再開へ
レアリー達は、レジスタを降り灯台の地下へと足を進めていた。
地下への扉は不思議な結界で護られているみたいだ。
闇の力を及んでいないせいか、近くには花々も見られ明るい。
闇の力は大地を腐らせてしまうから、花々どころか木々すら力を失い枯れてしまう。
扉を抜け地下への階段が広がる。まるで豪華な屋敷の階段を思わせる広さだ。
近くを通る獣人はレアリー達を避けて通る。
見慣れない客だからだろう。
人間界で見られる動物達が二足歩行している。
鎧を纏う者がいれば、服を着る者。
目に映るものすべてが、別世界に来たと言うことを実感させられる。
ロックはそんなの気にせずスタスタと下へ向かう。
ユニコーンにペガサスに麒麟の獣人は、あきらかにここの戦士だろう。
強さが体からはみ出しているかのように感じる。
やがて大広間に通された。
周囲は獣人で囲まれていて不気味だ。レアリー達は息苦しさまで感じていた。
しかし
「良く来てくれた人間! 」
先ほどの狼だ。
狼は先代の統治者が今はこの世を去り、自分が代理で統治していると言う。
人間界のだいたいの話は、ペドロやアンティに聞いている。
来て間もないがどの人間が呪いを解く力を持つ? 狼はそう聞いてきた。
しかしレアリー達はペドロとアンティのこと聞き返した。
「私が質問している! 」
狼はうすら笑みを浮かべながらそう言い聞く耳を持たない。
仕方なくレアリーが手をあげようとしたが、
「私たちはこのまま何もせずに帰る事が出来る! 」
ティカが強気に出た。
「これほどの獣人に囲まれ生きて帰れるか? 」
「仲間達が永遠に戦っている姿を見たいの? 」
狼の返す言葉に即座にティカが返答する。ティカはこの時いらついていた。
その訳がこの狼にあった。
面倒くさそうにレアリー達を見る姿は、あきらかにこちらをバカにする態度をとっていたからだ。
しかし狼は態度を改める。
「改めて、私の名はロザ! ペドロにお前達のことをよろしくと頼まれている」
そう言いロザは優しい口調になった。
「私の名前はティカ! この島の呪いを解く事と、友達を探すため来ました」
ティカも笑顔で答える。
ロザはペドロが魂の灯台の生け贄になり、アンティは今怪我の治療を行っていると伝えた。
そして仲間に合図を送った。
そうすると檻に入って暴れる獣人が現れた。
これはマンモスの獣人で、獣人族の盾とも言われた男だ。
しかし呪いにより意思を持たない殺戮モンスターになってしまった
「治せるか? 」
レアリーマイクを持ち歌い始める。
次第にマンモスは暴れるのをやめ、レアリーの方を向き動かない。
歌は、サビに入り突然涙を流し始めた。
その歌声は周囲にも広がり、周りの獣人達も聞き入っていた。
歌が終わり、レアリーがマンモスを見つめる。
マンモスの目からは、暗闇が抜けていた。色の付いた透き通るガラス玉に感じるくらいだった。
ロザが近づくと
マンモスは千年の眠りから私は解き放たれたと言う。
しかしロザは、もうお前を知っている者は生きていない。
もしいるなら呪いを解かれるのを待っている者だけだろう。
呪いは生きる時間すら止めていた。衰える事を知らず、殺戮を繰り返す。
ここにいる獣人は、呪われなかった者の子孫達だ。
マンモスは周囲を見渡し、自分の知る者がいない事に、がっかりしていた。
「生きる理由が無いか? 」
それは違う。生きていればまた楽しい思い出もできる。死んでしまえば辛い思い出だけの人生だ。
生きている事を喜び、楽しい事をこれから探せば良い。ロザはマンモスの檻を取り外し解放する。
マンモスはロザの言葉を理解しているようだが動こうとしない。
「バシっ !」
でっけぇ図体してんだから出来る事はいっぱいあるだろ
まだまだ呪われた獣人は沢山いるんだから、今度は友達を助けると思って戦おうぜ!
そう言って俺はマンモスの背中を叩いてやった
レアリーが歌ってる最中に、この間に入り込んでいた。
そして「お迎えご苦労様! 」
俺はそう言って、レアリー達に笑って手を振った。
「ふわぁ 」
俺の体は宙に浮いた。マンモスの鼻が俺を掴んで持ち上げている。
しかも揺らしてきた。
「小僧!! 人間の分際でこの獣人族の盾と言われた俺を叩くとは良い度胸だ」
俺はもがくが出られそうにない
「おい! おろせ!! 」
マンモスは仲間を解放する為に力を貸せと俺に言い、俺をレアリー達の元へ放り出した。
レアリー達は、俺を誰一人受け止めてくれず、俺に体は地面を滑り皆のもとへ辿り着く。むしろ受け止めるのを避けたくらいだ。
その後ライルにお迎えご苦労とは何様のつもりだと笑いながら殴られ、皆にも引っ張られたりつねられたりした。
だけど俺は皆にあえてうれしい。
二度と会えないかもしれないと心のどこかで思えていたからだ。
皆同じだ。
ロザもこちらを見て笑っている。
ずっとこうであってほしいと俺は心で祈る一日になった。