第2話 入学、出会い、そして知る
能力がある世界に転生をしたという事実が脳にこびりついて離れない。俺はこの世界で強くなって王様になるという夢を叶えるべく努力したいと思っていた。そうして赤ん坊の時代を過ごした…
だが、俺は一つの真実を知ることとなる。それは…
俺には能力がない。
なぜだ?この世界はみんな能力を持っていないものなのか?才能とかそういうものなのか?あれだけ強い父と母親から生まれたこの俺が?そうした焦燥にかられること4年余りが経過した。
今の俺は4歳。赤ん坊のころに比べれば大きくなった。言葉もおおよそ話せるようになった。母親の影響が強いのだろう。なにより、小さな俺はとにかく褒められた。褒めてくれる時、いつも頭をなでてくれた。頭をなでてくれるからこそ頑張れる。だから言語も頑張って覚えようとした。その結果、この世界の言語を早く理解することもできた。そんな母親と少し会話をしていた。気になることがあった。
真「ねえねえ、お母さん」
破那「うん?どうしたの?真」
真「僕みたいな子たちがみんな早くから歩いてるけど、どこに向かっているの?」
破那「ん~…真も行ってみたい?」
真「うん!行きたい!」
破那「よーし、お母さんに任せなさい!」
そうだ。気になっていたのは同い年くらいの子たちが窓の外で親と思われる人とともに歩いていたことだ。どんな場所か気になっていた。
破那「明日、そこに行くからね。ちゃんと準備するんだよ?」
真「うん!わかった!」
破那「真はえらいね~」
そうしてまた頭をなでてもらえた。やはりなでてもらえるのはうれしいな。そして翌日となり、件の場所に向かうことになった。10分くらいは歩いたか?そうしていると…
破那「ここだよ。真」
そう言い着いた場所は幼稚園のような場所。子供たちが遊具で遊んでいる。そしてその中にいる大きな女性。母親と大差ないくらいだ。その女性がこちらに向かってきた。
女性「どうも、赫星さん~」
破那「どうも先生、これからお世話になります~]
女性「あら、この子がお子さん?」
破那「そうなんですよ~。よろしくお願いしますね。ほら、真もあいさつするんだよ?」
そんな無茶ぶりありかよ…けどやるしかない!
真「えと…おねがいします…」
女性「うん。よく言えたね。えらいぞ~」
…めちゃくちゃ緊張したのがばかみたいだ。そんなに受け流すことなくないか?まあいいか。
破那「では先生、今日一日よろしくお願いしますね」
女性「はい!おまかせください!」
そう言い、母親は俺と女性を見届け、どこかに行った。
そうして俺は女性とともに施設の中に入ることとなった。建物のなかに入り、女性と会話をすることとなった。
女性「まず、自己紹介からしてみようか。私は杏野 李緒。これから君のお世話をする人だよ。君の名前は何かな?
李緒と名乗る女性は母親ほどではないが、笑顔がすてきな女性だった。この女性は母親と重なる部分も多かった。そのおかげか自然ということができた。
真「赫星 真です」
李緒「そっか、真くんだね。これからよろしくね。じゃあ、ここがどんな場所か知らないと思うから、その説明から入ろうか」
真「はい、よ…よろしくお願いします!」
李緒先生は微笑みを浮かべ、俺の手を握り、いろんな部屋に連れて行ってくれた。教室から体育館、舞台、トイレまで。
李緒「そういえばここの施設の名前って知ってる?」
真「いや、知らないです」
そりゃそうだ。俺が行きたいとは言ったが、母親に連れられ、今日初めてこんな場所がある、というのを知ったのだ。知っているわけがない。
李緒「そうだよね。まず、ここの正式名称は『ファイラル大学付属オウラルバ幼稚園』っていうんだよ。みんなオウラルバ幼稚園って言ってるかな。このあたりだったら一番大きな幼稚園になると思う」
真「オウラルバ幼稚園…」
李緒「そう、ここには400人の園児がいるの。多いでしょう?」
真「多いと思います」
いや人数なんて知るわけないだろ。400人がこの世界じゃ多いのか少ないのかわからん。そこからいろいろと説明を受けたが、はっきり言って何を言っているのかわからん。とにかく分かったのはこの幼稚園の名前が分かった。これだけでも十分だ。
李緒「それじゃあ、明日からみんなと一緒に過ごすからね。わかった?」
真「はい!頑張ります!」
李緒「いいね、その意気だよ!」
そんなことを言っていたら…
破那「真~!」
母親が手を振りながらこちらに向かってきた。
真「あ、お母さん!」
そう言い母親に抱き着いた。
破那「あら、かわいいね~真は。どうだった?幼稚園は」
真「うん、楽しそうだよ!」
破那「ふふ、それが一番だよね~。先生、ありがとうございました」
李緒「いえいえそんな、これからの真くんの成長が楽しみですね」
破那「ええ、ほんとうに。では失礼します」
李緒「はい、それではさようなら。真くん、また明日ね~」
真「はい!さようなら!」
ー翌日を迎え、『オウラルバ幼稚園』に母親とともに向かった。
幼稚園に着き、母親と別れた。そして俺は転入生としてクラスに入ることとなった。
李緒「ではみなさん。新しく入る子がいるのであいさつをよく聞いてね」
園児たち「はーい!」
李緒「入ってきて」
真「えと…こんにちは…赫星真です。よろしくおねがいします」
男子「おう!よろしくな!俺、竜馬 創二ってんだ!よろしくな!」
そう話しかけてきたのはとても明るい少年だった。彼はおそらくこのクラスでとても人気があるんだろう。彼に続いてほかのみんなも自己紹介をし始めた。
男子1「僕は相良 文彦といいます。よろしくお願いします」
女子1「あたし、石原 凛!よろしく!」
女子2「私、フィラ・ナーシス。よろしく」
クラスの中でもこの4人が目立っていた。しかも一人帰国子女がいる。めちゃ髪がきれいだ。そして文系の男子もいやがる。そして将来ギャルになりそうなやつもいる。
そしてみんなに共通していること。それは目に色があること。やはりみんな目に色がある。クラスを見渡しても色を持っていない生徒はいないように思える。青色や赤色、緑色黄色など、多くの人が色を持っている。しかし、俺の目の色は黒色。周りを見て確信した。俺は出来損ないなんだ…目の色すらない落ちこぼれ。それが俺なんだと知った。そう思っていたら…
竜馬「どうしたんだよ。そんな俺はだめだみたいな顔して。大丈夫だって!俺らがついてる!」
凛「そうだよ!私らがいるもの!安心して!」
なんだ…みんな話しかけてくれるいいやつらじゃないか。このクラスにも馴染んでいけそうだ。
相良「そういえば真くん、あなたって目の色何色なんですか?前髪が長くて見えないのですが…」
それを聞くな。そのために前髪を伸ばしているんだ。目の色を悟られないように。見られないように。だから見せたくない。
真「あの…えと…」
竜馬「どうしたんだよ。真。見せてくれてもいいんだぜ?誰も笑ったりもしないし大丈夫だ」
相良「そうですよ。目の色はみんな持っている。隠すようなものでも、恥ずかしがるものでもありません」
本当に大丈夫なの?結局笑うってわかってる。だけど見せないとみんなとは打ち解けないかもしれない。もういい。やってやる。俺は前髪を横に流し、目が見えるようにした。その目をみんながのぞき込む。
竜馬「これは何色だ?俺見たことないんだが。父さんもこれっぽいけど青色が結構強いから似てるが少しちげえな」
フィラ「私の国でも見たことがない…なんだいその目は?」
相良「真くん…その色…僕本でみたことありますよ…」
竜馬「おー!よく知ってんな!文彦!それでどんなのだ?」
この相良ってやつの反応を見る限り、珍しいんだろう。どうせ無能力者にしかない色なんだ。この世界にはみんな能力がある。だが黒色の目の人間には能力がない。それを表すものなんだろ?黒目ってのは。
相良「まず、この目の色は絶色と言います」
凛「絶色?聞いたことないわね」
無論、俺も聞いたことがない。
相良「そしてこの目は…神クラスの能力の所持者なんですよ!!」
クラスが一瞬の静寂のあと、喧騒に満ち溢れた。
みんな「えええーーーー!!?」
凛「ほんとに!?信じられない!」
フィラ「そんな存在が…本当にあるなんて…」
竜馬「そんなもんあんのかよ!?やべえな!真!」
真「う…うん」
みんな驚いていたが、それ以上に俺自身が一番驚いた。黒色は外れではなく、大当たりの能力だというのか?
(ならなんでー)
(なんで俺は能力を使うことができないんだよ…)
真「でも、使えたことがないんだけど…」
相良「それはそうですよ。能力者は神気と呼ばれるものをエネルギーにして能力を使います。しかし、その目の能力者は使おうとしても能力が強すぎて神気の力が足りず、能力を発現できないんです。真くんがその能力を使うなら、能力が発動できるまで神気を増やさなければ使うことはできません」
真「そ…そんな…」
つまり、俺も能力を持っている。しかし、この能力自体の力が強すぎて今の俺では使えないということだ。増やさなければ実質無能力者のままとなる。それだけは嫌だ。
相良「しかしですよ、真くん」
真「え?」
相良「その力を発現し、使いこなすことができる人はこの世界では存在します」
竜馬「まじかよ!そいつってどんなやつなんだよ!」
相良「その者たちは決まってここにたどり着く。その者たちは…」
みんな「ごくり…」
相良「各国をすべしもの…『虹帝達』!この者たちはみな、神クラスの能力をもっているとされています。現にこの帝国「シーバンス帝国」の皇帝も神クラスの力を保有しています」
真「皇帝…」
この世界にも皇帝という存在はいる…俺は目指している…王よりも上の皇帝を目指している。
その目標の存在がいると分かった今、俺は考えるよりも先に宣言していた。
真「僕は…いや、俺はこの国の皇帝になってみせる!」
そう俺は高らかに宣言をした。今度こそ夢を叶えるために。




