緊急事態!
俺達は機械族の住む島であるドームに向かう
おそらくこの島の中に暮らしているだろうと思われる、機械族と会う為だ。
「前方の視界にモンスターが溢れかえってるぞぃ」
俺達の前方に空を覆おうモンスター達が現れた。
しかしロックは、目的地まで一直線に飛行船レジスタを走らせる。
俺達は不安だ。
でも、今回は島に辿り着くまで、例え攻撃を食らっても、こちらから手出ししないと言う。
例え同じ機械でも、攻撃の意思を見せれば、おそらくドームは攻撃してくるとロックが判断しているからだ
しかしレジスタはこの世界に来てから、特別な改造を受けた訳ではない。
相変わらず武器は積んでいない。
ましてや、俺以外の者は、この飛行船は人間の暮らす世界でガラクタとなった物から、拾い集めて造られているのを知っている
ロックが腕利きのメカニックでありエンジニアなのは疑いは無い。
だが、修理はロックが造った小型の時計の赤、黄、青に任せっきりだ。
俺達は不安で仕方ない。
外部を攻撃をする為にはと言えば、俺達が中央に出現する甲板に行き攻撃をするしか無い。
ロックはそんなのお構いなしだ。
「全速前進! もうすぐ最大速じゃ!」
ロックは機械島に近づけば、ドームの防御がレジスタを援護してくれると信じている。
その為一気に機械島の圏内に入りたかった。
それにモンスターの中には、魔族だけでなく、呪われし種族の者がまだ沢山いるからだ。
できればその呪いを解いて普通に生活させてあげたい
やがてレジスタは、モンスターの集団の中に入って行く。
当然のようにレジスタは攻撃されるが、ロックは前進あるのみ
正面から体当たりされても、はじき飛ばす。
まるで暴走してるかのように我が道を行き、周囲のモンスターをはじき飛ばした。
「どけどけーぃ!! 」
ロックは前進をやめない
しかしこれを頼もしく感じない。むしろ俺達の不安がだんだん積もる。
なぜならあきらかにレジスタはダメージを受けているからだ。
船内の衝撃は止む事が無い
計器類の針は異常値を示す物、動かなくなる物、ただ左右に振れる物、中には爆発する物まであった。
それにあきらかに鉄が凹む音まで聞こえる
いったいレジスタは外から見たらどうなっているのだろうと俺は考える。
正直いつ壊れて、飛べなくなってもおかしくないと思えた。
「見ろ! ドームが見えてきたぞ 」
ロックはそう言うが、俺達には無数のモンスターが攻撃を仕掛けてくることしか見えない。
しかし
「……!? 」
その後、ロックの目に映ったのは、ドームの周囲で爆発が起きている現象だった。
「しまった! ドームが攻撃を受けていて、こちらに気付かないかもしれない! 」
俺達はその言葉に更に焦りを感じる。
あきらかにスピードは落ちているのが体感できる
このままじゃ持たないと思わざる得なかった。
「ロック!! 中央甲板で戦う! 」
そう言いライルが、走り出そうとした。
「待てーぃ! 」
ロックは今となっては、これだけ大量のモンスターに囲まれ攻撃されている。
今、甲板を出したとしても、一斉にモンスターが甲板に入り込み、死にに行くのと同じだと叫んだ。
しかし俺達は今のままでも、それは変わらないと反論する。
「甘かった! まさかわしらとドームが同時に攻撃されるとは」
ロックはそう言い知恵を絞り、選択肢を並べる
しかしどの選択肢も有効でないみたいだ。
ロックの思考回路がだんだん麻痺して行く。
ランドセルの中の振り子は、相当なスピードで反復運動をしているのだろう。
それでもロックに供給されるエネルギーが足りない。
やがてロックから煙が上がりだした。
「もうやめて! 」
レアリーがロックを止めようとするが、既にロックは熱を発し、混乱状態だ。
ナナギがロックにアイスを唱え氷で冷やそうとするが、だんだん氷が溶け始めて行く。
そんな時だった!
「ガクーゥン!!! 」
スピードが一気に落ちた。
俺達はその衝撃でレジスタの中で倒れ転がる。
レジスタの中の照明がすべて消え、俺達の恐怖心を更にあおる。
あきらかに高度が下がって行くのがわかる
「ナ・・ナ・・ ・ギ・・・・緊急ボ・・・ボタ・ン 」
ロックが必死に話しかけてきた。
ナナギは機械に詳しくない。
だから「わかんない?どれ!? どれ!?」
完全にナナギもパニック状態に陥る。
しかしティカがライルと俺に、間違ったボタンがあって自爆しても、どうせこのままだったら結果は同じだ
「押せるボタン押しまくりなさい! 」
そう言われると、揺れる船内をふらふらしながら片っ端から、俺達は押せるボタン押しまくる
二つ反応した一つは
「緊急不時着用ブースター作動します 」
これと同時に落下速度が一気に遅くなる。
目的のボタンが押せていた。
そうしてもう一つ
「中央甲板作動します 」
レジスタの上下が分かれて、戦闘用の甲板が出てくると言うことだった。
このボタンはいざという時、脱出する出入り口用にあったと思われる。
俺とライルとティカはあわてて甲板に向かう。
レアリーとナナギはバランスが上手くとれないのと、先の落下のパニックの影響で動けそうにない
もちろんロックは目を回している。
あわてて行くのにはわけがあった
甲板の下にはエンジンルームがある。
もし上下の支柱を破壊され、切り離されてしまったら、また落下を始めるからだ
やがて俺達は甲板に出ると
「え!? 」
三人が見た光景は!




