闇を力とする者
俺達はジャビスの与える恐怖心のせいか体が言う事をきかない。
いろいろ文句を言いたいはずなのにしゃべりだす事さえ出来ない。
しかし「戒! 」
カイの特殊能力を封じ込める声が発せられたとたん、周囲を包む恐怖心が和らいだ。
「こいつ! 闇の力をおいら達に注ぎ込んでる」そう気をつけてと俺達に言う
ジャビスはカイの能力を見て面白い能力だと、笑い始めた。
昔、役に立たない部下に同じ能力を持ったやつがいたと言う
そして、笑いながら自分の能力を話し始めた。
ジャビスは闇の力を相手に注ぎ込み、心を恐怖心で満たす事が出来る。
それは恐怖心で相手の心を混乱させ、予測不能の行動をとらせる。
その行動は目の前にある物を破壊させたり、時には死に追いやる。
しかもその行動がまた闇を生みジャビスの力になる
外で息絶えたモンスター達、殺し合った者もいれば、自殺した者もいたのは、この闇の力を注ぎ込んだせいだ。
向こうでは手に入れた闇の力が大きすぎて、こっちの世界に帰って来れなくなったのは誤算だった。
有り難い事に、闇の力を増幅して拡散・吸収させる為にあったこの砦まで一緒に戻してくれるとは思わなかった。
どうやらジャビスは自身に闇を取り入れ闇の力の大きさで、人間界とシリアライザーを自由に行き来する事が出来るみたいだ。
だが、どうして審判の地図が手元にあった時、シリアライザーに戻らなかったのか?
俺達はその疑問をいだく、それは簡単だった。人間界を闇で染め、闇で支配された人間をシリアライザーに送り込む事を目的にしていた。
しかし、シリアライザーに送り込むときは、空から送り込まれる事がわかった。
つまり魔法使いの中には、魔力を使い空を浮遊する事を可能にする者がいるが、普通の人間では、地面に叩き付けられてしまう。
その為どうしても、空間の影響を受けず飛んでいられる乗り物が必要だった。
今回は無駄に力を使い砦を浮遊させたが、もともとの計画は違う
優秀な機械族を人間界に連れてくる事を計画したが、マザーがドームと言う絶対的な建造物を建設したため手が出せなくなっていた
望みを勇者達が隠した秘密の部屋の知識にたくした。きっと機械族の知識があると思ってだ。
しかし、秘密の部屋は一向に見つからない。それにある時を境に闇の力が、あまり人間に影響を来たさなくなっていた。
それは、闇の力を蓄える事が出来ない事と同じだ。出すだけでは力を蓄えられない。
その原因は一向にわからず。それも秘密の部屋に鍵があるとジャビスは考えていた。
「他、聞きたい事はあるかね どうせ死ぬなら聞いといた方が良いんじゃないか? 」
ジャビスが余裕たっぷりで聞く。
ライルはこっちの世界を支配するつもりなら、兵隊は必要だろ。外の魔族をなぜ殺したと聞くと
人間界で闇の力を最大に吸収したから、ちょっとこっちに戻って来たついでに、試したくて闇の力を使った。
その答えに俺達はいらつく
しかしその行動が、ジャビスのエネルギー源の闇を発生してるのも知らずに。
校長の話だと、この世界を破壊する事にしたと聞いた。支配はやめたのか?
あの男は私に多大な効果をもたらした。シリアライザーから人間界を分離した時、私は莫大な力を得た。
しばらくしてあいつはその事で、心が苦しんでいたが、楽になれると忘却装置を使いすべてを忘れろと言えば、使ってくれた。
都合の良い事を言ってやれば、あいつは楽になろうと行動してくれる。
そんなあいつの行動こそ人間に潜む闇の部分だ。
やつの魂を機械に変え、より強靭な肉体になればなるほど、力を使いたがる。
人間とは欲望に勝てない生き物だ。側にいれば実に有り難い事に闇の力を生んでくれる。
強大になった力をシリアライザーで放出して、更に力を蓄えようとしたが
めんどくさい事に、お前達はこの島に上陸し、手下を蹴散らしてこちらに向かってくる
心を闇に染める事は、闇の力を徐々に入れて行かなければならない。一気に与えれば、体が壊れてしまう。時間が必要だ。
だからめんどくさいことせず、予定変更してこの世界をすべて闇で覆い破壊する事にした。
「それに私は人間と言うおもちゃを支配すればいい」
俺達の怒りを溜めようとしている
そしてついにジャビスが動きを見せ始める。
と言うより姿が歪んで見える。
辺り一面は部屋ではなくなり、黒い何処までも続く空間にいるみたいなる
しかしその空間はまるで俺達を奥から呼んでいるかのように感じ、引き込まれそうだ
この空間をジャビスは生き物の心と呼んだ
「死んでしまった者達の無念の積がエネルギーになって私を動かしているんだよ」
この世の中は常に闇を欲している。それはジャビス自身を常に強めているということだ
話している間にも力を大きくしていた
ライルが闇を吸収している事に気付き迷わず斬りつける。
しかし剣は当る事が無い。避けた所に俺がバハムートを呼び出し攻撃を仕掛ける。だがこれも交わされてしまう。
レアリーも周囲に稲妻の嵐を降らせるが、間をすり抜けるように、ジャビスは抜けてみせる。
ナナギがレアリーの攻撃に援護するかのように火炎攻撃おりまぜる。
ティカの目くらましの矢が放たれ、得意の目くらまし戦法とばかりに周囲を光が覆う。
そこにカイが合わせたかのように黒龍をお見舞いしてみせた。
確かな手応えは無いが、場所的に直撃をしたはず。それに戒の黒龍は目標に向かって移動する。
そう思い俺達は一時期攻撃の手を緩めた。
しかし視界が良くなってくると、見た事の無いくらいの氷柱の束が浮いている。
それを目で確認できた時、一斉に俺達めがけて飛んできた
だが「マジックバリア! 」
ナナギが一瞬速く、攻撃を防いでくれた。
「さすがですね 」
ジャビスの声の方向は俺達の背後からだった
「これで二回死んでるはずだったかな? 」
再び背後をとり笑みを浮かべるジャビスがいる。
だが俺達はどうやって背後に移動されたかがわからない。
しかし、ジャビスも服がぼろぼろになっていた
そして、ジャビスの姿が消えた
俺達は互いに背を向け周囲を警戒した
部屋の端がわからないから壁も背にする事が出来ない
しかし攻撃がこない。その時間が俺の焦りをよび、集中できない
だがその中で、俺以外は集中を絶やさず、警戒していた。




