飛行船レジスタ
「皆の者集まれ!」
ロックからの館内放送だ。
皆はいよいよかと心に思い中央の広場に集まった。
「おそらくだいたいの内容はわかっていると思うが話すぞ」
それはやはり封印された空間を行き来する為の乗り物が完成したとの報告だった。
皆の前で詳しい設計図と大まかな見取り図が広げられた。
形は円盤状であった。ロックの話だと前後左右同じ形にすることで、各方向を見やすくし、どの方向に移動するにも空気抵抗が同じため都合が良いらしい。
現段階では武器を搭載していないと言う。
向こうに行くことを重視し、攻撃する時は円盤が中央上下に割れて開き、中央部は甲板になると言う構造だ。
つまり乗り物に乗りながら各自が攻撃する。
武器を積めば重くなりバランスも崩れる。攻撃は攻撃で別に分けた方が強いとロックは言う。
移住空間が上部分にあり、エンジンなどの動力部は下部分にある。
「甲板ではライブが可能じゃ」
ボタン一つで楽器などの機材が用意される。
歌ってる最中も攻撃できるようならするようにと言われる。
ティカは演奏中は弓を持つことが出来ない。その為エレキギターの先端からレイザー攻撃が出来るようにしてあると言う。
ライルは自分はと聞くが、おぬしは楽器を離して攻撃しろと言う。即席のドラムだからあまり変わらないと突っ込まれてしまった。
「ところで相談じゃが、おぬし達そろそろグループ名を決めてはみないか」
レアリーと愉快な仲間達が、解放しに来ました。と登場するわけにはいかないだろうと言う。
ライルは「それじゃ! リリーサーズってどう?」皆適当な名前が見つからずそれであっさり決まった。
今解放者達と言う意味のグループが結成された。
「あとこの乗り物の名前じゃ」
ロックはここを拠点にと言う意味をこめて『レジスタ』と名前をつけた。
レジスタには一通り生活出来る様になっており、快適だ。
ソニアが皆の為に美味しい料理を作るキッチンがあればリッラクスルームだってある。
「私は戦えないからね」
少し寂しそうだが、料理を作っている時のソニアは、楽しそうに作るのをロックは知っている。
その多機能がありそうだがロックは必要になったら説明すると言う。
現時点で問題はないかと聞くと。
ロックはいくつかあると応えた。
一つ目に、シリアライザーに行くことは現時点で出来るが、帰ってくる時はシリアライザーの元人間の島にある岬に、魂の灯台がある。
魂の灯台に灯がともってないと帰れない。
地図を見て魂の灯台を確認し、後数時間後、おそらく出発した時は消えていると言う。
現時点でこの灯台が何をエネルギーにして燃えているかは不明である。消えた所も付けた所もロックは見たこと無いからだ。
資料にも人のみが知ると書かれている。
魂の灯台は太陽を導く為の灯台とも言われているから、火が消えれば太陽の力を得られなくなり魔族は力を増す。
魔族は闇をエネルギにーしているからだ。
二つ目に向こうに行けたとして、相手がどれくらい強くなっているかわからない。
常に戦闘をしているから、生き残りはかなり強いと思って間違いない。
三つ目は呪いを受けずに今も生きている者達、探している彼らがどこにいるか見当がつかないと言うことだ。
四つ目が今一番の問題で、このレジスタがシリアライザーに行くためには、でかい封印の穴を開けないと行けない。
水面には穴は出来ないから、一度浮上してからになる。
そのさいに校長達の攻撃を受けることになるが、レアリー達四人は甲板に出て戦うのはちょっとまずい。
人同士が戦えば、島に残った校長達はきっと四人を罪人扱いする。
帰ってきても居場所が無くなる。
「まだまだ探せば問題は出てくるじゃろう」
ロックも不安そうな顔をした。
しかしこの飛行船はどこにあるのだろうそう疑問に思った。
ロックはもう皆乗り込んでいるとにっこり笑った。
そう今いる空間は飛行船の上部の部分だった。
「いつでも発進できるから声をかけてくれ」ロックはそう言う。
四つ目の問題をどうするかを話し始めると。仲間達の呪いを解くためゼニスは必ずレジスタを向こうには届けると言う。
先日校長と戦った能力なら、ドラゴン族は倒せないと豪語した。それにドランも戦えると。
いつしかゼニスにとってドランは頼りになる存在になっていた。
日々の訓練がそうさせた。
だが、校内では
「そろそろ動き出すな」
校長は両手を組みそうよんだ。
ゾイルを呼び出し、海辺の様子を聞く。
島の一番端に位置する。海辺で彼らが消えたと目撃情報がある。
「そこで間違いないでしょう」
おそらく何らかの機械で出てくると思います。ドラゴンの背に機械族がのっていたのが確認できたからだ。
乗り物を奪うことが第一。浮上してきたら攻撃をする作戦を考えた。
ドラゴンが攻撃してきたら捕らえるより始末してしまえと言う。
このとき校長の机には伝説と呼ばれた剣ドラゴンキラーが用意されていた。
机の上の剣は不気味に輝きを放つ。
まるでドラゴンを探しているかのようだった。