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シリアライザーの心

「手掛かりになるかわかりませんが……」

そう言いユズキが俺に資料を見せてくれた。


闇に覆われたカイザードラゴンを、元に戻す為の方法かもしれないと言う。


資料の頭には俺の知っている文字が書かれていた。『シリアライザーの心』と書かれている。

シリアライザーの心。かつてこの世界の勇者達が魔族を封じ込めた際に、開けては行けない物を開けてしまう。

その結果、その中にあった、意思に関わらず争う事だけをするという呪いが流失した。

呪いは瞬く間に広がり、この世界全土を覆う。

意志の弱い者が呪いにより、変わってしまい凶暴化し、争いを始めた。


その呪いの流失を止めたとされるアイテムがシリアライザーの心だ。


この資料によると、心の闇を洗い流す。もしくは闇に勝つ為の心を手に入れると書かれている。

それと注意書きと書かれていた。魔族が食べると、生き物の持つ闇の心を吸い取ることができ、エネルギーに代える事が出来るようになる。

魔族の器と表現され、魔王の素質を手に入れる。けして魔族に食べさせてはいけない


「このアイテムのある場所は? 」

俺は調べだすと、どうやらこのドラゴンの島の中の池にあると書かれている。

池の中に木があり、その木に成る実がシリアライザーの心だと言う。

ユズキはこの島には、枯れる事が無く、常に美味しい水が湧き出ている池があると聞いた。

資料によると、この水にも浄化作用があると言う。


しかしこのアイテムは木の実であり、この世界が必要と考えたときだけ、実がなるという。

魔王の呪いを止める時、この木は無数の実が出来ていたという。


今回実がなっていない可能性もあると、ユズキは言ってきた。

この世界がドランを必要としていたら、実があると言うことになる。

実があっても、別の出来事の為に、使わなくてはいけない実かもしてないと言うが、俺は例えそうでも、今はドランの為に使うときっぱり言う。


俺はロックに話し、ロックの潜水艦をとりに、一度レジスタに戻った。


レジスタには、ドランの入っていたケースは今ではもう無い。

この時は生きていてくれと祈るしか無かった。


「ん!? 気のせいかのう? 」

ロックは潜水艇のおいてあった場所に、もう一つお気に入りの乗り物を造って保管してあったような気がしていた。

しかしそこには潜水艇しか無い。


俺はロックに気のせいだと、それに今必要なのはこの小型潜水艇だと声をかけた。

ロックも納得し、俺達は再びドラゴン島に戻った。


池まで運ぶと既にみんなが集まっている。心配そうだ。

しかし実がなっている事を信じるしか無かった。


「では、実を探してくるぞ! 」

そう言ってロックは潜って行った。


思っていた以上に水は透き通っている。

それは池のほとりにいたときも、わかっていた事だが木が見当たらない。


それは俺達にとって、嬉しい状況ではなかった。

実は光を放つと記されている。もし実が成っていればすぐにも気付くはずだからだ。


やがてロックの乗る潜水艦は浮上してきた。

「無い! 実は成っておらん! 」

潜水艦を降りながら悔しそうにそう言う。


しかし諦めきれない。俺は、ロックにもう一度見てきてくれと何度も言う。


しかしロックは立ったまま困った顔をするだけだった。

それをみたレアリーは、俺に他にも方法があると信じて探そうと言って俺の肩に手をおく。


ユズキはこの水にも浄化作用がある。もしかしたら多少の効果が得られるかもと言い、水を入れ物に入れ、俺に手渡してくれた。


だが、俺はこの水があるのに、呪いが解けている生き物がいないし、カイザードラゴンが元に戻ったと言う情報が残されていない。

その事から、無理だと思うしか無かった。



やがてこの島にも獣人島と同じように、スピーカーが取り付けられた。

呪いを解く為の方法である、レアリーの歌声を島全体に聞こえるようにする為だ。


俺はとりあえず、レアリーに池の水を飲ませてから歌ってもらう事にした。

レアリーが歌いだし、大地や木々が潤いだした。

今まで以上の効果を発揮していたように俺は感じたが、ドランがその歌を聴き戻ってくる事は無かった。


不思議な事にカイも現れない。レアリーの歌をとても気に入っていたのに、現れる事は無かった。


「なに? 私の歌に不満でもあるの? 」

歌い終わったレアリーが俺の浮かない顔を見て絡んできた。

俺は戸惑い、焦りながらも不満なんて無いと言うと


レアリーはずっと落ち込んでたりすると、今度は俺の中に闇が広がるよという。

一つの物事を大切にできる事はすごい良いと思う。

でも「楽しむときは楽しむ! しっかり気持ちの入れ替えをしなさい! 魔法使い君!!」

なぜか上から目線で出るレアリーの言葉がある。

でもそう言われるのが久しぶりで懐かしさもあった。


どさくさにまぎれて、レアリーの手でも握ってから、抱きついてやろうかと思ったが、スティアが俺の隙をうかがっている。

回転を入れて拳を突き出す練習をしている。俺にその鉄拳をお見舞いしたそうだ。

都合の良い修行相手と考えたのか、楽しいサンドバッグと考えたのかはわからないが、俺にとっては危険だ。


それに、辺りを見渡すと必死に笑顔を作ろうとする仲間がいる。

みんなドランの事が気になるんだ

俺も頑張らないと。っと思える日だった。


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