第7話 鍛錬1 能力とは?
真「ん…」
俺は起きた。すでに朝日は昇っていて、カーテンの間から木漏れ日が差し込んでいた。
真「…あれ?」
だが俺は体があまり動かせないことに気づいた。金縛りのようなものではない。ある程度動くことはできる。だがなんというかお腹から胸にかけて締め付けられているような感覚だ。目線を胸当たりに移すと…
なんと翠花姉が俺の胸あたりに腕を回していた。あまりの光景に声が出ない。
翠花「んん…」
翠花姉はまだ寝ていていた。そんなことを思っていたら…視界が動いた。わけがわからず目を閉じた。止まったのか?そうして俺は目を開けた。そしたら…
真「!!」
翠花「すー…すー…」
なんと翠花姉の顔が目の前にあった。彼女の顔を目の前にして心臓の鼓動が速くなっているのがわかった。改めてこの人の顔をみたが…やはりとても美人だ。小学生でこの顔なんだ。成長して大人になったらトップモデルも余裕で狙えるレベルだろう。それくらい美人だ。そんなことを考えていたら…
翠花「うーん…ん?」
真「あ」
翠花「あ。おはよお…真くん。朝から近いね」
それに関してはあなたのせいだがな?腕の感覚ないのかこの人は。
真「腕を見てみてください」
翠花「え?あ…ごめんねえ。よいしょっと」
彼女からの拘束が解けた。やっと動くことができる。
翠花「さてと…あ、真くんにはちょっとしたルーティンを覚えてもらおうかな。私たちと一緒に」
真「ルーティン…ですか」
どんなことをするのだろうか。朝からランニングとか?はたまた正座をして心をきれいにするとかか?
真「ど、どんなことをするんですか?」
翠花「まず朝ごはんを食べる。そして身なりを整える。一旦ここまでやろうか。朝ごはんは多分蓮乃が準備してくれてると思うよ」
そう言い翠花姉は歩き出す。彼女に俺はついていく。リビングにつくとそこには蓮乃さんが朝ごはんの準備を終わらせ椅子に座っていた。そして彼女が俺たちに気づく。
蓮乃「翠花さま、真くん。おはようございます」
真「はい。おはようございます」
翠花「おはおう。やっぱり早いね。蓮乃は」
蓮乃「いえいえ。これくらいいつも通りです。ではごはんを食べましょうか」
翠花「そうだね。あ、真くんは私の隣ね。ここね」
そう言い翠花姉は椅子に手を置きポンポンと椅子を叩いた。その椅子に俺は座る。
翠花「じゃあ、いただきます」
真・蓮乃「いただきます」
朝ごはんにしては普通に量がある。米一杯に魚だ。サンマかな?これは。そして味噌汁もある。普通にお腹いっぱいにならないか?これは。
真「朝ごはんってこんなに多いものなんですか?」
翠花「真くんの家だとどんな感じだった?」
真「パン1枚にヨーグルト、牛乳があるくらいでした。ここまで多くはなかった気がします」
翠花「全然違うね。まあ鍛錬してたらお腹すぐに空くと思うから」
蓮乃「ていっても翠花さま。今日はあまり動きませんよね?」
翠花「まあね。けど今日はこんな感じだよってのを教えるためだから」
今日は。この言葉はつまり翌日以降はきつくなるのか。どんな修行をするのか本当に想像がつかない。しかもこの後もルーティンの続きがあるってんだからな。
そして3人とも朝ごはんを食べ終わった。
真・翠花・蓮乃「ごちそうさまでした」
翠花「じゃあ真くん。歯磨きとか着替えとかをやろっか」
真「はい…って僕の服あるんですか?」
翠花「もちろん。昨日蓮乃が編んでくれたよ。蓮乃あるよね?」
蓮乃「ええ。もちろん。今お持ちしますね」
翠花「じゃあ先に私たちは歯磨きをしとこうか」
真「はい」
洗面台の前で2人そろって歯磨きをする。なんというかシュールだ。先に終わったのは翠花姉だった。
翠花「あ、あと寝ぐせとかも直すよ」
真「はい」
そう言い俺は歯磨きを終わらせ寝ぐせを翠花姉に直してもらった。だが直してもらったとき翠花姉は少し不服そうな顔をしていた。
翠花「んー…真くん前髪長いね。あとで髪切ってあげよっか?」
真「え…えっと…」
翠花「そんなのじゃ前もあんまり見えないよね?私が切ってあげるから」
そんな翠花姉の提案。正直なにも言えなかった。なぜなら俺はこの目をコンプレックスに思っていた。だが大厄災の前に俺は知った。この目は「絶眼」ということを。そのことを覚えていた俺は彼女に言った。
真「はい、お願いします」
翠花「おっけー。任せてね」
というかこの人はなんでもできるんだな。髪を切るなんて美容師じゃないとできないものではないのか。
翠花「もう切っちゃおうか。そこに座ってね」
真「はい」
翠花「私が切っちゃうから目をつむっててね」
そう言い彼女は手際よくどんどん髪を切っている。どんな髪形になるのか全く想像がつかない。だが彼女のことだ。整えてくれているんだろう。そして時間は過ぎ…
翠花「よし、こんなものかな。いいよ目を開けて」
そうして俺は目を開けた。鏡に映る俺の姿はまるで別人だ。先ほどとは異なりかなり髪が短くなった。前髪は眉毛少しくらいにある。そして俺の特徴である赤メッシュも残してくていて、かなり仕上がっていた。
翠花「どうかな。私的には結構いいかなって思ったけど。鍛錬もするってなると短い方が動きやすいから短めに仕上げてみた」
はっきり言ってかなりセンスが良かった。
真「はい!ありがとうございます!」
翠花「よかった。気に入ってもらえて私もうれしいよ。じゃあ髪も整えたことだし蓮乃から服をもらって着替えておいで」
真「はい」
ドアの奥にいる蓮乃さんに話しかけた。
真「あの…蓮乃さん。服は…」
蓮乃「ええ。こちらです」
そう言い渡された服はおそらく稽古をするようの道着と…こっちは私服になるのかな?が2着あった。正直どっちもおしゃれでこれを編んでみせたこの人に驚きが隠せない。
真「わあ…」
蓮乃「気に入っていただけるようなら幸いです。これから稽古もありますので一旦は道着でいいかと」
真「はい!ありがとうございます!」
そう言い道着に着替え、翠花姉のもとに向かった。
翠花「お、似合ってるね。じゃあルーティンの続きね。ついてきて」
そう言い案内されたのは…祠?神社?あまりわからないが…ここになんのようだ?
翠花「ここだね」
真「ここにはどんなことが?」
翠花「ここには四神の一柱である朱雀様が祭られてるの。1日1回朱雀様に手を合わせることが習慣になってる。さ、やろうか。手を合わせるよ」
特に作法はないのか。手を合わせるだけか?ちらっと翠花姉の方を見たが手を合わせているだけのようだ。これといったことはしていない風に見えた。
翠花「よし、じゃあこのまま稽古を始めよっか」
真「は、はい!」
ついに始まる稽古に俺は胸を躍らせた。どんなことがあるかわからないからこそだ。そして道場に着く。
そこにはホワイトボードと机があった。
翠花「今日は説明がメインになるかな。しっかりと聞いててね」
真「説…明…ですか」
翠花「うん。なんせ真くんはまだ能力をまだ持っていないし、神気もない。どういうものか理解してないと使えないものだから」
真「な、なるほど」
翠花「早速説明していくよ。まず、この世界には能力が存在すること。これはもう常識だね。真くんも一回は見たことあるんじゃないかな?」
真「はい。あります」
俺は父親が能力を使っているのを目の前でみた。あれはすごかった。
翠花「うんうん。私も能力を持ってる。そして真くんも。これはみんな持ってるものなの。ただ神気を使えないと能力は使えない」
真「翠花姉、神気ってなんですか?」
翠花「今はまだ触れないけど午後に触れるよ。午前は能力の説明をしてくから」
真「わかりました」
午前も午後もあるのか。きついが頑張るぞ。
翠花「まず、能力にもいろんな種類がある。火を出したり水を出したり突風を吹かせるいわば自然のものを操る能力。これを自然能力っていうの」
真「自然能力…」
翠花「また重力とかを操ったり治療とかの現象を引き起こす系の能力。これを現象能力って呼ばれてるね。けどこれを持ってる人は結構珍しいね。重力とかくらいしか私は見たことない。例で出した2つは私が見たことあるもの。それくらいみんな自然能力を持ってるかな」
つまりおおよその能力は自然系統の能力を扱ってる人間が大半なのか。
真「えっと…翠花姉や僕はどんな能力を持っているかわかるんですか?」
翠花「もちろん。けどそれをこれから説明しようかなって思ってたから。急がずにゆっくりといこうね」
真「はい…すみません」
翠花「大丈夫。気になってるだろうし説明に戻るよ。この能力を持ってる人は自然能力よりは珍しくはない。けど現象能力よりも強いよ。それはね…」
真「ゴクリ…」
翠花「偉人能力と言われているよ。この能力は私も持ってる。こんな風にね」
そう言い翠花姉からまばゆい光と立派な刀が出てきた。
翠花「これが私の偉人能力、『沖田総司』」
真「これが翠花姉の能力…」
翠花「そう。これが私の能力。私は能力を3個持ってる。沖田総司にプラスでもう2個ね」
真「それはどんなのなんですか?」
翠花「一つはマリリン・ボス・サヴァント」
なに?マリリン…なんだ?それは。初めて聞いた名前だ。
翠花「まあ聞いたことないよね。この偉人はとても頭がよくIQは276の天才で記憶力もずば抜けている偉人。私の頭脳の根幹の能力。そしてもう一つは現象能力、『治癒』これらが私の能力だね」
真「す…すごい」
翠花「私の能力を紹介したところでまだ説明はあるよ。偉人能力の上位互換となる能力。その名も…神話能力。この力ははっきり言って本当に強い人しかいない。この能力を持ってる人は潜在能力がすごく高い。だけどこの力を持ってる人間はわかりやすいんだよね。なんでかわかる?」
真「いや…わからないです」
翠花「神話能力を持ってる人は『絶眼』と呼ばれる目を持っている。こう言われているね。特徴はまず目が龍の目っぽい。もしくは目に光のようなマークがあること。そして目が黒色で…ん?」
翠花姉は俺の目をよく見た。顔をとても近づけて。
翠花「も…もしかして真くん。君の目…絶眼じゃない?」
真「は…はい…両親にはそう言われました」
その事実を聞き、彼女はとても驚いていた。
翠花「うそ…絶眼をこの目で見れる日がくるなんて…」
真「そんなに珍しいものなんですか?この目って」
翠花「ええ…これは本当に珍しい目だよ。けど言い伝えではこういわれてるね。『虹帝達は皆揃って絶眼を持っている』ってね。やっぱり君は皇帝になる器なんだよ!」
真「ほ、本当ですか?やったー!」
やはり俺は生まれるべくして生まれる存在だったのだ!とてもうれしいぞこの事実を知ったというのは。
翠花「でもね。この後説明する神気。これが神話能力だと自然能力とか現象能力、偉人能力よりもはるかに多くないと発現することもできない。神気を増やさない限り、発現できないまま生涯を終えることになる…」
やはり両親も言っていた通り神気を使いこなさなければいけないらしい。翠花姉もいうんだ。間違いないんだろう。
真「じゃあ僕は神気を増やせばその…神話能力っていうのを発現できるんですね?」
翠花「え?あ、うん。そうだけど…」
真「僕は言いました。翠花姉に稽古をつけてもらい強くなって皇帝になると。どんな稽古でも僕はあきらめません!」
俺の夢、皇帝になること。そのためならどんな稽古もやってのけてやる。そう俺はきめたんだ。そう言った時の翠花姉は確信を持ったような顔だった。
翠花{この子なら…きっとなれる。なんかそう思わせてくれるような人間だよ。君は。その覚悟があるなら私もその目を裏切らないようにしないとね…}
真「翠花姉?どうかしたんですか?」
翠花「ううん。なんでも。じゃあ皇帝になるためにも神気を使いこなせるように頑張ろうね」
真「はい!」
午前中に能力とはどんな種類があり、そして自身の目がやはり特別だというのを再認識した。この力を発現するため、神気を増やすために、俺は頑張ると誓った。俺は午後から始まる神気の説明に心を躍らせた。




