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領収書4

実は私たち放浪商人にも、組合のようなものがある。商人たちはそれぞれの販売数などにあわせて階級を割り当てられる。階級が高ければ高いほど良い品物を卸され、徴収される売上が少なくなって利益が増える仕組みだ。私は上から三つ目、くくりと呼ばれる位で、「大佐」はそのひとつ上の(てい)だ。大佐は私のことを気に入っているのか、たまに品物を渡してくる。もちろん他の商人にはそんなことはしていない。今日も大佐から品物を渡されたが、これは恐らく押し付けてきただけだろう。


2月、冬だ。私達ももちろん寒さを感じる。駅前で配っていたかいろを使って手を暖めつつ、変温機を使い服の中を暖かい空気で満たす。子供らは元気やなぁ、こんな寒い中遊んでるとか。いつものベンチから子供たちを眺め、そう思う。

「お兄さん、ちょっといい?」あぶない、眠りかけていた。声をかけられたおかげで眠気も落ち着いた。相手を見ると、警察のようだった。「みるからに怪しい格好してるけど、ここでなにしてるんだい?」おや、いつもとは違い、優しい感じだ。まだ新人なのかもしれない。

「うちは商人や、物売ろおもてたけどさむいし売れへんしでなぁ。変温機のおかげであったかくてねかけてたわ。服は…たしかになんでこのかっこなんやろ。まぁ気にせんといてな。どやおにいさん、商品買うてかんか?」今回も断られるだろうと思い欠伸をしていると、意外にも、興味に満ちた返答が帰ってきた。

「ほう、商人さんですか。どんなものを売っているんですか?変温機?とやらも気になりますが、どうも売り物では無さそうなので…」

「今日仕入れて売ってるのはなー…合法ドーピング菓子やろ、タヌキモドキの皮やろ…あとはまぁ、名前言いたくないわ」ドーピング、という言葉に少し反応したが、それ以上に「名前を言いたくないもの」に興味をそそられたらしい。

「名前の言いたくないものってなんですか?もしかして、違法薬物じゃないですよね?やましい事がないなら、言って実物を見せてほしいのですが。」やっぱりこうなったか。

「薬物とちゃうわ、名前がダサいねん…はぁ」ため息をつきながら、その機械をとりだす。「これの名前はな、『穢れて、もっと穢れて』や。ほら、だっさい名前しとるやろ?言うの恥ずいから言いたくないねん…」警察官はもちろん、商品についての説明を求めてきた。違法物ではないのか、どこから仕入れたものなのかなど。全てに返答したのち、警察官が言う。

「面白そうなものですね、売れなくて困っているのであれば私が買いましょうか?」正義の警察やろ、あんた。まぁ、貴重な買い手、それも警察だ。売らないわけが無い。「ほんまにか!?おおきになぁ、おにいさん。代金は今回はまけといたろか?」いえ、さすがにタダで貰う訳にはいきませんと、警察官は財布を取り出した。代金を受け取り、商品の説明をはじめる。

「ほなこれの使い方教えるな。まぁ、名前の通りなんやけど。悪行をすると悪行ポイントが貯まってな、それ使ったら金でも寿命でも手に入るっちゅうもんや。」寿命でも、という所に、警察官が反応する。「寿命でも、というのは、他人の寿命も含みますか?」もちろんや、と返すと、少し複雑な顔をした。

「実は、私には妹がいまして…」そこまで相手が話したところで、話をさえぎった。「すまんな、うち、おかたい話は苦手やねん。伝えるべきことは全部伝えたからな、ほなまた!」半分逃げるようにしながら、彼の前を後にした。


怪しい商人から買った怪しい商品。見た目は通帳に似ている。開いてみると、「現在のポイント残高:0」と書いてあった。試しに仕事からの帰り道、ごみをポイ捨てしてみる。一瞬、商品が無くなった感じがしたので確認してみると、ポイント残高が3に増えていた。それに追加で、ポイントを使って交換できるものも書き加えられていた。「寿命3年…30万ポイント、!?」余りの多さに、倒れそうになった。ポイ捨て10万回分?人殺しでもしろというのか。でもあの子はもう短い命だと、医者に言われている。私は警察官だ、正義を遂行すべきだ、しかし結花が…


電気屋のテレビから、またつまらないニュースが流れてくる。「続いてのニュースです。今朝8時ごろ…」耳から耳に聞き流しつつ、メロンパンを食べる。「もっとおもろいニュースないんかなぁ、うちペンギンみたいんやけど」独り言をこぼしつつ、その場を離れようとした時、面白そうなニュースが聞こえた。

「…察官として勤務していた男性が、銀行を襲撃し、銃を乱射しました。逮捕された正樹友和さんは、犯行の動機を『ポイントを貯めるためだ』などと供述しており…」やっぱあん時、妹さんの話聞いとくべきやったなぁ。まぁおおよそ、死にかけの妹の寿命でも増やしたかったんやろな。正義のはずの警察官が銀行強盗とか、おもろいことこの上ないわ。これやから人間は。

抑えた笑いをもらす。人の少ない昼間の街は、なんだか、大小様々な悪が蠢いている気がした。

こんばんは、蝶番です!

前までの領収書を読んでくれている人なら分かると思いますが、今回の領収書には黒塗りがありません!これはまぁ、「穢れて、もっと穢れて」の効果が見てわかるものだからですね、はい。

たまに周りの人に言われることがあるんですよ、「お前が書いてるこれ、銭〇堂みたいやな」って。でも私、銭〇堂ほぼ見た事ないんですよ。なのでもしかしたら、効果が被っている商品があるかもと内心ひやひやしてます。今回の後書きはこれくらいにして、また次回、後書きで会いましょう!それでは!

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