いざ! シリアライザーへ
「出発するぞ! 覚悟は良いか? 」
いよいよだ。飛行船レジスタのエンジンが始動する。
「ズズズ、ズゥーーーーゥ」
はじめは海底を引きずり、ゆっくりと上昇をはじめた。
「ゼニス! 火を灯せ」
ゼニスはロック指示通り中央広間にもうけられた暖炉に火を灯す。
審判の地図が起動する。
あらかじめ移動対象をレジスタに書き換えられた審判の地図が実行し始める。
本来審判の地図は空間を行き来できない。しかしこのレジスタには審判の地図も空間で運ぶ機能が備わっている。
だから行き帰りが一人でも行えるようになった。
「外に出たら封印の穴へ進路を向ける」
海辺の砂浜一帯に黒い空間が出来始めていた。
しかし海辺では
「くるぞ!」
ゾイルの声で生徒達が身構えた。
そう校長達は生徒を使い攻撃をしようとしていた。
それを知らずにレジスタは浮上してきた。
「攻撃開始!!」
レジスタに魔法や弓その他武器による攻撃が開始された。
「!!! 」
レアリー達は目を疑った。一緒に学んだ仲間からの攻撃だ。
攻撃する生徒達には、レアリー達が乗っていることを知らない。
「みんなやめて!」
操舵室でレアリーが叫ぶが届くはずが無い。
ロックはためらうが「中央甲板準備!」
レジスタは中央が割れて開き甲板が現れゼニスとドランが攻撃体勢をとった。
「だめー! 」
レアリーが甲板に向かおうとするが操舵室の扉は固く閉ざされている。
「穴を通過するまで攻撃を近づけるなゼニス」
ロックの指示は生徒を攻撃せずにレジスタを護れだった。
ゼニスもドランも攻撃を相殺して行く。
しかし浮上してから、今度は穴に向かうにつれ生徒達との距離は縮まる。
ゼニスは今度レジスタの周囲を火で囲み始めた。
生徒を近づけない為だ。
さすがゼニスだ。守りと攻撃に長けるドラゴンならではの戦闘センスだ。
次々とゼニスは攻撃を跳ね返す。
ドランも走り回りながら攻撃を跳ね返す。楽しそうだった。
しかし
校長はゼニスを見て「おやおや気持ち良さそうに戦ってくれますね」
でも
「ドラゴンこれで終わりだ! 」
校長の手から剣が投げられゼニスを直撃してしまった。
ゼニスに刺さった直後剣は輝きを放つ。
普通の攻撃じゃない。それは生徒達が一瞬攻撃をやめるほどだった。
レアリー達には剣が当たるのがスローモーションに感じた。
ゼニスは全く動こうとしない
「ドラゴンキラーか? 」ロックは体を乗り出しつぶやく
「いやぁ〜〜!? 」
ソニアの叫びは操舵室の扉を破壊した。
マネキンのはずなのにドラゴンの力を解放した。
魂の叫びだった。ソニアのボイス攻撃はレジスターの機能に影響を与える。
多数計測機が壊れたが感覚で何とかなるとロックは慌てない。
皆が甲板に出る。レアリーは大声で生徒達にやめてと声をかける。ナナギもティカもだ。
甲板に降りたライルは何のためらいも無く、校長向けて斬撃を飛ばす。
生徒達の目にはレアリー達が映って、攻撃を停止する。
「レアリー、生徒達に穴から離れるように言うんじゃ! 一緒に吸い込まれるぞ」
「みんな離れて! 吸い込まれる。 離れて!」
穴が吸い込みを開始したのを感じ、生徒達は一斉に穴から離れだした。
ゾイルはそれでも攻撃しろと言う。
レアリー精霊のマイクを持ち生徒に話しかけた。
「聞いて!?
今の世界は誰かの不幸の上に成り立ってる。
自分たちが幸せになりたいと思う気持ちが、その誰かを不幸にしちゃったんだよ。
そんな世界で良いの? 何かあったらみんなで向き合わないと。忘れてしまうだけで良いの?
今の私たちの世界は、不幸から逃げ出し、不幸な過去を忘れる為のシールが貼られています。
私たちは不幸になった原因を解放する為に、向こうの世界に行ってきます。
みんなを不幸にする為に行くんじゃない。だから攻撃はしないで。
頑張ってって送り出して」
生徒達の耳に言葉が一字一句届けられた。まるで目の前で言われたように。
しかしこのことを理解できる者はいない。証拠が無いし、過去の歴史を知らないからだ。
しかしわかっていても、生徒達はレアリーを見つめ攻撃をやめた。
「あのマイクか!? 」
そう言うと島長が人とは思えない勢いで空を飛びレジスタに接近してきた。
「ボッ、バァーン!」
島長を爆発が包みこむ。島長はぼろぼろになり落下して行った。
ドランの攻撃だった。
皆がドランを覗き込むとそこには怒りに支配されたドランがいた。
金色の体は放電し、目は暗闇に覆われている。
「いかん! 」
そうロックが言うとドランを特殊なケースが覆った。
レアリー達は事態を把握できない。
「闇の力に傾き始めとる 」ロックが緊急とばかりに叫んだ。
ゾイルが的確にレジスタを攻撃していく。
その度にそれを跳ね返そうとしているのかドランがケースの中で攻撃を放つ。
特殊なケースからは攻撃は外に出ない。その度に自分がダメージをおう。しかし、攻撃を繰り返す。
ぼろぼろになってもやめようとしなかった。
レアリー達のやめなさいと言う声もドランに届かない。
その後ゆっくり穴に入るレジスタの姿があった。
穴が閉じるとドランは、倒れ込んでしまった。
「行ってしまいましたか。まぁ良いでしょう。これだけ攻撃しておけば向こうのモンスターがなんとかしてくれます」