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裏の《百物語会》 ― 隠し井戸のはなし ―  作者: ぽすしち


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13/18

どうしたか

 その声にもみむきもしない男は、膝をみたままはなしを続ける。


「 ・・・《隠し井戸》の水がへっているせいで、稲がだめになったことはすぐにわかりました。ですが、その水がどうして減ったのかをしっているのはこのわたくしだけ。そうして、《隠し井戸》の水がゆきわたらなくなったせいで、あちらこちらで嫌なことが起こっているのだとおとなたちがささやいているのを耳にしたら、もうこわくてこわくて・・・・まいにち見にゆく納屋裏においた桶からは、水があふれつづけていて、あたりの草木だけがいやにあおあおとしているのも目につき、そうしてあの、親戚の子が・・・、そうだ。あの子が、それをみつけて、教えてやる、と言ってきたんだ。どうも納屋の裏から水があふれているから、きっと《隠し井戸》の水はそこから出るようになったんだと。これを『おっとうたちにしらせる前に、おまえにみせてやろう』と、・・・・。 うでをひかれて連れていかれ、この子にあの『力石』がはいっている桶をみられたら、どうしようとこわくなって・・・、」




 

      ぐゥああアアアア




 カラスが濁ったこえをあげ、つついた山からなにか丸いものをとりだすと、まうえを向いたくちばしのあいだの、奥におくって、のみこんだ。



「 ―― こわくなって・・・・わたしは、あの子をどうしたか・・・。まさか、わたしがあやめたか?そうして石をつかんで村をとびだしたのか?」



 ふすまにうつるカラスの影が、陽のあたる方角がかわったようにぐるりとかたちを変え、カラスがのる丸い山のかたちも変えて、ひとのあたまの骨の黒い影を、ふすまにうつしだす。



 それに気づいた男が、喉をしめるよう息をつめ、おうう、とうなるように畳に伏したとき、 ―― 。





     『 こりゃ、あんたのせいでございますなア 』



 どこからか、かすれたような男の声がきこえ、畳にふしていた男は打たれたように、両手で畳をたたくよう勢いをつけ、おきあがった。










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