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島と学校

 この世界にはこの島しか存在しない。島は人々でにぎわい、島を出れば海!水しか無い


そう、これは小さいとき教えられたことだ。

教えられた事と言えば、おかしな事にこの島の過去はあやふやだ。

過去を調べようとすると、なぜか途中で他の事をしなくては行けない気持ちになり、調べるのを忘れてしまう

それでも良いような気がしてしまうんだ。


旅行と言えばこの広い大地を行き来するだけ。


海に出れば泳いだり、釣りをしたり。

それは近くの川でもできることだ。


海に出て島を探し宝を。

そんなことはやるだけ無駄。

船を造り海に出ても、結局この島に戻る事になるか、海の上で終わり


退屈な世界だよ。


なのになぜか海にきてしまう。誰かに呼ばれるように。誰かはわからない。

まるでどっかに壁があってその向こう側からこっちに叫び続けているみたいにも感じた。


風の音、波の音それとも今足下を通る魚、それとも

「目の前にかすんで見えるモンスターなのか? 」


「......今俺なんって言った! 」


遠くの方を眺める景色には変わった様子は無い。


至って普通の海の景色だ。青い空に、白い雲、太陽にそして汚れなきこの海。

気のせいだったんだ。そう思い学校にもどることにした。



 俺の名前はアンティこの大陸の中央にある不思議な学校に通う魔法使いの男だ。


普段はマント型のローブを着用し、身長も高くなければ低くもなく、太っていなければ、痩せてもいない。顔だって普通だと思っている。


そしてこれが学校だ。


アンティは一瞬のうちに学校へテレポートしてみせる。


テレポート、略してテレポ。この学校で習った簡単な魔法だ。

他にも初歩的な魔法を習えられる。もちろんすべての人間が同じように、魔法を習得できる訳じゃない。

素質があれば入学し、学ぶことができる。


学んだ魔法や攻撃方法を駆使して、世界の平和を護ると言うのが将来の俺の仕事だ。

たまにモンスターと呼んでいる、化け物が街に現れ悪戯や破壊行為。ひどいときは殺戮行為をしてくる。


この学校では魔法だけでなく、剣、弓、槍など多彩な武器を学べ、守る術も学習できる。

もちろん魔法以外は他校でも学べることだが、実はここで学べることは常人を超える力だ。

入学には素質が必要だけどね。


あんな感じにね。俺は横目でちらっと見た。

そこには

「ザッ」剣を一振り。


「すぅ〜 」


おいおい今空間ごと切らなかったか!?こいつはまた進化してそうだ。

横目で眺めた男は、剣の才能を認められ、同期で入学したライル。

俺の大親友だ。背は高くがっちりとした体。美形の顔に、まじめときた。

けして街では一緒に歩きたくなし、合コンでは近くに来るなといった存在だ。

とは言え、もし侵略者が現れたら間違いなく頼りになる存在だ。

普段は普通の服を着ているが、いざ戦いとなると、鎧に兜と言った具合の装備をし、いかにも戦士と言った勇ましい姿になる。


ライルは俺に気づき手を振りながら話しかけてきた


「お〜い アンティ今見たか? 」


ライルは今の空間を切り裂くくらいの、豪剣を俺にうれしそうに説明したいらしい。

努力を惜しまないライルの話は、眠くなる。自分だけうれしそうに長々と話をしてくるからだ。

今はライルの話を聞いてる暇はない。


そう思った俺は軽く手を振り、とことこと教室に向かう。


教室に向かうと、近くの音楽室から女性の歌声が聞こえる。


扉の開けっ放しの音楽室。


この学校の音楽室は防音のため、閉めてしまうと外には音が聞こえなくなってしまう。

昔幽霊が出ると騒動があって、閉めてしまうと怖い。逃げれなくなるとか言う理由で扉が開きっぱなしのときが多い。

しかし今聞こえてくるこの声は、俺にとっては癒しでもあるくらい上手く、心が穏やかになれる。

これを聞くのが日課だよ。ライルの話よりずっとましだ。


声の主はレアリー。


俺と同期で幼馴染でもある存在だ。


素質と言えば「......素質と言えば」俺はぼそっと音楽室を眺めて考えた。


学校に入って苦労して覚えた回復魔法と、透き通るかのような歌声。そのくらいかな。


この学校は戦うための素質が無ければ入れないんだけど、なぜか入学してしまったと言う感じだ。


音楽室を見つめているとレアリーが出てきた。


「おはよう! 魔法使い君」

そう俺を見下したかのように話しかけるレアリーがいる。

いつもの事だ。


確かに彼女の見た目は、すべてにおいて特別と言う言葉が当てはまるくらい美人だ。

将来間違いなくテレビの向こうで全国民に愛され、大事にされると言う存在だと俺は確信している。


今日は制服を着ているようだ。この学校は制服でも、普段着でもどちらでも可としている。


女性の場合は、見た目に気を使う人が多い。制服は気が楽なのかもしれないな。

レアリーの将来の夢は歌って回復できる歌手。

たまに調子に乗りすぎて、入らぬ事をやらかしたりするのが欠点だ


「なんだよ魔法使い君って? 」


俺は不服そうに返すが、うれしそうに近づくレアリーの顔を見ると、まぁ、いいかと優しい笑顔になれた


その後はまともに会話もできず、彼女の周りには男達が集まり、そのまま教室に流れこむ。いつもの光景だ。



 「ブゥー」



学校自体が閉ざされた施設となる合図がなった。


この学校は島の中心に配置され、別名中央学校と呼ばれている。

そして、学校の敷地内はこのブザーとともに特殊な外壁で包まれ、外部に出られなくなる。

もちろん外部からは内部への移動もできないし、状態すらわからない。


学校敷地内にはモンスターが出現する。

街に出るモンスターが敷地内をうろうろしている

獣系、機械系、ドラゴン系、魔族系といった4種類のモンスターが存在する。


モンスターに襲撃されれば命を落とす危険すらある。

現に毎年、何人かモンスターの被害に遭っている。この緊張の中、俺たちは授業を受けている。


入学したとき校長から説明があったが、この世の中にはモンスターが存在していて、時々島を荒らすと言う話だ。

そのモンスター達を島の中央に封印したのが校長の家系であり、校長の家系は封印の番人らしい。

校長が眠っている間は封印が緩んでしまう。そのときモンスターの一部が外に出る。これが中央学校のモンスター出現の理屈だ。

校長は昼間外壁が出ている間眠る事で、夜中街にモンスターを行かないようにしている。

本当かどうかはわからない。

校長の話だと街に出るモンスターと、学校内のモンスターは別だと言う。

しかし街のモンスターは発生場所がわからない。

とは言え、俺達の中では、昼間封印が解けている時間帯に逃げ出したモンスターではないかと、責任を感じている面もある。


「はい、皆さんそろっていますか? 」


教壇の付近に一人の男が現れた。今まで姿は無くテレポートしてきた。


名はゾイル。年は40位。この先生の家系がこの学校の主だ。つまり校長の息子である。

母はもうこの世にいないみたいだ。なんでもモンスターの被害にあったとか。


ゾイルの兄は街でこの学校のスカウトをしているペドロだ。

俺もペドロさんに、学校に通うように進められたうちの一人だ。


ペドロは、槍や魔法に長けていている。話し上手だし、皆に親しまれている。

先生をやらず、なぜスカウトをしているかは不明。

噂では学校内で不祥事を起こして、魔力により学校内を立ち入り禁止にされたとか。

人が良すぎて、その辺は聞きづらい。


この学校の建物は、クラスが一つであり人数も60人程度なので小さい。


教室はと言うと、今いる読み書きする際の部屋、音楽室にシュミレーションルームに、講師達つまりゾイル達が暮らす区域と言った感じだ。

俺たちが行き来できるのは講師達の住む区域以外だ。


探検するなら敷地内だろう。しかしモンスターがいるから、相当危険だけどね。

とりあえず学校をさぼらずゾイルの講義に参加していれば、危険は無い。


学校の敷地はというと、見渡す限りと言ったくらいけっこう広い。


ゾイルの講義は一般教育、そして、武器や防具、魔法と言った特別な知識の講義だ。

講義とは言うが、実際の所は、レベルにあった教科書を渡され各自が自分で読み、わからない所があれば質問すると言う勉強の仕方だ。


各能力が時間割ごとに分かれているが、だいたいのやつが自分の素質に関係ないと思ったら、寝てるか漫画を読んでるかになる。

その中でもライルとレアリーは全講義をしっかりこなす優等生。


授業もたまに笑いがあり俺は、これと言って不満はない

今日の授業でも

「魔法ってわかりづらい 」

後輩達が先生にそう言ってる。

魔法はイメージ力だから、指をライターだと思って、火を出すイメージを思い浮かべてくださいと教えられる。

それでも始めのうちは出来ないもんだ。

魔法が使えた瞬間は、人間の体が水面と例えられ、水面が爆発ではじけたように感じると表現される

それを体感すると魔法使いとして常時魔法を使いこなせる

これにレアリーが「それっていまでもイメージ湧かないよね〜 」

しかし俺は「難しく考えるなよ! 風呂の中で屁こいたイメージだよ」

レアリーはなるほどと嬉しそうな顔をするが


「なんだお前でも屁するのか」

俺のその声に、レアリーが赤面する。

そしてレアリーは、投げられるものすべて全力で俺に投げつける。

それをみて教室は笑いで賑やかだ。


こんなことが日常的に。この学校は俺は嫌いじゃない


天才だが不真面目な俺はと言うと、ここ最近街の住民から聞いた話をもとにある部屋を探している。


そして講義が終わった。


その後は各得意とされた分野のメンバーに別れ実習になる。


このときが危険だ。


実習はおもに先輩に稽古を付けてもらいながらモンスターを攻略する。

たまにお宝なんか落とすと、ちょっとうれしくなる。


今の俺やライル、レアリーは既に後輩達に教える側になっている。

つまり俺達の強さが無ければ、モンスターと遭遇したらグループは全滅の恐れがあると言うことだ。


素質を活かしながらチームプレイ、個人能力を駆使し外壁の端にある指定の場所に火をともす。

各場所に火を灯すことでモンスター達は闇に帰ると言う。

火を灯すと一日の活動が終了する。


だから

「んじゃ! テレポ!!」


俺の魔法使いグループはテレポで一瞬にして今日一日のやることを終わりにする。

しかし勤勉な後輩達だ。火をともしても各素質を持ったグループを支援に行く。実際俺も昔はそうだったからね

稽古はどうするか?そう後輩達が聞くが魔法使いは、やりたいことをイメージし、そして心に秘めた魔力を解放する。

これが魔法。つまりだ安定した精神力とイメージだと、後輩に伝えるのが役目だ。


それに何よりも危ないときはテレポを使えと教えてある。

逃げ回りさえすれば死にはしない。

どこかで聞いた言葉だがとても気に入っている。だからうちのグループの教訓は「生き残れ!」

後輩達はぶつぶつと不満を言うが、俺の人の良さのせいか二言返事をして、各自が他のグループに顔を出しに行く。


それを見届け俺はやりたい事を始める。


「さて、探すか」と小声で言い俺は単独行動をとりはじめた。



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