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森と湖と砂漠  作者: まある
19/25

疑問

きついっす。死にそうです。

メリンダ師匠、心が折れてしまいそうになる不肖の弟子をお許しください。


今、私は夏版サンタクロースの実演をしています。お手製のそりに、たくさんのオモチャいえ、水に硬いパンに果物、その他モロモロ。

ええい! 全部重量級じゃないですか! 水って案外、重いものなんですねー。


ああ、感心している場合じゃないです。昨日の倍かけて、洞窟へと進んでいますが、もうあかんです。

いくら私でも根を上げそうです・・・・・。


洞窟との往復も考えたのですが、私の体力と気温を考慮に入れた上、あっさり却下になりました。

じゃあ、一度に持っていく量が多くなるのは、自然の銘でしてね。


ぐぅえぅおぅー。

乙女らしからぬ声をあげつつ、この重量級のそりと戦っているのですよ。




私は洞窟につくなり、バタンキュー。


「ヒーヘーハー。」


大の字になって、地面に寝転がります。

驚いたジェライドが、ズリズリとはいずってきて、手を伸ばして私の頭を触って、心配そうな顔をしました。

私は、彼の手をとって自分の頬に当てました。


この骨と皮だけの細い手。

それでも彼らは生きている。

こうやって、私を心配してくれる。うん。大丈夫。私、がんばれるよ。


私は、紙をゴソゴソ出して、目の前に出しました。そして、昨日と同じように、単語を指差して、


<おはよう、食べ物、もった、みんな、くばる。>


<おはよう、ありがとう、からだ、だいじょうぶ。>


<ありがとう、だいじょうぶ。>


私は、ピースサインを出してニッカと笑うと、ピースサインを不思議そうに眺めて、同じように真似をして笑いました。


うん。笑うことができる。

彼は、大丈夫だ。

生き抜く力を持っている。


私は、彼に果物と固いパンと水を渡してから、他の人のところへもまわりました。

きっとこれだけの量では、お腹一杯には、ならないと思います。それでも飢えることありません。

きっと胃も小さくなっているから、一度に食べれないだろうし。自力で食べれない人には、私特製のジャムをスプーンで口に運びます。全員に配り終わり、全ての作業を終えると、もうぐったりです。休憩をはさんで、私は森と湖の世界に帰ります。


それを一週間ほど続けると、彼らは、体は細いままだけれど、自力で動けるようになっていました。

その驚異的な回復には、あの湖の水や森の果物が一役買っていそうですが、もともと生まれ育った環境のせいか、体力の差か、たくましいのか・・・。


すごいっす。


で、私といえば逆にホソマッチョに変身しつつある・・・。細くなっていくのは、うれしいけれど、ムキムキ筋肉はいかんともしがたい。


ああ、私の青年実業家、もしくは王子様が迎えにー。なんて設定がガタガタ崩れていってですねー。逆に、

「私が助けてあげるよ。」なんて、私が王子を姫抱きするんかい!


ああ、ダメです。疲れのあまり、思考があらぬほうへ転がっていきます。ジェライドが放心している私を見て、


<ハクア、大丈夫?>


<ああ、ごめん。ちょっと、ゆめ、みた。>


<?>


そうです。砂漠を往復中にですね、必死に単語を覚えて&ジェライドにもご協力をお願いしてですね、私なんとか話せるようになったのですよ。まだ、難しい言葉は無理ですけれどね。


私は、ある場所へと向かいます。

皆が動けるようになったわけでもないんですよ。中には、手遅れな人もいました。床から離れられないんです。

もう、お歳というせいかもしれませんが、


<おばあちゃん。きた。>


<ハクアか・・・。>


私は、おばあちゃんの枕元にチョコンと座ります。


<元気か?>


<うん。大丈夫。みんな、心配、すぎる。>


皺だらけの手を伸ばして、私の頭をサワサワしてくれます。

私は、ルゴナルダさんが好きです。この女性の側は、とても落ち着けます。私は、知り合った人達の中でも、ジェライドの次にこの女性と一緒にいることが多いです。


なんででしょう?

全てを優しく真綿でくるんでくれそうな気がするんです。

一人で生活してきた、2ヶ月。精神的に、甘えられる存在ができたようで、うれしいんです。


<ハクアー。どこいるのー。>


<呼ばれてるの。>


<イスナ。遊ぶ、約束。>


<そうか。いっといで・・・。>


<うん。>




この洞窟の村の名前は、シスタニタータ。

生き残った人たちは、全員で11人。昔、40人ほどの村だったそうです。村を出て行った人よりも、ここで息を引き取った人が多い。


付いて回る疑問。私が聞いても良いことなのでしょうか・・・。

岩だなの近くにある墓地には、彼らの手によって新たに作られたお墓があります。墓を悲しみに暮れることなく、淡々と作っていく様を見て、私の中でくすぶり続けている疑問を彼らに、聞くことがどうしても出来ませんでした。

たくさんの人物が出てきましたが、全員を物語に登場できるのか

怪しさ満天です。

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