機械の島
俺達は、次の目的地を考えていた
やはり仲間のほとんどが、魔族と対抗している機械の島へ行こうという。
しかしライルは、獣人とドラゴン、そして人間が協力しているのだから、一気に魔族の島に乗り込んで、ど真ん中でレアリーの歌を聴かせてやると意気込む。
これにロックは苦笑いをしながら「機械の島にも寄ってくれ」と答えた。
皆はこの世界で自分たちが、やる事に慣れてきたのか笑顔が出る。
そんな俺達の、次の行き先は機械族の住む島に決まった。
ロックの生まれ故郷だ。
ロザやユズキ達が、機械島の現状を教えてくれた。
現在機械の島はドーム状になっていて、入り口は無く中には入れないと言う。
これについては、ロックはおそらくその中で、呪われていない者達が生活していると推測した。
このドームは、近づく者に攻撃を仕掛けると言う。
かなりの攻撃力と手数だが、ロザは何度も近づき入り口を探したみたいだ。
ある程度の素早さと、判断力があれば近づけるとロザの意見だ。
しかし俺達に、ロザの様な素早さと判断力は無い。
それにドラゴンの卵を護るユズキとスティア、レイナはドラゴンの島を離れるわけにはいかない。
卵は昔と違い平和になった今、孵化している。
昔は争い事があると、種の存続の為にすぐに孵っていた。
平和なときは卵の中で栄養を沢山蓄えると言われている。しかし今は違う。逆になっている。
現状卵から離れれば、下手をするとドラゴンの心に影響すると、ユズキは判断した。
ロザも今となっては獣人島、ドラゴン島の両方を面倒を見ている立場だ。
今が大切と言って、機械島に行くのを渋っている。
そのため、俺達人間とロックで機械島に行く事になった。
今回は、機械族の造った乗り物なら、ドームから攻撃されないのではとロックが推測し、堂々と正面からレジスタで向かう。
魔族が攻撃を仕掛けてきても、ドームに近づけば、ドームは魔族に反応し、レジスタを援護してくれるはずだとロックは言う。
獣人島とドラゴン島の守備は、ロザとユズキ達で十分みたいだ。
頼もしい限りだ。
ロックが問題視したのは、ドームの中に入った後だ。
予想できる事は、今までに無いくらい強い機械兵隊だ。
機械は学習能力が高く、過ちを繰り返さない。
常に最新鋭の機器が開発されていて、機械兵にも装備されているという。
すべてを焼尽す光、すべてを氷漬けにする武器、大地を破壊する振動。
考えれば考えるほど、強力な武器がこちらを狙っている。
武器だけではない。元々機械兵は魔法の効果はあまり期待できない体だが、更に強化して攻撃を跳ね返す可能性もある。
全身にミサイルを隠し持っているかもしれないぞ。
それに機動性が上がりこちらを追いつめる。
もしくはドームの中に、凶暴なゾンビなんて従えているかもしれない。
まてまて、侵入者を発見する為に特殊なレーダーが付いているかも。
建物や障害物を物ともしないレーダーが。侵入したらすぐに見つかるし、隠れる事も許されない
「想像してみ! 想像してみ!!」
ロックがそう言って想像力をかき立てる
そして「そうだったらどうする? 」っと言ってきた
しかし、この話にワクワクしているのは、話しているロックと、武器に興味があるライルだけだ
他はロボットと言えば時計型の知能を持ったロボットで、いろいろ造ってくれるロックがイメージの対象だ。
もし想像できても、学校で戦っていた機械。つまり呪いでおかしくなったロボットモンスターだ。
ロックの話だと、これは型遅れの歴史の忘れ物だと言い。きっぱり弱いと言う。
だが俺達は、正直言って強さはあまり想像できなかった。
ロックはそんな俺達に覚悟を促す。
「もしかしたら、ドームに潜入した時、この世界を巻き込む大爆発をするかもしれない」
その爆発で生き物だけでなく、住んでいる大地すら消え去ってしまうかも知れない。
それは、さすがにそれは想像できた。そして俺達は背筋が凍り付く思いだった。
機械が意志を持つとは、何でも可能にするに等しいと豪語する。
確かに俺達の為にいろいろと機械を造ってくれるロックを見ていると、それすらも思わせる。
しかし、それでも呪いは解けないと俺はロックに言った。
ロックは「解かないじゃ無く、解けないであってほしい」そうしみじみと話す
みながロックを見つめると、ロックは、自分たち機械は生命を得た時、考える能力は、「必要である。必要でないだ」
それは、はい・いいえの進化系だと言う。
それは今でもロックの心に問いかける問題だ。
だから呪いを解く必要がないと判断していない事をロックは祈った。
もし必要でないと判断されてしまったら、その存在を消される事と同じことだから。
「もしかして入り口の無いドームを造ったのは? 」
ナナギはそう語ると、ロックは外部の世界は必要ないと判断したからだときっぱり言った。
さすがに俺達は先の大爆発を連想しただけに不安に思う。
しかしロックは付け足すように「呪いを解く方法を中で考えてるのかもしれんぞ」っと意地悪く言う。
機械も人間と同じでいろいろと厄介なもんで、沢山の選択肢を持つ。
その時一番可能性のある選択肢から選択して行く。
どんな状況を判断するかは、経験と計算によるから当事者にしかわからないようだ。
しかし結局は、俺達はこの世界を呪いから解放する為に、このドームの中に入り、統治者と話す必要がありそうだと判断した。




