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前は王を目指していたが今度は皇帝を目指します。  作者: おかしなお菓子
第1章 幼少期

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第5話 決意、そして夢への第一歩

真「んうぅ…」

翠花「あ、起きた?真くん」


どうやら俺は寝てしまっていたみたいだ。ベッドの上にいた。泣き疲れなんて初めてだ。だがそれほどに翠花さんの腕の中は心地よく、そしてなにより母親のことを思い出してしまったんだろう。


真「すみません…寝ちゃってたみたいで…」

翠花「ううん…大丈夫だよ。こっちこそごめんね?」


彼女が謝るようなことはしていない。俺が悪いんだ。


翠花「でもそうだよね。いきなり意味も分からずこんな場所にいるんだもんね…私も真くんと同じ立場ならそうなると思うもん」

真「そういうものですかね…」

翠花「多分みんなそうなっちゃうと思うよ。しかも真くんは私よりも年下なんだから。こういう時くらい甘えてもいいと思うよ?」


やはりこの人はいい人だ。俺のことを親身になって聞いてくれる。だが…いつまでも彼女に甘えてばかりでいいものなのだろうか。彼女がいいと言ってくれているから甘えてもいいのだろうが…いや、このままではだめだ。


真「少し生意気かもしれませんが…僕は大丈夫です!」


そう俺は翠花さんに言った。それを聞いた彼女は微笑んでいた。


翠花「ふふ…そっか。ならもう心配はいらないかな?」

真「は…はい!」


そう言った俺と翠花さんに蓮乃さんが近づいてきた。


蓮乃「翠花さま、真くんの家ですがおおよその場所がわかりました」

翠花「お。ほんと?やっぱり仕事は早いね~蓮乃は」

蓮乃「ありがとうございます。そして場所ですが…」

翠花「うんうん」

蓮乃「…大厄災により…焦土となっていました…」


…嘘だろ?じゃああの地域一体をあの龍が燃やし尽くしたというのか?じゃあ家族は?竜馬や凛、相良にフィラはどうなったんだ?だめだ…もう頭が回らないほどに衝撃が多すぎる。


翠花「うそでしょ?」


そう言う翠花さんの顔は先ほどのような顔ではなかった。顔が青ざめていた。さすがの事実に彼女も衝撃を隠せていなかった。


翠花「じゃ…じゃあ真くんのご家族は?もしかして…」


その言葉は聞きたくない。もしもその言葉を聞いたら俺はどうしたらいいのかわからなくなる。


蓮乃「いいえ、ご家族は確実にご存命です。間違いありません」

真「ほ…本当ですか?」

蓮乃「ええ。このビラを見てください」


そう言い蓮乃さんは一枚のビラを俺と翠花さんに見せた。ビラにはこんな記載があった。


『子どもを探しています!赫星 真 (あかほし しん)4歳 髪に赤メッシュ入り 身長110センチ 赫星破那』


蓮乃「真の苗字とお名前も一致します。髪も赤メッシュが入っていて身長もこの記載とほとんど同じなのです。お母さまの名前は記憶にございますか?」

真「はい、お母さんの名前も破那って言います」

蓮乃「ほぼ確定で間違いないでしょう。シーバンス帝国の名家ともなればビラがまわる優先順位も高いでしょうしね」


母親はもうすでに動いていた。大厄災がいつ起き、今が何月何日なのかもわからない。


翠花「真くんのお母さん動くの早すぎじゃない?だって大厄災が起きたのっていつだったっけ」

蓮乃「帝光暦1822年5月17日10時29分に大厄災は起きました」


帝光暦というのはこの世界の年号か?知らないことばかりだ…この世界は。


蓮乃「そして本日は6月2日。それがどうかしたのですか?」

翠花「いやさ…このビラ5月17日の10時36分にはもう印刷されてる…」

真・蓮乃「え!?」


本当だ。右下に時間が書いてある。いくらなんでも早すぎる。印刷されるのに少しは時間がかかるはず…母親はどれほどの時間でこのビラを配る動きに入ったのか。気になることが多すぎる。


真「お母さん…」

翠花「真くんのお母さんって何者なんだろう。ここまで早く動きだすのって言い方あれだけどやばいよ」

蓮乃「翠花さま、人の親をそんな言い方するものではありません」

翠花「あ…うん…でも本当にそれくらい早いんだよ。蓮乃は知ってる?今の衛職隊えいしょくたいへの通報から全国の新聞社へ行き渡る最短時間」

蓮乃「いえ…存じていませんが…」

翠花「5分」

蓮乃「え?」

翠花「通報から全国の新聞社へ行き渡る時間の最短時間は5分なの」


…待てよ?計算が追い付いていない。話を聞かないと追い付かないぞこれは。


翠花「真くんの母親はおそらく大厄災が起きた直後くらいにはもう衛職隊に通報している。じゃないとこの時間にビラを印刷することはできない。はっきり言ってこんなの不可能に近いよ。いくら何でも早すぎる」

真「そ、そんなに早いんですか?お母さんの通報は」

翠花「うん。本当に早い。早すぎる。私の想定できる範囲でだけどあり得る可能性を教えようか?」

真「はい、お願いします」

翠花「うん、わかった。まずこの大厄災を引き起こしたのは何者なのか。それは…」

真「虹色に光る龍ですよね?」

翠花「え?あ、うん、そうだけど…知ってるんだ?」

真「はい…だって僕、そいつと目が合っていますもん」


あの目は本当に怖かった。今でも思い出しただけで背筋が凍る。それくらい怖いものだった。


翠花「目が!?あった!?それは本当なの!?」


そこまで驚くようなことだったのだろうか。奴と目が合うことは。


翠花「目が合うってことは確実に真くんを狙ってたのかもね…想像するだけで恐ろしいな…」


目の前にいますよ目が合ったことがあるやつ。そして直接あいつが放ったビームを食らったやつが。


翠花「ま、まあいいや。それでね?私が思う可能性はね。真くんのお母さんが”虹龍”と虹龍が出したビームを見ていて、その場所が真くんがいたよう幼稚園の方角と一緒で、真くんが心配で事実確認もせずに即通報をした。1分もかけずにね。これが一番現実的。それ以外なら現実的ではなくなるかな」


この少しの会話をしていた中で翠花さんはここまでの可能性を導き出してみせた。この人、性格もいいが頭もいいのかもしれない。


真「な、なんで1分もかけずにってわかるんですか?」

翠花「引き算だね。これに関しては」

真「引き算?」

翠花「そう引き算。真くんはまだ習ってないかな?」

真「は、はい」

翠花「まあしょうがないよ。ならこれから私が教えてあげるよ」

真「本当ですか!?やったー!」


翠花さんに教えてもらえるというのがうれしい。どんな風に教えてもらえるのか。想像しただけでわくわくしてきた。


蓮乃「話の軸がずれているような気がしますよ」

翠花「そうだね。直そうか。まずこのビラが印刷されたのは何分だったかな?」

真「36分ですよね」

翠花「そう。そして私は最短で何分で通報から全国の新聞社に行き届くって言ったっけ?」

真「最短で5分と」

翠花「そうだね。だけど通報が入っても通報直後に印刷なんてできる?特徴とかの説明もあるだろうし1分か2分は最低でもかかる。じゃあここから引き算ね。36分に印刷された。通報が新聞社に届いて印刷するのに1分と仮定して印刷する前は何分?

真「35分ですね」

翠花「そうだね。できるじゃん!じゃあ次。今35分ね。通報の最短が5分だから?」

真「30分!」

翠花「そうだね。そして起きたのが29分。じゃあ30分と29分の差は何分?」

真「…本当だ!1分になる!」

翠花「そう、だから私は真くんのお母さんの通報が早すぎるって思ったんだ」


情報をしっかりと整理できればこんな計算なんて簡単だ。だが今の俺はいろんな感情が出入りしているせいでこんな簡単な計算もできていない。それにしても俺の母親は本当に早い。起きた直後にはもうやってるなんて…


翠花「まあこれに関してはあり得る可能性ってだけだから。ほかにも近くにいたとかそこらへんも考えれるね。あとはそうだな…真くんのお母さんは真くん第一に考えていて一心不乱になってたとかもね」


本当にありえそうな可能性がいくつも出てくる。本当に頭の回転速度が速いんだろうな。この人は。


翠花「真くん、お母さんのもとに帰りたい?」


なんて提案だ。確かに俺は母親のもとに帰りたい。だがこの2人には短い時間ではあるがお世話になっている。翠花さんには俺が泣きじゃくっても離すことなく抱きしめてもらった。蓮乃さんには今の家のことを調べてくれた。お世話になっていることは間違いないのだ。


真「え…えっと…」

翠花「迷う気持ちもわかる。けどね、私は真くんを今のシーバンス帝国には返したくはないかな」


それはどういう意味だ?俺が両親のもとへ帰ることは許されないというのか?


真「なんでですか?教えてください!」


その時、翠花さんの顔が変わった。少しピリピリするようなものさえ感じる。


翠花「…なんでかっていうとね。今のシーバンス帝国は大厄災によって壊滅状態。いわば無法地帯と化しているの。ガラの悪い連中がそこら中にいる。もしかしたら真くんはそんな奴らに殺されるかもしれない。そんな状況の帝国に帰りたい?」

真「…それは…」


こんなこと言われてそれでも帰るってやついるんだろうか。少なくとも俺は違う。今の俺が元々いた国に帰ったところですぐに死んでしまうだろう。もしかしたらあの龍に今度こそは殺されてしまうかもしれない。では俺はこのまま帰れないのか?両親のもとへは。


翠花「そんな真くんに私から一つ提案があるんだけどいい?」

真「はい…」


どんな提案が来るんだ?私の秘書になりなさいとかか?召使とかになれとでもいうのだろうか。


翠花「私と一緒に稽古をしない?」


まさかの提案だった。この人と一緒に稽古をするというのか。どんなことをするのか見当もつかない。だが俺は決めたんだ。この世界で皇帝になると。その信念を曲げるつもりなんて毛頭ない。強くなって皇帝になるんだ。


真「僕は…やりますよ。翠花さん。あなたとの稽古を。稽古をつけてもらって強くなって…僕は皇帝になるんです!」


そう言い、俺は翠花さんの目をまっすぐに見た。その時の翠花さんは驚くこともなくこう言った。


翠花「ふふ…そうだね。なら…強くならないとだね。私はその目、大好きだよ」


微笑みを浮かべながらそう言ってくれた。


翠花「じゃあ明日から早速稽古だよ!」

真「はい!」


俺はこの人との修行で強くなって…もう誰も失わない皇帝になるんだ!




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