機械族
俺は皆と再び合流出来た。
どうして俺が、マザーの対象になっていたのかはわからない。
皆の言う通りただ単に、気に入られただけなのだろうか。
それに空気のような存在にさせられていた事を、皆に話したのだが、怖いだの、自分だったら帰って来れないなどの意見で、本当の所マザーが何を疑問に思い、何を確かめたかったのかのか、何を知りたかったのかがわからない。
ロックは、それに気付いていたみたいだ。
機械族と、人間のような生き物と、ロボットでは生き方の差がある。マザーはそれを理解してほしかったと言う。
俺達はそう言われても理解できない
しかしロックは、機械族として生まれ変われば理解できると言い。
「便利だぞ! 壊れたら治せば良いし、古くなったら取り替えれば良い」
それは俺達人間には無理な体だ。
俺達は確かにロボットの体は良い体だと笑みをこぼす
しかし「それに記憶を保存しておけばいつでも蘇れる」とロックは付け加えた
この言葉を言うロックはなぜか渋い顔だ。
それは逆に言えばコピーをしてしまえば、何体でもロックと言うロボットは造れると言うことだったからだ。
そんなロックに俺は「全部今のままのロックでいてくれ、俺達にとってはロックは一人だ」といい肩を叩いた
それに対して憎たらしいことに「もっとわしを大切にしろ」とロックは言ってきた。
そんな話をしている俺達を、目を開けていられないくらいの風と光が襲った。
次に俺達が目を開けると、そこには辺り一面機械の世界が広がっている。
今まで暗闇の中にいたのに、建物は機械で出来た建物。
遠くではタイヤの着いていない車が空を飛び行き交っている。
道路なんてもんじゃない! 宙に光の車線が引かれている。まるで空の道路だ。
近くには、機械族が歩いている。俺達と同じ姿をしている者もいれば、獣人の機械、ドラゴンの機械、テレビに手足があるやつもいる。
「やはり暮らしていたか」
そういってロックは嬉しそうだ。
「オーィ! ロックじいさんじゃないか? 」
その辺からそんな声が聞こえてくる。
「姿形は変わってしまっていても、心は変わらない 」
そんな機械族で生まれた事を、自分は感謝しているとロックは言う。
そして声がした方にロックはゆっくり歩いて行った。
昔話をしてくると手を振り。
機械族は定期的にバックアップをとる事で、いつでも復活できる。
そして、罪を犯した者は、罪に至るまでの記憶を消し、新しく人生をやり直す事だって出来る。
呪われた者たちは、バックアップのおかげで呪いの前に戻る事が出来そこから生活をやり直した。
マザーはそう俺達に話しかけてきた。
機械族は自分達の違った生き方を利用して、呪いを解放していた。
呪われた機械族を捕らえ、チップを入れ替える事で呪いが無くなったようだ。
俺達人間と違って、何でも入れ替えればやり直しが効くと言うことだ。
しかしマザーはそれは嬉しい事でもあり、悲しい事でもあると言う。
そしてマザーの言葉が俺を納得させる。
大切な時間は、一度しか訪れない。それは機械も人間も同じだ。
成功を望む機械族にとって時間は普通の日か、空白の日でしかない。
中には進化をし、人間に近づく者もいる。それがロックだとマザーは言う。
レアリー達にこの言葉は届いたか?俺はそう思い付け加えた
失敗があるから喜べる。喜びを知る為には失敗と言う情報が必要なんだ。
失敗しないを繰り返す。それは普通の日になってしまう。
例え周りが成功と言っても、何が成功で何が失敗かわからない状態だ。それを知らないんだから
もし失敗の時間が消せたとしても残るのは、その時間に自分が存在していなかったってことが残る。
時間まではやり直せないから。
「あんたが言うと、何言ってるかわからなくなる もうしゃべらないで! 」
俺は持っている情報をレアリーに話したつもりだが、混乱を招いてしまったようだ。
しかしそれを見たマザーが、嬉しそうな声で「一度しかない人生、自分はいつまでも自分だから、見失わない事が大切です」と言った。
「うん! わかった」
そうレアリーは返事をし、俺にもっと自分を持てと説教してくれた。
マザーに適当に片付けられたような気がしたが、沢山の事を教えてもらった気がする。
その後、俺達は、マザーに呪われたものは、レアリーの歌で解放できると話した。
幸いこの島はドームになっていて、島全体に聞こえるような設備もあった。
レアリーは歌い。呪いが解ける事を証明する。
マザーはレアリーの歌に興味を覚え、声を機械的に分析するが、ティカやナナギとさほど差が無い。
精霊の杖をマイクにし、歌っているのが原因かもと調べたが、これも差が無く、何が効果を発揮したかわからない。
マザーは、レアリーに人間じゃなく、妖精か精霊ではないかと言うが、それは素敵だけど違いますとレアリーは言う。
原因はわからないままだった。
そんなある日、機械族のドームにロザ、ユズキ、スティア、レイナが訪れた。
俺達を見るなり、スティアは相変わらず突進して攻撃をしてくる。
俺を殴り、ライルを蹴ろうとするが、盾で吹き飛ばされる、その反動の最中カイを見付け、カイの腹部に無数の拳を叩き込む。
もちろんカイは悶絶だ。
「あれ、赤いちび猿さん!? 」
ユズキはそう言って真剣な顔をし近づいてきた。
俺達はユズキ達に事情を話すが、卵を食べられては困りますと言い捕らえようとする。
しかし気絶するカイを、引きずりドランが逃げて行ってしまった。
「あー カイザー種!! 」
ユズキがそう言って追いかけて行く。
それを嬉しそうに、スティアも追いかける。
スティアは手抜きしてるのか、わざとドランを喜ばしているのか、近づいて横に並んでは、離れるを繰り返す
ドランはそれに答えるかのように、笑いながら走り回る。
まるで幼稚園児と先生の鬼ごっこ状態だ。
やがて引きずられているカイが意識を取り戻し、ドランに止まれと暴れて叫ぶ
「あっ!? スリープ! 」
気付いたかのようにユズキは魔法を唱えると、あっけなくドランとカイついでにスティアは寝かされてしまった。
俺達はある意味最強はユズキではないかと思えた瞬間だった。
ユズキはドランをいろいろな角度から見て、闇の気配は感じないから大丈夫と笑顔で言う。
その後、ドランを助けたのはカイだと知ると、ユズキはとりあえず様子を見ますと何とか納得したみたいだ。
しかし、それでもカイがシリアライザーの心を食べているのを気にしている。
それは、俺達も同じだった。
その間、ロザとマザーが話し合いをしていた。
お互い平和な世の中を築く為に力を惜しまない事と、なぜか俺の事を頼むとマザーに言われたみたいだった。




