居ないと思えたのは人間だけだ。
実際倒れるレアリーの前にはドランがいた。
しかしレアリーは小さな戦士を両手で隠す。
俺はその仕草を見て、ドランが居たとわかる。
レアリーに隠すなと叫ぶとレアリー震えながら首を振る。
小さな戦士がやられてしまうと思たのだろう。
しかし、俺はドランをもとの大きさに戻すと言うと、レアリーは両手を広げドランを俺の方に見せた。
俺は小さくする魔法を解くとドランは人間の膝くらいの姿のデブドラゴンに戻った。
ドランは目の前の意思の無いドラゴンを睨めつける。複雑気分だろう。同種同士の戦いは。
しかし迷うこと無く攻撃を仕掛けた。その攻撃は俺が召還した、爆破系ドラゴンであるバハームートと同じだった。
ドラゴンはひるんだが、もう一匹のドラゴンが近づいてきた。
そして二匹同時の攻撃がドランを襲いわずか数回の攻撃でドランを戦闘不能にしてしまった。
おそらくあの2匹はつがいのドラゴンだ。
攻撃も防御もお互いをしっかりサポートしている。そういうとペドロは勝ち目が低いことを俺に言った。
それからはわずか数回の攻撃後だった。俺をかばいながらのペドロは大ダメージを受け倒れてしまった。
倒れたあと残されたのは俺一人。何の抵抗も出来ず俺は動けなくなってしまう。
「もうなにもできねぇ」俺は悔しそうに倒れながらつぶやいた。
そんな俺に「最後にやり残したことはありませんか?」
ペドロは傷つ付いた体を、瓦礫に寄りかかりながら起きあがりそう言った。
その問いにレアリーが答えた
「こんなときだからこそ最後に好きな歌を、歌わせてください」
レアリー立ち上がり戦闘中にそう言った。そしてもう一度自分は本気だと言いたいのか、こんなときだからこそ大好きな歌を歌いたいと言ってくる。
俺はそんなレアリーにマイクは必要かと言うと。
レアリーは微笑んでくれた。俺は精霊の杖をペドロに投げちょっと短くしてほしいといった。
ペドロはお易い御用ですと言い杖をマイクのように短く切り落とした。
簡単にやったがものすごい達人技だ。
マイクのようになった杖はレアリーに渡され、レアリー小さく息をすい込み歌を歌いだした。
声はいつもより響き、透き通り、力強く心に入り込んでくる。
その時だ、空中を優雅に旋回するドラゴンが動きをやめレアリーの方をみた。
ペドロも俺も目をつぶって成り行きに任せるしかないと思えた。
サビに入ると更に心に響く
やがて歌い終わった。ドラゴンは攻撃してこない。それになぜかドラゴンの目には涙が見えた。
「人間よ、我らの呪いは解けた」ドラゴンはそう語りかけてきた。
二匹のドラゴン達は、自分達の意志は今までもあったが、しかし呪いのせいで意思とは無関係に体は攻撃し、動かされていたと言う。
意思があるのに自由が効かない。
しかも自分が悪事を働くのを見ているだけとはつらいことだ。俺はそう思い、大変だったなと声をかけた。
「バサッ」
突然の音に振り返るとレアリーが歌で力を使い切ったのか倒れてしまった。
ドラゴンはレアリーを見て、精霊の杖がレアリーの願いを力に変えたのかもしれないと言う。
二匹のドラゴンが戦うのをやめてほしいと願う。それは呪いが解けてほしいと願ったのと同じだと。
二匹のドラゴンは地面におりたかと思うと、人型の姿になった。
一匹は背は高くバランスの取れた体つきの成年男性。
もう一匹は背丈は平均的だが奇麗な女性。
男は自分の名をゼニス、そして妻の名をソニアと言ってきた。ペドロの言う通りつがいのドラゴンだった。
ソニアはレアリーに近づき手をかざすと、傷ついたレアリーがオレンジ色の光に包まれた。
一瞬戸惑った俺たちにゼニスは、生命の炎と言い回復の炎で傷を癒すと言う。
光がなくなるとソニアはしばらくしたらレアリーの意識が戻ると言ってきた。
ソニアは振り返りドランの元に歩み寄った。
ゼニスはドランを見てそいつはカイザー種だ言った。ソニアは振り向きうなずくが、ドランにも生命の炎をやった。
カイザー種とは、ドラゴン族の中でも高位のドラゴンだが、平和と破壊両方の可能性を秘めたドラゴンだと言う。
そして俺のリヴァイアサン、バハムートと同じく危険な存在と。
しかしソニアはこの子は人を護ろうとした。きっと優しい子に育つと言い回復を続けた。
ペドロも俺も自力で回復魔法を自分で掛けるが、ソニアの生命の炎は見る見るうちに傷を癒していた。
全く威力の違うものだ。
その頃中央学校では
「校長そろそろ封印の大地開きます」そう言って、島長は校長の耳元でささやいた。
「手に負えない物は隠してしまわないといけませんね」そう校長が言う
「そして忘れてしまえばいいですね」そう島長が言い最後に2人で「未来の平和の為にと』口を揃えた
そして校長が自分の部屋にあった暖炉に火を灯した。
その後、校内放送で校長より「ゾイル先生学校の炎が付きましたよ」と放送された。
「ブゥー」
合図とともに外壁が出現する。
ゾイルは敷地内にモンスターが出るから、速く外壁に火を灯せと生徒達に指示を出した。生徒達は急いで火を灯す。
火を灯した直後だった。
俺の足下が真っ黒な空間の穴になり引きづり込もうとする。
とは言えそれほどの力には感じない魔力で飛んでいれば吸い込まれない。
穴の付近に居た俺、ペドロは宙に浮き回避。ゼニスはドラゴンに戻り回避。
しかし、レアリーとドランが徐々に吸い込まれていた。
「封印の大地への招待状です」そう言うとソニアは姿を変えドランを捕まえた。
入ったらシリアライザーの世界に行けると言う。そしてそれは今は魔の世界だと。
ソニアがレアリーも抱え宙へ舞う。次第に吸い込む力もましていた。
そんな時だった。
ペドロの周囲を突然氷の壁が覆った。そう思ったら一瞬だった。ペドロは穴に吸い込まれ姿を消してしまった。
穴は威力を増し、周囲の瓦礫ごと飲み込む。果物や服近くにある物すべてだ。
そして今度はソニアが氷攻撃を受けレアリーとドランが氷の壁に覆われた。
しかし今度はゼニスがソニアとレアリー、ドランの氷をキャッチ。
ゼニスは懸命に翼を動かすが徐々に穴に吸い込まれそうになった。
俺はゼニスに近づきありったけの魔力を放出する。
穴はどうすれば閉じると聞くと、ドラゴンの二匹分のエネルギー量に等しくなるまで吸い続けると言う。
今ペドロが吸い込まれたことでおそらく一匹から一匹半のエネルギーだ。
俺は少し考えたが、ゼニスにそいつら頼むと言った。
ゼニスは何をするきだと言い返してくるが、俺は答えている暇はなさそうだ。
「成功することを祈ってくれ」
俺はそう言うと両手を空に向けてバハムートを召還し、落ちて行くゼニス達を攻撃した。
追い込まれるととんでもない力を発揮する。俺はそんなやつだ。そう思わせた攻撃は
攻撃力は高く、攻撃した勢いでゼニス達は穴より遠い方に吹き飛ばした。
召還獣を吸い込ませる作戦だ
そして俺はバハムートが戻る前に穴の中に吸い込まれる。
しかし穴はまだエネルギーを欲する。ゼニスは攻撃により動くことが出来ない。
「あなた、きっとまた会いましょ」そう言うとソニアは穴の方に向かった。
ゼニスは出来る限りの声でやめろと叫ぶが、ソニアが穴に飛び込んでしまった。
穴は吸い込むことをやめ徐々に塞がろうとする。
ゼニスは体を引きづり穴の方へ。
穴の中では「すまない力不足で」ソニアの横には吸い込まれた物体とともに、俺が浮いていた。
そして向こうに行きたいかとソニアに言う。
ソニアはまだ聞こえるゼニスの声にもちろん戻れるならと答えた。
俺は一つ提案した。
外からのゼニスの声はソニアの心をとらえ、ソニアはその提案をうけた。
「火を使う物にはつらいかもしれないけど、火は放出することに使っても、火を纏うな!」
と言い俺は闇魔法ドールを使いソニアの魂を人形に入れかえた。
魔族の魔法であり肉体と魂を放す魔法だ。もちろん元に戻ることも出来る。
そしてソニアの本体はしっかり保管することを約束し、ソニアを魔法で吹き飛ばした。
穴からソニアが出てきてすぐだった。穴は俺とペドロ、ソニアの本体を吸い込み閉じてしまった。
外に出たソニアはゼニスに事情を説明すると、必ず元に戻してみせると泣き崩れた。
しばらくしてレアリーが目を覚まし、ソニアに経緯を聞き悲しそうに。「助けなきゃ」といい涙をこぼした。
そしてゼニスはレアリーにわれわれの存在は隠してほしいと言ってきた。
人間と封印のことを極秘に調べる為だとのべ人型に変身した。
そしてしばらく経つと「島民の皆さん」
島長の放送だ
「我が大陸は原因不明のモンスターに襲われました。おそらく昔封印されたモンスターでしょう。
なぜこのモンスターが出現したかを私たちは考えました。
そして結論を出しました。
本日、中央学校では、恒例の披露会が行われておりました。
その中で生徒の一人が暗闇で覆う魔法をを披露しました。
これが原因と判明しました。
モンスターは闇を好みますからね。
しかし校長やゾイル君、生徒達の素早い対応でもう一度封印することが出来ました。
残念なことに暗闇に変えた生徒も一緒に封印してしまいました。
このようなことが起きないように管理を徹底し、より強力な封印を研究したいと思います。
平和の為には危険な物はしっかり封印し、平和維持に勤めたいと思います」
そんな放送が流れた。
何でもかんでも封印して隠せばいいの?
違うような気がする。レアリー何かを決心したようにそう言った