領収書6
注意:
この領収書の一部は、現世の生物が使い方を分からないように黒塗りにしてあります。
幽世の商品を見つけた場合、速やかに連絡をお願いします。
「ネットとかで流行ってた、バックルームってあるじゃん?それっぽいの開発したからさ〜、ふだちゃん試してくんない〜?」
突然███に呼び出され、何か事件でも起きたのかと心を踊らせながら向かったが、要件を聞くと商品を試して欲しいとの事だった。
「ふだちゃんて呼び方やめて前いうたやろ。うちあだ名とか嫌いやねん、ちゃんと札掛さんって呼んでや」はいはいと口だけの返事をしつつ、彼女は品の説明を始める。
「ふだちゃん、これなにに見える?」
「なんやろ、シャーペン?」
「うーん、惜しい!実はこれはドッキリグッズみたいな感じで…」彼女の説明が途切れる。どうやら、言っていた「ドッキリ」が作動したようだ。周りは、ショッピングモールのような、吹き抜けの通路になっていた。「あの子はほんま…説明無しにようわからんとこ送られてもうたやんか…」
「ちょっ、作動させるの早すぎ!まだ説明もおわってないのに…まぁ、ふだちゃんだし大丈夫か!」私は向こうに行ってしまった彼の事は放っておき、ゲームをすることにした。
「どんだけ広いねんここ…。」
かれこれ4時間は歩いただろうか、全くと言っていいほど何もないこの場所を、私は彷徨い続けていた。道中、よくわからない化け物に襲われはしたものの、それ以外は本当に何もなかった。
「どーせ閉じ込めるんやったら、もっとおもろいとこにしてくれやぁ…」歩いても歩いても、変わらない、面白みのない景色。流石に気が滅入ってしまったので、1度休憩を取ることにした。通路の脇に座り、目を閉じる。何か脱出方法はあるはずだ、と考えながら、軽く眠りにつく。
つもりだった。「うわっ、またお前か!」先程襲ってきた化け物が、再び姿を現し、襲いかかってきた。
「いま疲れてんねん、堪忍してや〜。」愚痴を吐きながら、軽く跳ねるようにして逃げる。幾ら化け物とはいえ、商品に含まれているものだから、傷つけてはいけない。ひぃひぃ言いながらも、何とか化け物を撒くことに成功した。
「ったく、こっちはまだ品売らなあかんのに…」自分で口に出して、はっと思い出す。そうだ、今月分の品物を未だ売りきっていない。こんなことをしている場合では無いのだ、一刻も早く脱出しなければ。
その後も、歩いても歩いても化け物以外とは出会えることはなく、さらに2時間ほど経った。遠くに何か灯りが見え、少し希望が見えた。
近づいてみると、それは看板だった。看板にはスマートフォンのマークと、「1↑92↑゛4←」と書いてあった。なんの事かは分からないが、一応メモを取っておく。そして、横に書いてある、「右端まで700m、左端まで14000m」の文字を見て、少し希望を感じた。私は左から来たから、もうすぐ端に着くのだろう。
そう思い、私は軽く小走りで右に進んだ。
「…700mって、こんな遠かったやろか?」やはり、進んでも進んでも右端には到達出来なかった。まるでループしているような感覚すらある。まるで進む先に道ができているような…そこまで考えたところで、私は気付いた。
「あ、おかえり〜ふだちゃん。スーパーガリ男ブラザーズしてるけど、いっしょにする〜?」
彼女の腑抜けた声が聞こえた。戻ってこれたのか、と安堵し、深く息を吐く。時計を見ると、体感は10時間ほど経っていたが、10分も経っていないようだった。
「おかえり〜ちゃうわ、アホかお前は。せめてもっとちゃんと説明しろや」彼女の頭に軽くチョップを入れる。あだ、とよくわからない声を出す彼女を横目に、改めてその商品を観察する。
「あんた、これはあかんわ。流石に危なすぎる、試作品として売るにしても限度っちゅうもんがあるから…」まぁ、そうだよねー…と、少し彼女は残念そうにする。しかし、これはあまりにも危険すぎる。少しもったいないが、廃棄行きだ。
「それはそうとしてふだちゃん、ちゃんと品物は売ってくれてる?」その言葉で思い出した。「せや、あかん、急いで売りに行かな。そろそろ消費期限切れる品あんねん。ほな行ってくるで」ばいばーいと挨拶を背中に返される。今日も忙しいわ、と思いながら、現世へと続く扉に足を踏み入れる。
こんばんは、蝶番です!投稿遅れてしまい申し訳ありません…。実は私、ADHD気質でして、なんでも後回しにしちゃうんですよねー…治さないといけないのは分かってます、わかってるんですけど…!




