たのもー
私は、目の前に出現したログハウスの姿を見て愕然としました。あまりにも閑散としているからです。そう、人が住んでいる気配なぞ微塵もありませんでした。
ログハウスの周りを囲む、木の杭やログハウス全体を蔦が絡み、庭は草がボウボウと生え、庭の中にある大きな木の枝に肩紐だけ切れたブランコが寂しさを助長しています。草の陰から見える、テーブルと木の椅子。何年も使われてないようです。
私の夢が・・・。青年実業家が崩れ落ちました・・・。
脱力しながらも今日の宿を確保できた幸運を祝いましょう。上手くいけば、電気が通っているかもです。そう電話ですよ。
っと、携帯は?
はい。圏外です。
私は絡まった蔦を取り払いながら、ログハウスのドアを開きました。中は薄暗く、クモさんの宝庫? と思いきや、なんと釜に火がついていました。その赤が轟々と室内を照らしています。
どういうことですか?
人がすんでいる?
いやだって、完全密封状態でしたよ? 外からは、入れない状態でしたし、中からも開けた形跡がありませんでした。
ま、まってこの展開。孤独死とかいうのじゃないでしょうね・・。いや、火が燃え続ける理由にはなりません。どんな固形燃料をしようしているんですか?
いけません。もしかして住人がいらっしゃるのかもしれません。私は息を吸い込んで、
「すいませーん。どなたかいらっしゃいますかー。」
シーーーーーン。
やばいです。非常にやばいです。
助けを請う人間が、助けなきゃいけない側に回るのは大変です。いや、そんな弱音を吐いてはいけません。もしかして、苦しんでいるかもです。
火が燃え続けるのは一端、置いといてですね、住人の生命確保です。
行きます!
私は、釜の近くのテーブルの上にあったロウソクとロウソク台を見つけて明かりを灯し、部屋を見渡しました。
釜の横には(洋式タイプの釜です。レンガに覆われた中に、鍋を吊り下げるようになっています。)レンガ造りの台所。その横にドア。台所の前には、木作りのテーブルと椅子が一つ。反対側に目を向ければ、暖炉に簡素なベンチタイプの椅子。暖炉の左にドアが見えます。そのドアを開けると廊下に出ました。右には、上に続く階段。正面にドアが一つと左側の突き当たりに、もう一つドアありです。
まずは、人が居そうな場所から捜索です。私は右の階段を上がりました。
少し、ファンタジーっぽくなってきました。