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ねずみ顔



 三、




 どこかのおたなからそのまま出てきたような上等な身なりの小柄な男が、こちらをみて立っていた。


 なんだかわらっているような、わらいをこらえているような、いやな顔をして、おまけにその顔は、ネズミをおもいおこさせる。

 チュウ、とでも鳴きそうな、すぼめたような小さなくちがひらき、やはりネズミをおもわせるようなおおきな前歯をみせ、「このあたりにイ、」と耳にしない訛りをのせてはなしかけてきた。

「 ―― むかしからずうっとオ、イイ水が湧き出るっていう、ちいさな井戸がア、どこかにございましょうかなア」



 井戸?



 きょうは田んぼに生えた余分な草を抜き終え、めずらしく遊びにいっていいと言われたので、ちかくの川に魚をとりにきていた。釣るのではなく、浅くゆるい流れの川原の石をどけたり積んで逃げられない囲いの罠をつくり、草がしげった川のきわを棒でつついて出た魚をおいこむのだ。



「 ・・・あんた、このへんのモンじゃねえよな。もう村のほうにあいさつしたのかい?」


 商人の身なりをしているのだから、きっと《本家》か、もっと上のほうに用事があってきたはずだろうに、こんなところで遊んでいるこどもに声をかけるなど、なんだかおかしい。

 石ころだらけの河原なのに、この男が歩いてきた音もしなかった。



 それに、 ―― 井戸・・・。 





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