中編:ゴミ箱に溜まったのは、愛の結晶
【因果律の転換:犠牲の否定。共鳴の加速】
【システムメッセージ:『孤独な聖者』の定義を削除。
『絆の象徴』として再定義します】
「シン、今日の晩飯は俺が作るぜ。お前は座ってろ」
「あ、勇輝、でも俺、これくらいなら……」
「ダメ! あんたは昨日、あんなに魔力を放出したんだから。ほら、このクッション使って」
王城の広いテラス。かつては蔑みの視線が注がれていた場所が、今はシンの「特等席」になっていた。
愛夢が持ってきたのは、異世界の高級な果物で作った特製ジュースだ。
「これ、流星がわざわざ遠くまで買いに行ってくれたんだよ。『シンの好物だから』って顔真っ赤にしてさw」
「流星が……? ありがたいな」
シンがジュースを一口飲むと、その場にいた全員がホッとしたような表情を浮かべた。
シンが一口食事を摂るだけで、仲間たちの士気が目に見えて上がる。
「ねえ、シン。……私たち、最初は怖かったの。あんたが一人で全部背負って、いつか消えちゃうんじゃないかって」
姫星が、シンの隣に静かに腰掛けた。
「でも、最近気づいたんだ。あんたが『ゴミ箱』だって自称してたのは、私たちの悪い部分を捨てさせるためじゃなくて、私たちの『弱い心』を、全部預かってくれてたんだって」
姫星は空を見上げた。そこには、シンを中心に広がる光のネットワークが、夜空の星のように輝いている。
「あんたの中に溜まったのは、ゴミなんかじゃない。私たちが、あんたを信じた証……『愛』の結晶なんだよ」
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『……チッ。マジでやってらんねぇなぁ。……おいシン、聞こえてるか?』
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脳内で、魔王の囁きが響く。だが、その声は前作のような冷酷な嘲笑ではなく、どこか気圧されたような、呆れた響きだった。
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『お前ら、絆だの愛だの、暑苦しいんだよ。……だが、まぁ、悪くない。お前が一人で消えるつもりなら俺が食い尽くしてやるつもりだったが……これだけ多くの魂に「守られてる」んじゃ、手出しはできねぇな。……せいぜい、その重苦しい『期待』ってやつを背負って生きろよ』
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魔王の声が消え、代わりに愛夢の明るい声が響く。
「あ! シン、今魔王の独り言に答えてたでしょ!? ダメだよ、私たちを仲間外れにするのは。さ、みんなでこれからの作戦会議……というか、帰還した後のパーティーの相談しよ!」
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【スキルの進化を確認:『共鳴する献身』→『聖域の絆』】
【効果:対象者が愛されるほど、世界の因果を幸福へと固定する】
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シンは、仲間の温かさに包まれながら、初めて自分の居場所を確信していた。




