表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
森と湖と砂漠  作者: まある
21/25

罪と死を望む理由は

「二人で逃げ出そうとしたのを見つかり、男は、神の使いを逃亡させようとした罪により、処刑された。悲しんだ神の使いは、神殿より身を投げ、死んでしまった。その時初めて、我らはひどい過ちを犯していることに、気がついた。」


おばあちゃんは、私を見ているようで見ていなかった。私を通して、誰に話しかけているのでしょう。


「メリンダさんが、死んだ? それに、我らって・・・。」


頭の中をぐるぐる回る言葉。どれも私に本当の意味を教えてくれない。ただ、単語として目の前にぶら下がっているだけの状態です。


「神の使いが死んだ後、はやり病が国を襲った。何十人、いや何百人という人間が亡くなり、王も命を落とした。その後に即位する王も、不幸な事故で命を落とし、混乱しきった国は、隣国によって滅ぼされた。我ら一族は、神殿を守っていた神官の末裔。神の使いとして、一人の女性を苦しめたことを悔やみ、この地で死する事を決めた者。


神の怒り、空は黒く染まり、風は砂を巻き上げ、眼前を閉ざす。かの女神は、嘆き悲しみ、姿を消した。地上は荒れ果て、国が滅びようとしている。人々は口々に懺悔をし、祭壇にひれ伏す。

神殿には、静寂の鐘が鳴り響く。神はどこにもおられなかった。


ハクア、お前は、私達を恨むか?」


おばあちゃんの話は、難しすぎて理解できない部分が多かった。それでも、話の内容は理解できました。


「私が、貴方達を 恨む?」


なぜ、私がシスタニタータに住んでいる人たちを恨まなきゃならないの?


「我らは、お前の助けをありがたく思っている。その反面、見捨てられてもいたし方がないと思っているんだよ。先祖がおこし大罪を償うために死んでもかまわないと思っているんだよ。」


「待って、貴方達、死、私、関係ない!」



私が貴方達を見捨てるとでも言うの?


どんな思いで、ここまで来たと思っているの?


貴方達の覚悟が、私と何の関係があるっていうの?



私は、神の使いでもない。貴方達を裁く必要さえないのです。

ああ、でもなんだろう。モヤモヤしたくすぶった思いが、心を埋め尽くし始めていました。


「おばあちゃん。ごめんなさい。私、混乱、する。」


私は、おばあちゃんの部屋から飛び出しました。何人かに話しかけられた気がしたけれど、何の音も耳に入ってきませんでした。私は、走って洞窟から出て、砂漠へと足を向けました。


砂漠に力尽きるようにへたり込みました。

砂の上に、ポタポタ黒い染みができていきます。でも、あっという間に蒸発して姿を消していきます。

残ったのは、重なる丸い跡。


この村に住んでいた人たちの死を目の前にしたときの痛みと、見知った人間の死。

なぜ同じ死なのに、私の胸の痛みは、こうも違うのでしょう。


同じ境遇に陥り、同じ痛みを共有し、同じ思いを抱いた人の死。

彼女は、この世界で幸せに暮らしたのではなかった。故郷に帰れたわけでもなかったのです。孤独に耐え切れず、心に痛みを負った。そして、死を選んだんです。メリンダさんの死は、とても悲しいです。痛いほど悲しいです。私は彼女の足跡を追って、ここまでやってきたのです。彼女がいなければ、私は孤独に苛まれ、狂っていたかもしれません。彼女は私にとって大切な存在でした。


それでも彼らを憎むはずがありません。罰しようとも思いません。


彼らは十分罰を受けてきました。わたしが、想像を絶するほどの辛い日々を送ってきたはずです。

身分を失い、国を失い、過酷な状況の中で「死」を待つ。私には、とてもできないし、彼らの取った行動が理解できません。


彼らが私を見る目が、なぜか温かく感じたのは、この理由があったからなのですね。私がどこからやってきたのか、詰め寄ることもせず、要求をすることもなく、ただあるがまま、私のしたい様にさせてくれたのは、過去の過ちをまだ、悔いていたんです。


急遽、18話の後ろに話を追加しました。今、割り込み投稿ができないんですね。

昨晩、必死にアップしても実行されなかったので、「WHY」と思っていたら、

トップに書いてありました。ダメジャン私・・・。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ