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核戦争後の生業  作者: 橘花
集落編
7/16

対策

-ガレージ-


何とか無事に戻れた俺達は、5式中戦車をガレージに入れてから、ベッドに入った。


「何で、あいつは、あんな奴じゃあ無かったのに。」


俺は、戻って来て疑問に思っている。頑固ではあったが、現実を見れない奴ではない。まだ、別の理由があるのではないかと思う。


「ねえ、彼の事を話してよ。」


下のベッドに寝る中島が聞いてくる。俺は目を開け、話し始める。


「あいつは、同級生だ。小学校から、ずっと一緒に過ごしてきた奴だよ。それなりに、リーダーとしての素質があってな。学級委員や生徒会長も少しだけやった事がある。」


俺は、脳裏にあいつとの思い出が蘇る。色々と、一緒に馬鹿やったりして怒られる事もあった。


「中学の修学旅行の時にな、あいつと一緒に班から離れて別行動取ったことがあってな。後で滅茶苦茶先生に叱られたよ。」


中学時代の修学旅行、京都で班の回る場所がつまらなくて、自分達だけで別行動を取った記憶を思い出す。あとで、本当に滅茶苦茶怒られた記憶も一緒に蘇る。


「救われたと言っていた。あいつは、恩を返す奴でもあるが、それだけであんな事はしない。」



‐総司令部-


「劉様、威力偵察隊の原指揮官が帰還しました。」


Ka25が、司令部テントの前のヘリポートに着陸する。砂埃がたたない様に整備されている基地の為、ヘリが着陸しても砂埃がたたなかった。


「結果はどうだった?。原指揮。」


劉は着陸したヘリから降りた原に向かって言う。疲れていた俺は、それでも姿勢を正して劉に向き直る。


「はっ、あの程度の集落など、総攻撃を仕掛ければ瞬で落ちるでしょうね。守っていたのは、5式だけ。他はあっても、相手にならない。」


総司令部には、既に相当数の戦車が集結している。各基地から集まられた戦車が、基地内には並べられている。俺は、その数に圧倒される。


「これだけの戦車を投入するんですか?」


俺は、たった一つの小規模な集落に3500台の戦車投入はやり過ぎだと思った。


「相手を甘く見たくなくてね。現に、40台を1台で相手にして勝っている。出来ればもっと投入したいが、ここに来るまでにモンスターに遣られてね。」


俺はガッカリする。ここまで精強な軍団を創設したのに、モンスター如きに遅れを取った事に、怒りを同時に覚えた。


「結果、3500台の投入が決まった。何台かは、新式だ。」


集結している戦車は、少数だがT-72やT-80、天馬号、96式や98式などの新型戦車があった。


「これを投じる。整備を含め、明日には出撃できる。君も、用意したまえ。」


「はい。」


そう言って俺は歩こうとした時、足が上がらない事に気付いた。それに、劉様も気付いたようだ。


「また、足に砂が入ったのかね?。無理も無いがね。砂漠で戦車から降りたのだから。」


俺はブーツを脱ぎ、ズボンを上げる。そこから見えたのは、右足が義足となっている両足であった。右足を軽く叩くだけで、関節部分などから砂が落ちる。


「いえ、大丈夫です。これ位なら、叩いて砂を掃うだけで十分です。」


「私は、ブラシで掃除した方がいいと思うが。時間はある。無理をさせない事だ。」


俺は、言われた通りにブラシで入念に掃除を行った。



‐集落-


朝に俺たちは集落を訪れる。至る所で砲撃を受けた傷跡が残っていた。


「あ、大和さん。」


復興作業を見守る大和さんを見つける。見守ると同時に、力仕事を行っていた。


「ああ、高富か。酷いもんだよ。至る所が攻撃で破壊された。寝ている時の攻撃は堪えてな、脱出しか頭が働かなかった。」


無理もなかった。寝ぼけて戦わなかっただけマシである。もしそうしていれば、今頃は帰らぬ人となったかもしれない。


「取りあえず、生きてて良かったです。」


「俺は良いが、あそこの奥さんは砲撃で夫を亡くしてな。変わらず話し込んでいるが、それは悲しさを紛らわす為だ。」


俺はその言われた女性の方を見る。笑顔で、他の女性と話してはいるが、その笑顔には陰りがある。


「そうですか。すみません、もっと早く到着していたら。」


「いや、別に良いよ。むしろ、感謝しなくちゃな。唯一反撃して、追っ払ってくれた人だから。」


それには、俺も照れるしかなかった。




‐ダッチじいさんのガレージ-


「お嬢ちゃん、言われた通りの装備をしといたぜ。」


ダッチじいさんのガレージには、私の要求していた通りに改造された王虎号があった。エンジンやマフラーの換装された王虎号は速度が砂漠の上で32km/hとなった。


「そうそう、主砲が良いのが出来てね。65口径の88mm砲だ。どうする?。積んで欲しいんなら、今から装備させるが。」


「お願いしときます。」


私はダッチじいさんに主砲の換装をお願いしておく。そろそろ、砲身も換えないと命数に達するところだった。


「あいよ。代金は戦車を撃破した後に使えそうな部品を分けてくれるなら、いらないよ。」


「ありがとうございます。」



‐広場-


「それで、対策として対戦車塹壕を最低人数を集落に残して後は総出で掘らしている。」


広場で、俺と大和さんは対策を話している。しかし、現状この集落が保有する戦車といえば大戦中の装輪戦車ぐらい。戦車に対する有効な対策は対戦車塹壕しかなかった。


対戦車塹壕とは、その名の通り戦車を足止めするための塹壕である。第一次大戦の塹壕突破兵器として使用された戦車も、幅広の塹壕は突破することが出来ず、足止めされたところを砲兵に撃破された記録も残っている。


「恐らくは、その対戦車塹壕が最も有効でしょう。後は、装輪戦車の砲塔だけ増加装甲を加えて、砲塔だけ砂から出してトーチカとして戦うか。」


砂漠戦で装輪戦車はどちらかと言えば不向きだった。砂の上では機動力が落ちるタイヤを装備しているからだ。


「まあ、現状はそんなモンだろう。」


大和さんも納得する。他にも、急いで対策を練らせているのだった。

一人称などはまだ実験中ですので明確に決まっている訳ではありません。なので、話数によって一人称が違うこともあります。


これは、今度書こうとしているラノベ形式小説の練習も兼ねているので。

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