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裏の《百物語会》 ― 隠し井戸のはなし ―  作者: ぽすしち


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16/18

石を受けとる

『先生』については、よろしければ『蓮池の 』をひろい読みしてください。。。




 八、





  むかいでずっと数珠をまわしていたダイキチが手をとめて、その水たまりの中に残った布へと手をのばす。


「 ・・・ああ、・・・、この石をわたくしどもに届けるために、ここへ《百物語》を語りにまいられたのでございましたか・・・。では、この《力石ちからいし》、しかと受け取りましてございます。あとはどうぞ、おまかせくださりませ」

 ダイキチは水にぬれた布をつかんで膝へとのせた。

 ひらいた布の中には、ちろちろと水をこぼしつづける黒い石がある。




『先生』が、おとこの残した畳の水たまりへ手をつけ、それに気づいた影が肩をいからせた。



『 ほお、ひとではないとおもうていたが、おぬし、そうとう歳を経ておるのオ。すこしの神力じんりきも得ておるか。 だが、このわしと張り合おうなどとおもうなよ 』




 『先生』は水に手をつけたまま、おかしそうにわらった。


 ダイキチはまた脇から冷や汗がたれるのを感じながら、肝のすわった『先生』のようすに感じいるしかなかった。

 この『先生』がおのれのことを《ヤオビクニ》だと称し、人魚の肉を食べたときから歳をとらなくなったというはなしは、きいたときから疑ったこともなかったが、こうして『疫病神』などという大物を相手にできるのをみれば、やはり《ひと》をこえているようだとあらためておもうしかない。

 こちらなど、部屋に満ちた禍々しい気配に、冷や汗がとまらぬというのに。




「 『張り合おう』などとは考えてもおりませぬ。ただ、 ―― すこしばかり、《水》とはむかしからかかわりあいのある身の上でございましてねえ。 すこしばかりのことでございましたなら、このわたくしでも『力』になれるかと」

 


『 たわけたことを。そこな年寄り、その膝にある石を、《力石》として、こんどはおまえが見世物みせものにして手元におけよ。断れば、おまえにも災いをふりかけようぞ 』


 黒い影が三方のふすまをのっとるように影をひろげてみせた。






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