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裏の《百物語会》 ― 隠し井戸のはなし ―  作者: ぽすしち


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駆け抜ける


 ダイキチは膝にある石を両手で守るようにおおう。ちろちろと湧き、膝をぬらしていた水がいつのまにかとまっていた。



「 だまれ!!ひとをたぶらかさねば力もだせぬようならば、おまえは神などではないわ!神とはこれ、このような方をさす言葉!」


 『先生』が手をつける水たまりに、ほんのわずがの、魚の背びれの先がのぞき、ダイキチの膝にあった石がきゅうに軽くなり、色がぬけたように白くなった。





 とたん






  バゾバゾバゾバゾバゾ バゾバゾバゾバゾ




 ふすまの表をやぶるような音とともにそこをおおいつくしていた疫病神の影がなくなり、もとの白いおもてがあらわれると、また、下の角から黒い影がのび欄間のほうへと突き進む。


「 おお、 」


 その長く黒い影は庭の松の幹ほどの太さで、上へのびてゆくそれに背びれがあるのをダイキチは目にした。疫病神とはちがい、白いふすまの中を上へ上へとのぼり、長押なげしが、ギッ、と音をだし、欄間の細かい細工が、ギュイ、と鳴いた。



「 ダイキチさん 障子をあけてくださいませ 」



 ダイキチは、膝にある石を懐に押しこみながらあわてて立ち、のめるように手をかけた障子をあけはなった。




 

  バゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾゾ




ふすまから、欄間、障子をなにかが駆け抜ける。




 ゴオ オッ ツ



ダイキチの耳元すれすれになにかおおきな長いものがはしり、いつのまにやら暗くなった空へとぬけていった。



つぎでおわりです。

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